13:リンネ vs ルドラの呪い
『あれがルドラの呪いですか・・・』
フェニックスに乗り、いくつかの転移を経て、ついに私は宇宙にある、ルドラの呪いへとたどり着いた。
ルドラの呪いは、不気味に黒光りして見える、ごつごつした巨大な岩のような小惑星だった。
『ここら辺りに着陸するわよん!』
そう言うとフェニックスは、小惑星に接近して着陸を開始する。
『とう!』
小惑星に降り立つと、その地面はとても固く、まるで岩のようだった。
土魔法で成分を調べると、その多くに鉄を含んでいるのがわかった。
まだ私のいるほんの周囲しか調べられてはいないが、おそらくこの小惑星は、ほぼ鉄で出来た小惑星なのではないかと考えられる。
そこに重力は全く存在せず、足から地面への魔力の流れをとけば、途端に地面と足との吸着源を失って、暗い宇宙へと投げ出されるだろう。
宇宙に光る星々が私の周囲を照らし、妙に明るく感じる。
そこはまるで夜空に照らされた、岩山のようにも思えてくる。
『ワタシはしばらく転移装置のある場所まで撤退しているわん。何かあったらよんでちょうだい』
そう言うとフェニックスは、転移装置があると思われる場所に、飛び去って行った。
『リンネ。どうやらルドラの呪いに到着したようだね?』
ルドラの呪いに到着してしばらくすると、聖獣キリンの声がしてきた。
とはいっても宇宙空間であるここは、まったくの無音なので、それは頭の中に響く念話のようなものなのだが。
『どうしましょう? 何処を爆破すれば上手いこと小惑星の軌道が変えられますかね?』
私は聖獣キリンに、最良であると思われる、禁呪の起爆個所を尋ねた。
『なら今から誘導する場所に向かってくれ』
そう言うと聖獣キリンは、まるでこの場所が見えているかのように、目的の場所への案内を始めた。
『この場所に土魔法で穴を掘って、そこに呪いの石を、仕掛ければいいんですね?』
私は聖獣キリンの指示するままに、呪いの石を、穴を掘ってその中にセットした。
『嬢ちゃん、起爆時には壁を何重にも重ねるんだぞ! 絶対に油断するなよ!』
すると次に、クマさんの声が響いてきた。
『大丈夫ですよ。そこは抜かりがありませんから』
爆風から身を護る訓練は何度も積んできているし、今更失敗することもないだろう。
私は起爆個所から、ギリギリ起爆できる位置まで離れると、練習どおりに、爆発の衝撃が防げるように、地面に穴をあけ、その中に入って、さらに何重にも重ねた蓋をする。
『それでは禁呪による起爆を開始します・・・』
カッ!!! ゴゴゴゴ・・・・
起爆すると音はしないが、凄まじい衝撃が、肌でピリピリと感じられてくる。
その圧力はとても恐ろしく狂暴だ。
今にも巻き込まれそうで、とても恐怖を感じる。
穴の中にいてこれなのだ。
地上にいれば間違いなく吹き飛ばされて、ばらばらになっていただろう。
クワッ!!
まずい! 地上の衝撃を感じるのが手一杯で、足元の気配を感じるのを怠っていた!
