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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第二章 神聖都市ルミナス編

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第16話 力の解釈

「あぁそうだ。手合わせの前に、まずは魔法を使う上で重要なことを聞いとこう。なにかコツ的なもので」


 ミリアとの手合わせの前に、俺はそう言うとカタルシアに視線を向ける。


「ま、魔法のコツですか?」


 カタルシアは少し考えると、


「そうですねぇ……」


 と、口を開いた。


「魔法を扱う上で一番重要なのは、やはりイメージですね」


「イメージ……技術とか魔力量とかじゃないんだな」


 俺の言葉に、カタルシアは一度うなずいてから、話を続ける。


「例えば、この杖。魔導士が杖を持つ理由は、これ自体に特別な力があるからというより、"魔法を発動するためのイメージを補完する装置"だからなんです」


 カタルシアはそう言うと、自分の杖を軽く掲げた。


「補完……なるほど。確かに、杖を持っていると、何かを"操る"イメージがより鮮明になる気がする」


 俺は内心で納得してうなずく。


「詠唱も同じです」


 カタルシアは静かに言葉を続ける。


「詠唱は、魔法を起動するためのスイッチであると同時に、術者自身にイメージを固定させるためのものなんです。だから、詠唱を省略すると、制御が難しくなることが多いんですよね」


「まぁ、魔法系のスキルを持っている人は、体に能力が刻まれているから必要ないんだけど、イメージが重要なのは変わらないわ」


 マヨは、カタルシアの言葉に補足して言う。


「その通りです」


 カタルシアは少し嬉しそうに微笑んだ。


「でも慣れてくると、杖がなくても魔法を使えるようになりますし、詠唱を省略、または簡略することもあります。戦闘中に、『〜〜魔法』って言ってる人がいたら、それは詠唱の簡略ですよ」


「へぇ〜、意外と奥が深いんだなぁ」


 俺はカタルシアの話を聞いて、魔法の奥深さに感心する。


「そうなんですよ! 魔法の一番の長所は、拡張性と汎用性です。例えば、同じ炎魔法でも、"燃やす"イメージなのか、"爆ぜる"イメージなのか、"包み込む"イメージなのかで、まったく別の魔法になります。


 つまり――イメージ次第で、能力はいくらでも伸ばせる、ということです」


 その言葉に、ミリアが目を輝かせた。


「じゃあさ、あたしの〔魔獣の爪〕も、もっと変えられるってこと」


「はい!」


 カタルシアははっきりとうなずく。


「おぉ……!」


 ミリアは、完全に乗り気だ。


「加護系のスキルは、基本的に"できること"が決まっています。もちろん、使い手の熟練度で差は出ますが、根本的な性質は変わりません。これは魔法使いや、神聖魔法使いの特権です」


