07:仲間との再会
現在私は、アリスちゃんに抱き上げられ、王宮の廊下を進んでいる。
その横をクマさんがスタスタと歩いて、ついてきている。
「あの・・・アリスちゃん。私自分で歩けるんだけど?」
私はそんなアリスちゃんに、不満をもらしてみる。
どうしてアリスちゃんは、私をわざわざ抱っこして移動したがるのか?
今更私が逃げるとでも思っているのだろうか?
「お姉さまは歩くのが遅いですから、この方が早いのです!」
「そうだぜ。嬢ちゃん歩くの遅すぎ!」
どうやら違う理由だったようだ。
私の歩みはそんなに遅いのだろうか?
うん・・・遅いね。自覚はあるが、ついついノロノロと歩いてしまうのだ。
こんなことなら、初めから土雲で移動するんだった。
「あら女王様。そちらの可愛らしいお嬢様は、どちらのお嬢様でしょう?」
メイドのお姉さんがすれ違いざまに、微笑ましそうな表情で、お辞儀しながらアリスちゃんに尋ねる。
「わたくしの夫です!」
アリスちゃんは隠す気配もなく、正直にそう答えた。
私達結婚した覚えはないんですけどね?
「ええ!?」
そのアリスちゃんの返事に、メイドのお姉さんは驚いているようだ。
バーン!
「皆お姉さまが帰ったわよ!」
アリスちゃんは執務室のドアを、急に開けたかと思えばそう叫んだ。
「な! リンネの嬢ちゃん!」
「リンネ!?」「「リンネ殿!?」」
そこには見知った人物が4人いて、どうやら執務仕事に励んでいたようだ。
「キリン様にはもう会えないと聞いていたから、心配していたのだぞ?」
ローレンス元国王が笑顔でそう口にした。
「リンネ貴方、皆がどれだけ心配したと思っているの!?」
マルちゃんが、涙を溢れさせながらそう口にする。
「まあそう攻めるなマルスリーヌ。リンネ殿が無事でよかったではないか?」
「ハハハ! リンネ殿は変わらぬな?」
そこにはローレンス元国王の他に、マルちゃんと、アルスレット嬢と、チャールズのおじさんがいたのだ。
「皆さまご心配をおかけしました!」
私はアリスちゃんに抱っこされながら、笑顔で皆にそう謝罪した。
そこからは皆がこの10年間、どう過ごしてきたかの話となった。
アルスレット嬢は、現在アリスちゃんの護衛という名の執務担当のようだ。
8年前に帝国出身の凄腕の魔術師と結婚し、今では仕事以外の時は、その魔術師の家に入り浸っているようだ。
もうアルスレット嬢ではなくて、アルスレット夫人だね。
その魔術師はアルスレット夫人の他にも、エルフやら豪商の娘やらと結婚しており、かなりお盛んであることが窺える。
アルスレット夫人はその男性との間に男の子を出産しており、現在は7歳になるそうだ。
その凄腕の魔術師というのは気になるが、帝国出身なら、もしかしたらリリちゃんが魔法を教えた相手かもしれないね。
マルちゃんことマルスリーヌ嬢は、現在少しぽっちゃりしていらっしゃる。
王兄フレドリックとの間に、3人の子供授かっているそうだ。
もしかしたら出産した影響で、ぽっちゃりしたのかもしれない。
出産後太ってしまう女性は、けっこういるようだからね。
こちらももう夫人だね。
私はそれでもマルちゃんってよぶけどね。
その6歳の長男がアリスちゃんの養子となり、第2王子となっているようだ。
リンデルがあんなんだし、保険のために、そうした処置をとっているのかもしれないね。
ローレンス元国王は、10年前から変わっていない。
ローレンス元国王は魔力が多いからね。
この世界では魔力の多い人は年を取りにくいのだ。
国王を辞めても、仕事はまだまだ続けていくようなので、引退は当分先になるのだろう。
仲の良かったエドマンド元宰相は、とっくに引退して、自領に引きこもってしまったそうだ。
魔力が低いエドマンド元宰相は、想像以上に老け込んでしまっているようだ。
チャールズのおじさんの魔力もそこそこなので、白髪と小じわがけっこう目立ち始めている。
宰相になってからは、領地に帰れないと、よくぼやいていたようだ。
クリフォードくんとエリザべート夫人との間に生まれた、お孫さんがいるそうなのだが、まだ一度しか会ったことがないそうだ。
お孫さんは現在3人おり、長男は今年で13歳になるらしい。
領地のことは現在クリフォードくんに任せているようだ。
「マローン家のご息女も、マローン男爵が亡くなる前に、婿をとって、今ではエインズワース領で暮らしているよ」
「え? マローン男爵は亡くなられたのですか?」
「ああ。君がいなくなって2年後に病でね・・・」
私がその時にいれば、マローン男爵の病を治せた可能性はあるのに、なんともタイミングの悪いことだ。
「え? それじゃあお菓子の名店ノーセンクはもうないんですか?」
マローン家の人達がエインズワース領にいるなら、あのお店もなくなっている可能性がある。
「ああ。ノーセンクはエインズワース領に移転したんだよ。でもあのお店が移転した理由は君にもあるんだよ?」
え? 私にもノーセンクが移動した原因が?