その時地面に亀裂ができたかと思うと、その亀裂の間に、巨大な目玉が見えたのだ。
『アイテール・・・やはり貴様・・・生きていたのか・・・・』
すると聞き覚えのない、恐ろしい感じのする声が聞こえて来た。
そして・・・・
『ひゃ!!』
『リンネどうしたの!?』
『嬢ちゃん無事か!? 何があった!?』
気付くと地上に押し出され、私はふわりと地面から離れようとしていた。
とっさに魔力を流して、地面との接触を行う。
だが、何かそこで違和感を感じた。
『あ・・・あ・・・・』
な・・・なんだこれ、なんだこれ!!! 手も足も・・・もう・・・・
見ると私の手足が、体の下半分が、黒く染まり、炭化し、まるで見る影もない。
私は真下から、何か熱のようなものを浴びせかけられ、こうなったに違いない。
『気づいたら焼けてて・・・黒くなっていて・・・。もう指も手も・・・真っ黒で・・・枯れ木みたいで・・・・。あ、足もお腹も・・・・黒くて・・・真っ黒で・・・もう・・・』
その状況に猛烈な恐怖を感じ、一瞬錯乱しかける。
涙も出てきて、宇宙空間をシャボン玉のように散っていく。
『くっ!』
だがここで恐怖して縮こまっていては、私はその油断をつかれ、殺されてしまうだろう。
彼奴に・・・
幸い儀式の効果なのか、私はそんな状態になりながらも、生きているのだ。
それに痛みもまるで感じていない。
そしてあの地面に出来た亀裂から見えた目玉の正体はおそらく・・・
『貴方・・・ルドラですね?』
私は無残に倒れながらも、今感じている脅威にそう尋ねた。
『それ以外に何があるというのだアイテール・・・・やはり生きていたのだな貴様は・・・・』
すると脅威は・・・いや、ルドラは、念話でそう私に返してきた。
原初の者達に葬られたと思われていたルドラは、化け物に姿を変え、この小惑星の中で、生きていたのだ。
どうやらルドラは、私をアイテールと勘違いしているようだ。
これは仮説だが、おそらく6000年前にアイテールを殺したのはルドラだろう。
アイテールも先ほどの私のように、禁呪の衝撃に備えていたに違いないのだ。
その合間に先ほどの熱による、謎の攻撃を受けたのだろう。
『ルドラだって!? リンネ! そこにルドラがいるのかい!?』
それを聞いた聖獣キリンが、まくし立てるように私にそう尋ねてきた。
『目の前にはいません。たぶん彼は・・・この小惑星のどこかに潜んでいるのでしょう・・・』
『嬢ちゃん逃げろ! そいつは危険な原初だ!! そんな状態では戦えねえ!』
クマさんが私に撤退をよびかける。
きっと彼らの目の前にある、私にそっくりな白い像に、何かの変化が起こり、私の状態を知ったのだろう。
『駄目だよクマジロウ。まだルドラの呪いはアースから軌道を逸らしていない・・・』
『なんでだ!!? 嬢ちゃんがあんな思いしているのに、なんでルドラの呪いはそれねえんだ!?』
衝撃的なことに、先ほどの禁呪では、ルドラの呪いの軌道は逸らせなかったようだ。
だがもしかしたら、この小惑星に潜むルドラを倒せば、何とかなるかもしれないと、私は直観的にそう思った。
私は魔力感知を使い、ルドラの、先ほどの巨大な目玉の気配を探る。
そして奴の位置を捕捉した。
奴の動きから予測するに、奴は再び私の真下に移動する算段のようだ。
おそらく再び私の足元に亀裂を発生させて、強烈な熱攻撃を浴びせるつもりなのだろう。
私が奴を狙うなら、その時だ。
だがあの強烈な熱攻撃を再び受ければ、私の命もないだろう。
ここは慎重に対処せねばなるまい。
私は魔力を腕の形にして、自らを地面から押し上げ、地面から浮遊する。
『土剣・・・』
そして土剣を発動すると、黒焦げた腕に持たせ、魔力で操作して地面に向けた。
続けて神気と龍の魔力をその土剣に流し込む。
すると土剣の先が巨大な金の龍の頭となり、メキメキと私の腕が、金の鱗に浸食されていく。
『こんどこそ死ね! アイテール!』
『いいえ・・・貴方の負けですルドラ! 神龍砲!!』
ドピュウゥゥゥ~!!!!
私は地面に亀裂が入り、巨大な目玉が見えたその刹那、あのオレイカルコスをも消滅させる、神龍アトゥム最強の攻撃、神龍砲を放ったのだった。
【★クマさん重大事件です!】↓
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