「魔法系は個性に応じて、自分に合った技を"生み出す"ことができるんだよね」


「おもしれぇ……要は"力の解釈"を拡げれば良いんだな!」


 俺は興味深い魔法の本質に高揚した。


 イメージ――想像することは誰よりも得意だ。


 日々、白昼夢の世界で生きていた俺にとって、力の扱いをイメージすることは朝飯前だった。


「そうです! それを、手合わせを通じて学んでいきましょう」


「なんか、難しそうだけど、面白そう!」


「ええ」


 ミリアとマヨも、意見に同意する。


「よし。じゃあ改めて、手合わせを始めようか」


「うん!」


「フィールド作成は、私にまかせてください」


 そして、俺たちは手合わせのための準備に取り掛かった。




「結界はこんな感じでいいですか?」


 カタルシアが森や観戦組に攻撃が行かないように、結界を張る。


 空き地の中央に、縦、横、高さがだいたい20mほどのキューブ状の結界が、青緑色に淡く光っている。


「おっけーだよ」


「それでは。自然魔法」〔大地創成《テラジェネシス》〕


 そして、結界に合わせ、地盤を少し隆起させ、簡易的なフィールドを完成させた。


「おぉ~。やっぱ戦うからには武道会方式が一番だよな」


「早くやろ~!」


 俺たちはフィールドに上がると、互いに構える。


「ふふん、テンにぃ。手加減はいらないよ?」


 ミリアは軽くステップを踏みながら、楽しそうに笑う。


「言っとくけど、そっちもな」


 俺は肩を回しながら答えた。


「急所突きとか危険な攻撃はなしで、場外か降参で敗北ね。制限時間は5分にしましょうか」


 結界の外からマヨの冷静な指示が飛んでくる。


「はーい!」


「それじゃあ――」


 そして、カタルシアが手を挙げる。


「準備はいいですか?」


「おっけー!」


「いつでも来い」


「では……始め!」


 その合図と同時に、ミリアが先に動いた。


「いくよっ!」


 ミリアは地面を強く蹴り、一瞬で距離を詰めてくる。


「速っ――!」


 その攻撃に、俺は思わず声が出た。


〔魔獣の爪〕


 紫のオーラを纏った爪が、俺の目前に迫る。


「っと!」


 俺は横に跳び、間一髪で回避した。


 爪が地面を掠め、


 ――ズザッ!


 と、土が抉れた。


「うわ、えぐっ! 当たってたらやばかったかも」


 そんな軽口を叩きながら、俺も反撃を開始する。


「じゃあ、次はこっちの番だ」〔ライトニングソード〕


 俺が踏み込むと同時に、ミリアがにやりと笑った。


「来た来た!」


「うおっ!?」


 ミリアは正面から来ると思いきや、直前で地面を蹴り、斜め前に跳んで、俺の背後に回り込む。


「そっちか!」


 俺の剣は空を切る。


「甘いよ、テンにぃ!」


 その直後、背後から声が聞こえ、反射的にしゃがんだ。


 その瞬間、爪がものすごい速度で頭上を通り過ぎ、髪が少し揺れた。


「ちょ、近っ!」


「ミリアちゃん、いい一撃ですね!」


「そのままテンコを場外に吹き飛ばしなさい!」


 外から、観戦組の声が飛ぶ。


「おい、ヤジを飛ばすな!」


 俺は立て直しながら、息を整える。


(やべぇ。経験が圧倒的に足りない)


 ミリアの動きは速いだけじゃない。獣の動きをイメージしてるから、軌道が読みにくい。


「まだまだ!」


 ミリアは少し距離を取ると、


〔魔獣の爪・弾〕


 と、無数の爪を周りに出現させ、一気に飛ばしてきた。


「なッ!?」


 俺は予想外の攻撃に対応が遅れ、もろに攻撃を食らってしまった。


 ――ズドォン!


 衝撃が、背後に広がる森の木々を震わせる。


 だが、膨大な天賦力《てんぷりょく》を持つ俺には大したダメージにはならない。


「え〜、今ので無傷は反則じゃん!」


「ミリア、こうなりゃ金的よ!」


「おい! 急所突きは反則だぞ!」(俺は無性だけど)


 外野の声に惑わされつつも、俺は冷静に、


「イメージか」


 と、分析する。


(イメージ……かっこいい雷魔法のイメージだ)