私はあのノーセンクに多くのお菓子のレシピを伝え、そのおかげであの店もかなり繁盛していたはずだ。
それなのになぜ私が原因で移転なんて?
「君は魔術学園の敷地内に、シュガーケーンの畑やら、養蜂場やらを作っていただろ? それを管理しているのが、現在魔術学園で講師をしているパトリシア夫人と、マローン家から独立したイリス夫人なのだよ。彼女らはそれらから出来た、砂糖と蜂蜜を武器にして、店を出店したのだ。その店の人気がノーセンクの人気を上回ったのだ」
つまりノーセンクは、競合するそのお菓子のお店に敗北して、王都から撤退せざるを得なくなったのか。
「そのお店の名は?」
私はチャールズのおじさんに、そのお店の名前を尋ねた。
「ホワイトチョコレートだ」
「ホワイトチョコレート!? 彼女らはもしや自力でそのレシピを!?」
そのお店の名前は、なんとホワイトチョコレートだったのだ。
とういうことは彼女達は、自力でホワイトチョコレートのレシピに、たどり着いたということだろうか?
「ホワイトチョコレートはたしか想像上のお菓子のはずだぞ?」
どうやら私の思い違いだったようだ。
「確か、憧れのお菓子チョコレートと、オールポート領特産のミルクをかけた名前だったと思うが? 君はまさかそのホワイトチョコレートのレシピを・・・知っているのかな?」
「さ、さあどうでしょうか?」
チャールズのおじさんは、そんな私を笑顔で見つめる。
「話が盛り上がっているところ悪いが、リンネの嬢ちゃんに聞きたいことがあるんだ」
するとローレンス元国王がその会話に割り込んできた。
「リンネの嬢ちゃんは王配になる気はあるのか?」
そして核心を付いた質問をしてきた。
そう言えばアリスちゃんも、私に王配になってほしいとか言っていたね。
だが私の答えはすでに決まっているのだ。
「いえ。王配になる気はありません。私は冒険者ですから・・・」
私はその質問に躊躇なくそう答えた。
「えええ!! お姉さまはまたわたくしを置いてどこかに行ってしまわれるのですか!?」
その私の言葉にアリスちゃんが、残念そうにそう悲鳴のような声を上げる。
「仕方ないぞアリスフィア。もしリンネの嬢ちゃんが帰って来た時は、リンネの嬢ちゃんの意思を尊重しようと、前々から決めていただろう?」
「そうでした・・・」
アリスちゃんはがっかりしたようにうなだれた。
どうやら皆はすでに、私の意見を尊重する方向で、話をしてくれていたようだ。
「で、もう1つ聞いておきたい話があるのだが・・・」
そこでローレンス元国王が、次の質問をしようと、話を切り出した。
いったい次はなんだというのだろうか?
「リンデルに、リンネの嬢ちゃんが父親であることは伝えるのか?」
そうだよね。まだその問題があったんだよね。
私は腕を組み、その返答を思案した。
【★クマさん重大事件です!】↓
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