第四話:俺が振り回した連中に、俺は振り回されている
トウジ、ランス、さっちん、マイトは無事だったが、完全に回復してはいなかった。とにかく彼らを休ませた。
部屋に連れてった後、ミリアと散々な思いをさせられた。
あちこちから問い詰められた。しゃーねーよな。術具なんてそれだけ稀な存在だったってことだ。
「聞かせてもらおうかな。まずこの紙、なんなんだ? いつから持ってたんだよ」
「持ってるだけで罪 みたいな問い詰めは止めないか。ていうか、契約者以外の人間にいちいち説明しなきゃならない義務もなかろう?」
「隠し事するってことは、やましい事でもあるんじゃないのか?」
「そりゃ……隠したい事はいろいろありますよ……」
「ミリアの隠したい事はシャレにならねーし、こいつらの言いたい隠し事の種類ががちげーだろ。つか、誰が紙だ。俺はスタンって名前だ!」
「今ここでスタンの自己紹介はいーよ! 大体しょーがないじゃない! だーれもわかってくんないんだもん!」
「だからあの事は言う必要ねーだろって話だよ!」
「何のことだかしゃべってもらおうかな。多くのチームを巻き沿いにしたんだからな」
「お前ら多分勘違いしてる。つか、ミリアにそゆ事言わせんな。話聞いたら宿中がどん底に落ち込むわ!」
「とりあえず、報酬の件はどうなる? 俺はこの紙の件については特に何も言わんよ。依頼の件のみを話題に挙げたいね」
「報酬の件は問題ないっつってた。それからパレットカラーズ? 黒装束の連中に調べてやるって言ってたから、世話になるだろうからそっちにも出すって」
「どこからそんな報酬を手に入れたのかもじっくり聞きたいねぇ」
「俺が仲間に入る前のことだから俺は知らねーよ。ただ聞いた話では、ごく真っ当な手段だったぜ」
もう誰がどのチームか覚えきれんし、誰が何言ってたのかもわからなくなってくる。
「とにかく! あの『濁龍』をぶっ倒すんだよ! そっから今回の依頼に繋がんの!」
うぉう、静かになった。耳がようやく落ち着いた。だが。
「……いきなり何を言いだすかと思えば……」
「やめとけやめとけ。またあの被害が再現されるぞ」
「あの龍、寝てるんならまたいつか起きるよな?」
「あの黒装束が起こそうとしてるのか?」
まともな奴の言うことじゃない、と言わんばかりに呆れた口調の奴もいれば、断固反対の声を上げるやつもいる。わかっちゃいるが、同意してくれる方が少数だ。
「紙さんはこの町の危機のことについては聞いているのよね?」
「勿論だ。だが実際に目にしてからの方が対策を立てやすいかと思ってな」
「ファイクルの連中、こんなバカとは思わなかった」
「黒装束より危険じゃね?」
危険な連中だったら、あの山道でポンポン俺を使おうとしてただろうよ!
しかし俺は一回も見ちゃいない。そんな俺が何を言っても信頼されないだろうな。
「とにかく!」
ミリアが大声を出す。
「ファイヤー・クラックルのみんなが完調してから話を進めたいと思います。構いませんね?」
「あいつらがしなきゃいけない話は報酬のことだ。間違いなく信頼関係に響くからな。だが術具の件については、今回の依頼の件とは別問題だし、誰が何の道具もってようが他のチームが知らなきゃならない事じゃない。まぁ明日の夕方になりゃ、関係者一同集めて話しできるんじゃねーか? それでこっちは異議はねーな」
「私は術具の方に興味あるわねぇ……おねーさんは仲良くしたいと思ってるんだけど?」
「姫ぇ、空気は読みましょうよ」
「……だが、ファイクルの連中、頭がおかしかろうがまともだろうが、黒装束の連中は濁龍とずっと関わっていた ということは言えるな」
濁龍は、遅かれ早かれこの町にとって再び脅威となる。
改めてそう認識させられたその一言は、俺たちへの意見全てを一掃した。




