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別世界でも誰かに振り回されている件  作者: 網野ホウ
第二章 幻獣たちは町を、呪いは俺たちを振り回していた
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第十三話:俺たちは奴らを振り回せるか

登場する主要云々

遠風山脈:町を危機に陥れた幻獣「濁龍」が氷漬けされて眠らされている山脈。

黒装束 :濁龍を守ろうと推測される集団の呼び名。

眠り姫たち:五人編成チーム。

 セイザー:仲間内では姫と呼ばれている。

 ニール :セイザーと同じくファイクル友好派。


 ……どう見ても女性3人だろ?

 理由は冒険者だから、だけでいいのか? 食事の量が普通じゃないんだって、こいつら。


「……ということで、調査しに行くんです」


「遠風山脈か。そのためだけに行くってのも無駄足になりますね」

「うん、その地限定での依頼でもなきゃ行くところじゃないしね」


「でも姫ぇ……私もそのもこもこ着てみたいなー」

「気持ちよさそーだねぇ、もこもこ」

「もこもこ気持ちいーですよぉ」




 ちっ




「……なんかミリアちゃんの腰のあたり、妙な気配あるんだけど……」

「え?いつもと変わりありませんよ?」

「そいえば手紙みたいなの腰から取り出したよね?その辺り」


 やべぇ。こいつもかよ。


「なんか怪我の前触れとかじゃなきゃいいけど」

「今後そういう所に行くんですから、わたしも十分注意してますっ。フフン」

「ならいいけど……油断しないようにね」


「はい、ありがとうございます。そろそろ時間なので戻りますね」

「おぅ、みんなにごめんって謝っといて」

「はーい」


 奢りで一つ貸し、なんてならなきゃいいが。


「……よし、こっち見てないな。スタン、メモ能力借りるね」

「お? おう」


 いきなり俺を広げる。ミリアは思念によって俺に何かを書き記す。


「店員さん、これ」

「はいよー。ほう、はい、じゃあ三千二百ペイスね」

 

 うまい使い方だな。何と書かれたかもわかる。『三人のテーブルの私の分だけ支払います』か。



「書く動作で誰に買察知されることもないってのは意外と侮れない能力だよ。助かったよ、スタン」

「あぁ、俺も逆に怪しまれずに第三者と接触できる。我ながら名案だったな」

「うん、さ、急いで合流して報告するよっ」

「おう、食った分だけ動け動け」

「余計な一言増えてきたよっ。ミスラスに似てるよっ」

「俺って周りに影響されやすいな」

「元々はいいやつ。っていい方に解釈させないのっ」


 来る前の沈んだ空気はどこへやら。こうでなきゃ元気は出ねぇよ。




 トウジたちと合流した後今後の計画を練る。

「姫たちとそんなことがあったか。余計な心配はせずに済むだろうが、個々で嫌がらせはあるかもな」「で、まず黒装束の所在と人数と目的については?」

「濁龍方向を気にしていることはわかった。で、何人か手にかけてそうだね。血の漂う空気を感じた」


「林の中に入るってのも危険だな。自分の領域だろうから、逃げ切るには骨が折れそうだ」

「普段はどこにいるのかも予想できない」


「まさか麓の村民?」

「それはない。村から奴らがうろうろとしてた場所まで、奴らが移動していた形跡がなかった」

「ホントこーゆーときはさっちんが神様に見えるよ。おだてじゃねーぞ。ほかにこれ以上の表現の仕方を知らねーだけだ」

「お褒めの言葉より、対策や作戦の提案とかがほしいね」


「村には空き家はないかな」

「どうして?スタン」

「そこを借りて滞在する。野宿したら奴らにマークされるからな」

「それはもっともだ」

「でそこからならマークしても向こうは気にしないだろ。さっちんが初めて気配に気づいたとき、向こうはこっちに気づかなかったろ?」

「向こうはマークを外してただけかもしれないけどね」

「だから民家はどうかと思ったんだ。なおさらマークしないんじゃないか?」

「民家の中から注意されてたら、逆に怪しまれる気もするが」


「……まぁいいや、重要なのはそこじゃない。ただの手順だ」

「というと?」

「ずっと五人がそこにいるわけじゃないだろ。交代することだってあるはずだ」

「ふむ、それで?」


「秘密にしときたいなら、トラップも仕掛けるだろうよ。奴らを追跡する手はない」

「じゃあどうするのよ」

「まず移動した先にアジトがある可能性は高い」

「そうだな」

「そしてどんなトラップがあるかを調べる。ありもしないトラップにかかるのはまずいからな」

「どういうこと?」


「たとえば、何も知らない侵入者が引っ掛かると音を出す仕掛けなんかは知らないか?」

「鳴子……だっけ?」

「そう、そんなのがあったら、その音を鳴らす。ただし仕掛けがない場所で」


「めんどくさい説明の仕方だなぁ」

 性格だろうな。我ながらそう思う。


「俺たちは奴らの数と場所を知らなきゃならない。そして奴らは秘密にするだろうよ。だが仕掛けにかかったら居場所からやってくる。その人数は判明する。ただしアジトからくるかどうかはわからない」


「そうだな」

「じゃあどこの仕掛けが鳴ったか、よくわからないという状況になったらどうだ? 探索に時間がかかれば人数もやがて増えるだろ。それはどこから増える?」


「見つからなかったら……休んでるやつも叩き起こして血眼で探すだろう。アジトからも当然出てくる」

「じゃあどうやってその音源をわからないようにする? 仕掛けた場所はみんな把握してるだろ」


「そこで仕掛けがないところから音を出すってことか。仕掛けてないところには探しに行かない。仕掛けたところしかうろうろしない」


「つまり人数多くアジトから出すことで、アジトを把握し、人数も把握。黒装束の連中は侵入者の正体と人数を把握しようとする。俺らの居場所からも罠の仕掛けからも離れた場所から音を発生させれば俺らもマークはされずに済む」

「うんうん」

「当然俺らは撤退を比較的簡単にできるというわけだ」


「なるほど。それでいこうか」


「ただ、前回より接触する可能性は高い。前回よりも重装備でいくべきだ。ダメージをなるべく食らわないように全身覆えるのがいいが」


「あぁ。だが都合よくあるかな?まぁ明日一日かけて準備して、明後日出発しよう」

「「「「「了解」」」」」



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いつも見て頂きましてありがとうございます。
新作小説始めました。
勇者じゃないと言われて追放されたので、帰り方が見つかるまで異世界でスローライフすることにした
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