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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・夏季休業編

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第65話 伝説のアイテム

 学院の書庫から戻った俺たちは、すぐにマヨたちの部屋に集まり、今後の方針を話し合っていた。


「禁書庫の解放条件で足りないもの、はレベル50以上またはレジェンドアイテム『炎の残滓』の所持……か」


 俺はソファに座りながら、ステータスウィンドウを開いて、自分のステータスを確認する。


 現在のレベルは45。あと5レベル上げれば条件を満たせるが、それなりに時間がかかりそうだ。


「レベル上げだけでもいけるけど、並行して『炎の残滓』も探した方が効率的よね」


 そんな中、マヨが腕を組んで提案する。


「そうですね。どちらか一方に絞るより、両方進められる方が安心です」


 それに、カタルシアも同意する。


「お宝探し……久しぶりに大冒険した~い!」


 ミリアはすでにやる気満々だ。


「じゃあ、明日からは情報集めとレベル上げを並行して進めよう。まずは『炎の残滓』がどんなものか、どこにあるのか調べないとな」


 俺がまとめると、みんなうなずく。


 そうして、俺たちの次の方針が決まったのだった。




 翌朝。俺たちは、情報収集のため、王都イロアスの中心部にある冒険者ギルドへ向かう。


 ちなみに、昨夜、スピーカーに『炎の残滓』について尋ねてみたが、有益な情報は得られなかった。結局、自分たちで地道に調べるしかないらしい。


「おぉ~、これが王都の冒険者ギルドか!」


 しばらくして、俺たちはギルドへと到着する。


 ギルドはミルキーウェイのものとは大違いで、ちょっとしたビルのような大きな建物がそびえ立っていた。

 

 周辺はとても活気があり、朝から多くの冒険者が行き交っている。


「流石フォルティス王国だわ。ギルドの規模が桁違いね」


「ここなら、何か情報があるかもしれませんね」


 そう言いながら、俺たちは建物の中へと入る。


 そして、受付にレジェンドアイテムを探している旨を伝えると、すぐに奥の部屋へ通された。


 しばらく待っていると、やがて1人の男が部屋に入ってきた。


 年齢は40代半ばくらい。短く刈り込んだ黒髪に、鋭い目つき。冒険者らしい傷が残る顔だが、どこか落ち着いた雰囲気をまとっている。


「はじめまして。このギルドのギルドマスターをやっているオリブという者だ。君たちが、レジェンドアイテムを探しているという冒険者か?」


 オリブはそう言いながら、机の向こうに座る。


「はい。『炎の残滓』というアイテムについて、何かご存じないでしょうか」


 俺が切り出すと、男は一瞬目を細めた。


「……炎の残滓、か」


 オリブは少し沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。


「珍しいものを探すんだな。あれは、フォルティスに存在すると言われる伝説のアイテムだ。だが、正確な所在も、姿形も、ほとんど伝わっていない」


「それでも、何か伝承はあるんですか?」


 マヨが前のめりになって尋ねる。


「あぁ……だが、本当に伝説的なはなしだ」


 やがて、オリブは机の上に肘をつき、ゆっくりと語り始めた。


「古代イロアス帝国と古代アース帝国が戦争をしていた頃のことだ」


「古代アース帝国って……今のミルキーウェイ帝国があったところの……」


 俺は、初めて天神聖書を見つけた奇妙なダンジョンを思い出す。


「そうだ。そして、イロアスは『火の化身』と呼ばれる存在に、滅亡寸前まで追い詰められた。その時、イロアスの指導者が化身と盟約を結んだらしい」


「盟約……?」


「ああ。『次に我らの国を襲えば、その『炎の残滓』によって、貴様たちの国は業火に焼かれるだろう』――そう言い残して、化身は炎の残滓をイロアス側に渡したという。一種の抑止力としてな」


 ギルドマスターはそこで一度言葉を切り、俺たちを見据える。


「その……火の化身っていうのはもしかして……」


 俺が口を開くと、隣でカタルシアが小さく呟いた。


「火の化身――七位星将《しちいせいしょう》第六席『ベテルギウス』……確か、古いおとぎ話で似たようなものを聞いたことがあります」


 カタルシアは少し間を置いてから、静かに語り始めた。


「七位星将は、かつて魔神王が直接生み出した七柱の強大な存在です。その中で第六席のベテルギウスは、戦いの神として恐れられていました。特にラニアケア大陸では、ミルキーウェイの前身である古代アース帝国を守護する存在として君臨し、他国への抑止力としても機能していたと伝えられています」


「伝説の魔神王の眷属ってわけか……」


 オリブが呟くと、カタルシアはうなずいた。


「はい。その力が余りにも強大だったため、敵対する国々は本気で攻めることを躊躇したと言われています。今回の『炎の残滓』の伝承も、そうした力の一端を示しているのかもしれません」


