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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第八章 覚醒者育成学院・大会準備編

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第65話 全身全霊

 エリックとの激戦を終えてから、俺はさらに一試合をこなす。


 相手は2回生の強豪だったが、エリック戦で得た手応えを活かし、比較的スムーズに勝利を収めることができた。


(まだ終わらない……この総当たり、全部やり切らないと代表は決まらない)


 俺は、控室で軽い昼食を取りながら深呼吸をする。


 やがて、昼休憩が終わり、午後の試合が再開された。


 第一闘技場は朝以上に熱気と緊張感に満ちている。代表選抜期間中とはいえ、この一騎討ちの総当たりは学院全体の注目を集めていた。


 俺は控室で軽くストレッチをしながら、次の相手を待った。


 やがて、体育教師の声が響き渡る。


「次、テンコ=ミルキーウェイvsアンナ・ソーディア!」


 その瞬間、会場全体がどよめき、すぐに大きな拍手に変わった。


(……ついに来たか)


 俺は一呼吸置いてアリーナへと足を踏み入れた。対面に立つのは、3回生首席のアンナ。


 金の髪を後ろでまとめ、聖なる気配をまとったアンナは、いつもの穏やかな微笑みを浮かべている。


 しかし、その瞳の奥には、学院最強と謳われる剣士としての鋭い光が宿っていた。


「テンコさん。エリックさんとの戦い、とても素晴らしかったわ。まさか、こんなに早く再戦できるなんて……少々本気でいきます」


 アンナの声は静かだが、闘気を感じさせるものだった。


「はい……全身全霊でお相手します」


 俺は軽く頭を下げ、構えを取った。


 心臓の鼓動が速くなるのを感じながら、俺は内心で呟いた。


(アンナさん……本気で来るなら、俺も全力で挑むしかない)


 やがて、教師が手を高く掲げ、試合開始の合図を告げた。


 ——瞬間、闘技場の空気が一変した。


 アンナが一歩踏み込んだ刹那、姿が視界から消えた。


(速い……!)


 俺は咄嗟に横へ跳ぶ。直後、背後から剣が空を裂いた。


「くっ……!」〔瞬雷しゅんらい


 俺は即座に反転し、生成した雷剣から雷の斬撃を放つ。


 黄色い稲妻の軌跡がアリーナを横断するが、アンナは余裕で回避。まるで風のように滑る動きで間合いを詰めてくる。


 観客席から「見えない……」「速すぎる」という驚きの声が上がった。


 アンナの聖剣が聖光を纏い、連撃を浴びせてくる。


 一撃一撃が重く、正確で、隙がない。俺はカウンターを狙うも、ことごとく先読みされる。


(俺はこの学院に来て、レベルこそ上がってないものの、以前より確実に強くなった。でも、強くなったからこそはっきりとわかる……この人は、化物だ)


 俺の全力の〔雷駆らいく〕は、初速で遷音速に達する超スピードの技。なのに、アンナはそのスピードを軽く上回る程のスピードを持っている。故に、攻撃から逃れられない。


 そして――


(以前戦った時はわからなかったけど、この人、無駄がなさすぎる。全ての神力しんりょくをスキルや身体強化に還元し、ロスが全くない。異次元の神力操作……)


 出力。神力操作。そして、美しすぎる剣術。


(これでレベル39とか……嘘だろ……! 下手したら、アンドロメダの第一王子——本気のラッツより強いぞ……!)


 俺はギアを上げる。


「出し惜しみはしない……!」〔ライトニングソード・そう


 雷剣をもう一つ生成し、その剣にありったけの魔力をそそぎ込む。


 すると、黄色だった雷剣が青白く変化した。


「ほう、まだ余力があるようね。ならばこちらも、とっておきを見せてあげるわ」


 アンナはそう言うと、


「――神剣解放」


 と、聖剣の力を解放した。


 剣を纏う光が増大し、黄金に輝き始める。


「あ、あれはまさか、アンナさんの神剣!?」「なんてオーラなんだ……」「聖剣よりワンランク上の剣……すごすぎる!!」


 その光景に、観客席からはどよめきが起こった。


 アンナは静かに剣を構える。そして――


「それでは行きます」


 ――ドォォン!


 目にも止まらぬ強烈な一閃が、アリーナを震わせた。


「ッ!?」


 俺は間一髪でそれを避けると、


雷電双閃らいでんそうせん


 と、怯まずカウンターを入れる。


 アンナは後退してこれを回避。だが、その隙に俺は次の技を繰り出した。


〔雷電双剣・乱れ裂き〕


 青白い稲妻の斬撃が、アンナを襲う。


〔神剣・簡易聖域〕


 しかし、アンナは目の前にバリアのようなものを張り、攻撃をガードした。


(あれは……空間を切り裂き、囲んだ範囲を聖域にして魔法を浄化する技。その応用か。まずいな)


 力の差は圧倒的。普通の生徒なら、既に死んでいてもおかしくない程の攻撃に、俺は内心焦る。


 だが、俺は自分を奮い立たせ、本腰を入れた。


〔雷電剣・流星〕


 俺は剣を掲げ、多方向から雷剣を降り注がせる。


 アンナは聖なる障壁を展開しながらも、俺の攻撃を最小限の動きで躱し、剣で俺の側面を打ってきた。

 

