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白百合姫と照焼王子

作者:桃巴
 コクト王子とリリィ姫の婚姻は荘厳な大聖堂で行われていた。

「誓いのキスを」そう神官から促され、リリィ姫は王子と向き合う。優しい声のコクト王子が姫の名を呼んだ。

 リリィが夢にまで見た誓いのキスは……リリィの気絶で幕を下ろす。なぜなら、王子の顔は若鶏の照焼並に肌が焼かれていたからだ。(陽に焼けて)

 目覚めたときからはじまる白百合姫と照焼王子の日常は、ちょっと可笑しく、ちょっとときめいたりと慌ただしい。


「僕の子猫ちゃんは目覚めたかい?」
 そう、今日もコクト様はうざったいし、暑っ苦しいし、けれどちょっとだけ……胸が疼くのですわ。(リリィ談)
「僕の子猫ちゃん、胸が苦しいのかい? さあ、僕が診てあげよう」
 ひいぃっ。(リリィ、脱兎のごとく……)
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