 俺は指をパチンと鳴らす。


 すると、俺の周りに雷剣が無数に現れた。


「ミリア、手本ありがとな^^」〔雷電剣・流星〕


 そして、ミリアにお返しの攻撃をする。


「え、テンにぃ――きゃあ!」


 無数の雷剣がミリアを襲う。


「いったーい。ちょっとピリピリする〜」


 何とか避けたミリアだったが、少しかすめたようだ。


 それでもミリアは引かずに、


〔魔獣の咆哮〕


 と、次の攻撃を放ってくる。


 俺はその攻撃を防ぐと、


「少し、強めに行くよ!」〔雷光〕


 と、俺は雷のオーラを一気に解放し、無差別の広範囲攻撃を放った。


「うぐぅ!」


 逃げ場のない攻撃を食らったミリアは、全身が痺れてその場に座り込む。


「ま、参った〜」


 そして、ミリアはそのまま降参し、俺の勝利で手合わせが終了した。


「いや〜、大人気ないんじゃないの?」


 フィールドを降りると、観戦していたマヨがそう言ってきくる。


「まぁ、いい試合だっただろ。ミリアも思った以上に強かったし、これなら、これからも問題ないだろう」


「さすがテンにぃ。疲れたぁ」


 ミリアはフィールドを降りると、その場に寝転んでしまった。


「ミリアちゃん強かったわよ! 私なら負けてたかもしれません」


 カタルシアは、そんなミリアに優しく声をかけた。


「じゃあ、次は私とマヨさんですか」


「そうね」


 そして、次に2人がフィールドへと向かった。




「よーい、始め!」


 合図と同時に、先制攻撃を仕掛けたのはマヨだった。


「先手必勝よ」


 マヨは一歩踏み込み、剣を水平に構える。


 刃に水がまとわりつき、流れるように形を変える。


〔ウォータースラッシュ〕


 剣を振り抜くと同時に、水の刃が飛翔し、一直線にカタルシアへ向かっていった。


「――ッ! 防御魔法!」


 カタルシアはすぐさまバリアを展開し、攻撃を防いだ。


 ザァッと、水がバリアにぶつかり、四散した。


「さすが、反応が早いわね」


 マヨはそのまま距離を詰める。


「自然魔法」〔植縛《しょくばく》〕


 しかし、カタルシアが技を発動すると、地面からツルが伸び、マヨの足を絡め取った。


「ッと!」


 マヨは急いで剣でツルを断ち切り、体勢を立て直す。


「――行きます!」〔大地の手(アースハンド)〕


 しかし、その間に詠唱を済ませたカタルシアの攻撃が、マヨを襲った。


 拳の形をした土の塊が、マヨ目掛けて飛んでくる。


「これは厄介ね」〔激流突き〕


 マヨはそれを高威力の突き技で貫き、爆散させた。


 水しぶきが舞い、陽光を受けてキラキラと輝いている。


 カタルシアは杖を構え直し、再び詠唱に入る。


 だが、


「詠唱中は、隙ができる!」


 と、マヨは一気に踏み込み、接近戦に持ち込む。


 剣に水を纏わせながら、連続で斬りかかる。


〔流水乱斬〕


 流れるような剣撃が、次々と襲いかかる。


「これはッ……!」〔防護結界〕


 カタルシアはバリアで斬撃を防ぎつつ、その隙に結界を展開する。


 淡い光の膜が彼女を包み、剣撃を弾いた。


 ――キィン!


「防御魔法より強力な結界……やるわね」


「詠唱が必要ですが、守りには自信があります」


 だが、マヨは攻撃を止めない。


 剣を振るうたび、水が形を変え、斬撃の軌道が微妙にずれていく。


「剣技と魔法の組み合わせ。さすがだな」


 外から見ていた俺は、思わず感心する。


「マヨは近〜中距離が得意、カタルシアは中〜遠距離が得意か」


「2人とも強〜い」


 ミリアも真剣な表情で見守っていた。


 フィールドでは、カタルシアが距離を取ろうとし、マヨがそれを詰めにいく展開が続く。


「自然魔法」〔岩槍《ロックランス》〕


 地面から岩の槍が突き出し、マヨの進路を塞ぐ。


 マヨはそれを、水を足元に流し、滑るように横へ回避する。


 そして、カタルシアの懐に潜り込むと、剣で攻撃した。


「くっ……」


 結界が軋み、カタルシアが後退する。


「結界、限界が近いわね」


「ええ。でも――」


 しかし、マヨがカタルシアへの追撃をしに一歩踏み出すと、地面に魔法陣が現れ、地面がマヨの足を掴み、動きを止めた。


「しまっ……!」


 その瞬間、カタルシアは杖を振り下ろす。


〔自然の牢獄《プリズンオブネイチャー》〕


 木やツルなどの植物が絡み合い、即席の檻を形成する。


「……参った、かな」


 マヨは肩をすくめ、剣を下ろした。


「降参よ」


「おぉ、勝者はルシねぇだ!」


 結界の外から、ミリアの声が響く。


「お疲れさまです」


 フィールドを降りたカタルシアは、少し息を切らしながら頭を下げた。


「いい戦いだったわ。まさか罠を仕掛けてるなんて。今回のは完全に、貴女が一枚上手だったわ」


 マヨは微笑みながらそう口にする。


「マヨさんも凄かったです! 近接ならミリアちゃんやテンコさんに劣らないくらいですよ」


 2人は、どこか満足そうに笑い合う。


「よしっ、少し休憩したら、次は2vs2でもするかぁ」


「さんせー!」


 俺たちはその後も特訓を続け、その日は結局、日が暮れるまで手合わせをしたのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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