 オリブは腕を組んで、静かに息を吐く。


「七位星将、か。聞いたことはあるが、あくまで伝説。正直、実在するか怪しいものだ」


 オリブの反応は予想通りだった。現代では、星将や魔神王の存在はほとんど神話やおとぎ話扱いになっている。


 だが、俺たちは違う。俺たちは、それが単なる伝説ではないことを知っている。


(……やっぱり、ここにあるんだな)


 俺は内心で確信を強めた。


「それでも、場所の手がかりくらいはありませんか? 古代イロアス帝国のダンジョンのどこか、とおっしゃっていましたが」


 俺はオリブにそう尋ねる。


「そうだなぁ……可能性のあるダンジョンはいくつかあるが、一番有力なのはここだ」


 オリブはそう言うと、カバンから古い地図を取り出し、広げた。


 指差された場所は、王都からそれほど遠くない山岳地帯。


「『焔葬《えんそう》の遺跡』と呼ばれている。危険度は中級だが場所が複雑すぎる上、古代の仕掛けが難解で踏破者はいないと言われている。あそこなら、何か手がかりがあるかもしれん」


「わかりました。ありがとうございます」


 俺たちは礼を述べ、地図の写しを受け取る。


「気をつけろよ。伝説のアイテムを探す連中は、ろくな目に遭わないことが多い」


 オリブの忠告を背に、俺たちは部屋を出た。


 外に出ると、マヨが小さく息を吐く。


「……本当にありそうね。


「案外簡単に情報が手に入ったが、さっそく行くか?」


「そうね。じゃあ、焔葬の遺跡へ向かいましょうか!」


「久しぶりの冒険だー!」


 みんなの笑顔に、俺は地図を握りしめた。


 そうして、俺たちは『炎の残滓』を求めて、次のダンジョンへと向かうことになった。




 昼。俺たちは諸々の準備を済ませ、目的のダンジョンへ向かう。


 王都から山岳地帯までは、歩いて数時間ほどだが、馬車で行くと早く着く。


 街道を離れ、徐々に人通りは少なくなっていったところで、インベントリから久しぶりに荷車を出し馬車で進む。


「焔葬の遺跡……か。名前からして、いかにも炎っぽいな」


 俺が地図を確認しながら呟くと、マヨが口を開いた。


「火の化身――ベテルギウスの伝説と繋がっているなら、当然かもしれないわね。七位星将の力の一端が残っている場所、ってことかしら」


「そうですね。でも、不思議なのは天神聖書との関係です」


 カタルシアが静かに続ける。


「天神聖書はミルキーウェイの魔神王――つまりテンコさんに関わるものだとされていますが、実際に『炎の残滓』が禁書庫の封印を解く条件になっているのは、偶然ではない気がします」


 その言葉を聞き、俺はふと過去の記憶を辿った。


「そういえば……初めて天神聖書を見つけた時のこと、覚えてるか?」


「古代アース神殿、よね」


「ああ。その時、壁に妙なシンボルが描かれていなかったか。木のような……いや、枝が広がるような模様だった」


「……それってもしかして」


 カタルシアが少し考えるように視線を落とす。


「ハッ……! 竜星神殿だ」


 俺が言うと、3人が同時にこちらを見た。


「竜星神殿で見た七位星将のシンボルと、酷似している」


「……本当に?」


 マヨが目を細める。


「ああ。当時は『既視感があるな』くらいにしか思わなかったけど、今こうして話を聞いてみると、明らかに繋がっている気がする」


 ミリアが尻尾を軽く振りながら、首を傾げた。


「そもそも、誰が書いたの? テンにぃ?」


「う〜ん……」


 俺は空を見上げながら、思考を整理する。


(確かに、天神聖書って誰が書いたんだ? なんのために……何が書かれているんだ……)


 ピースが少しずつ嵌まっていくと同時に、謎が深まっていく感覚。


「……複雑になってきたな。でも、少なくとも『炎の残滓』を手に入れれば、禁書庫に入れる。そこから先は、また考えよう」


「そうね。まずは目の前のダンジョンをクリアしましょう」


 そうして話しながら進むうちに、前方に切り立った岩壁が見えてきた。


 岩壁の中腹に、黒く煤けたような石造りの入口が口を開けている。


「……着いたみたいだな」


 俺は地図をしまい、入口を見上げた。


「おお〜、楽しみだね!」


 ミリアが目を輝かせる。


「油断は禁物よ。ギルドマスターも言っていたし、仕掛けが複雑らしいから」


 マヨが釘を刺すように言う。


「気をつけて進みましょう」


 カタルシアも真剣な表情でうなずく。


 俺たちは互いに顔を見合わせる。


 こうして、『炎の残滓』を求めた探索が、本格的に始まるのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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