 〔ライトニングシールド〕を展開するも、衝撃が身体に響く。


 俺は距離を取り、即座に〔雷電双剣・乱れ裂き〕を放った。


 今度は、俺の攻撃がアンナの頰をわずかに掠める。


「……やるわね、テンコさん」


 そんな中、アンナが初めて本気の笑みを浮かべた。


 次の瞬間、アンナの気配が爆発的に膨れ上がる。


 聖光が爆発し、アンナの速度がさらに上がった。もはや残像すらほとんど残らない。


 俺は必死に反応し、攻撃を凌ぎながらカウンターを入れるが、徐々に防戦一方になっていく。


 全身が熱を持ち、雷のオーラが激しく揺らぐ。俺は歯を食いしばり、切り札を繰り出した。


「雷魔法、最大出力——」〔げき滅紫電めっしでん


 紫電の一撃がアリーナを穿つ。これまでで最も集中した一撃だった。


 しかし――


 ——バチィッ!!


 アンナはそれを真正面から受け止め、神剣を振り抜いた。


 爆音とともに衝撃波が広がる。俺の紫電が砕け散り、アンナの剣が俺の肩を浅く斬り裂いた。


「がっ……!」


 膝が折れそうになる。


(俺の身体に傷が!? 防御力無視の攻撃……まずすぎる!!)


 俺は即座に後退する。


 だが――


「素晴らしいわ。本当に……あなたは成長した」


 アンナの声が静かに響いた直後、アンナの聖光が最大限に輝いた。


〔神剣・白光閃はくせんこう


 刹那、俺の視界は完全に白く染まった。


 次の瞬間、胸に強烈な衝撃が走り、身体が浮く。


 ――ズガァァン!!


 そして、俺はアリーナの壁に叩きつけられ、壁を滑り落ち、膝をついた。


 全身が痺れ、立とうとしても力が抜ける。


 やがて、教師の声が響いた。


「勝者、アンナ・ソーディア!」


 会場から割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。


 俺はゆっくりと顔を上げる。すると、アンナがこちらに歩み寄り、手を差し伸べてきた。


「……参りました。アンナさん、強すぎます」


 俺は苦笑しながらその手を取って立ち上がる。


「あなたこそ、本当に強かったわ。代表に相応しい戦いだった……お疲れ様」


 アンナは優しく微笑み、軽く頭を下げて去っていった。


 その後、残りの試合も行こなわれ、総当たり戦の俺の成績は4勝1敗。第2位という好成績で、無事一騎討ちの代表に決定した。


 会場から再び大きな拍手が送られる中、俺は控室に戻りながら静かに息を吐いた。


(……全身全霊で挑んでも、首席には届かなかったか。流石は聖人族。種族としてのパワーが桁違いだった)


 こうして、『一騎討ち』の代表選抜試験は幕を閉じた。




 その日の夜。俺はいつものように、マヨたちの部屋でくつろいでいた。


 ソファに深く腰を下ろし、今日の激戦の疲れを癒やしていると、カタルシアが紅茶を淹れてくれた。


 ミリアはベッドの上でクッションを抱えて座り、マヨは俺の隣に座った。


「テンコさん、本当にお疲れ様。4勝1敗で第2位……一騎討ちの代表、決定おめでとうございます」


 カタルシアが優しく微笑みながらカップを差し出す。


「あぁ、ありがとう。でもアンナさんには完敗だったな……あの人、本当に化け物だった」


「それでも、ものすごく成長していたわ。やっぱり、ポテンシャルは圧倒的ね」


 少し視線を落とす俺に、マヨが励ましの言葉をかけた。


「そうだな。でも……それにしても、あの強さは異常だ」


 今日の戦いで全身全霊を出し切った手応えは確かにあった。でも、それでも首席には届かなかったという現実が、胸の奥に残っている。


「まぁ、その話は置いといて――」


 そんな中、お茶を一口飲んでから、俺は本題を切り出した。


「実はさ……もう一つの候補競技の話なんだけど」


「魔水晶バトルロイヤルね」


 マヨがすぐに察す。


「ああ。あの競技の選抜試験は特殊で、候補者一人+候補者が選んだメンバー4人で計5人のパーティを組んで戦う形式らしい。チーム戦だから、連携が全てになるって話だ。だから、俺は今まで冒険をしてきたこのメンバーで挑みたい」


 俺がそう言うと、ミリアの目がキラキラと輝いた。


「それって、テンにぃと一緒に戦えるってこと!?」


 その言葉に、部屋の空気が一瞬温かくなった。


 カタルシアが静かに微笑む。


「ふふ、そう言って頂けて嬉しいです。私もテンコさんと一緒に大会に出られたら……きっと楽しいと思います」


「私も、そう思うわ!」


 マヨも乗り気に口を開いた。


 ただ、まだ一人足りない。


「問題は、残りの1人をどうするかだが……」


「他の候補者を選ぶことも可能なのよね?」


「あぁ。だから――」


 俺は少し沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。


「もう1人のメンバーは、ネレウスさんにしようと思う」


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


アンナ:学院3回生首席の聖人族。剣神という以下にも強そうなスキルを持っており、学院最強と謳われる女。容姿端麗。

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