表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第二章 神聖都市ルミナス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/55

第16話 力の解釈

「あぁそうだ。手合わせの前に、まずは魔法を使う上で重要なことを聞いとこう。なにかコツ的なもので」


 ミリアとの手合わせの前に、俺はそう言うとカタルシアに視線を向ける。


「ま、魔法のコツですか?」


 カタルシアは少し考えると、


「そうですねぇ……」


 と、口を開いた。


「魔法を扱う上で一番重要なのは、やはりイメージですね」


「イメージ……技術とか魔力量とかじゃないんだな」


 俺の言葉に、カタルシアは一度うなずいてから、話を続ける。


「例えば、この杖。魔導士が杖を持つ理由は、これ自体に特別な力があるからというより、"魔法を発動するためのイメージを補完する装置"だからなんです」


 カタルシアはそう言うと、自分の杖を軽く掲げた。


「補完……なるほど。確かに、杖を持っていると、何かを"操る"イメージがより鮮明になる気がする」


 俺は内心で納得してうなずく。


「詠唱も同じです」


 カタルシアは静かに言葉を続ける。


「詠唱は、魔法を起動するためのスイッチであると同時に、術者自身にイメージを固定させるためのものなんです。だから、詠唱を省略すると、制御が難しくなることが多いんですよね」


「まぁ、魔法系のスキルを持っている人は、体に能力が刻まれているから必要ないんだけど、イメージが重要なのは変わらないわ」


 マヨは、カタルシアの言葉に補足して言う。


「その通りです」


 カタルシアは少し嬉しそうに微笑んだ。


「でも慣れてくると、杖がなくても魔法を使えるようになりますし、詠唱を省略、または簡略することもあります。戦闘中に、『〜〜魔法』って言ってる人がいたら、それは詠唱の簡略ですよ」


「へぇ〜、意外と奥が深いんだなぁ」


 俺はカタルシアの話を聞いて、魔法の奥深さに感心する。


「そうなんですよ! 魔法の一番の長所は、拡張性と汎用性です。例えば、同じ炎魔法でも、"燃やす"イメージなのか、"爆ぜる"イメージなのか、"包み込む"イメージなのかで、まったく別の魔法になります。


 つまり――イメージ次第で、能力はいくらでも伸ばせる、ということです」


 その言葉に、ミリアが目を輝かせた。


「じゃあさ、あたしの〔魔獣の爪〕も、もっと変えられるってこと」


「はい!」


 カタルシアははっきりとうなずく。


「おぉ……!」


 ミリアは、完全に乗り気だ。


「加護系のスキルは、基本的に"できること"が決まっています。もちろん、使い手の熟練度で差は出ますが、根本的な性質は変わりません。これは魔法使いや、神聖魔法使いの特権です」


「魔法系は個性に応じて、自分に合った技を"生み出す"ことができるんだよね」


「おもしれぇ……要は"力の解釈"を拡げれば良いんだな!」


 俺は興味深い魔法の本質に高揚した。


 イメージ――想像することは誰よりも得意だ。


 日々、白昼夢の世界で生きていた俺にとって、力の扱いをイメージすることは朝飯前だった。


「そうです! それを、手合わせを通じて学んでいきましょう」


「なんか、難しそうだけど、面白そう!」


「ええ」


 ミリアとマヨも、意見に同意する。


「よし。じゃあ改めて、手合わせを始めようか」


「うん!」


「フィールド作成は、私にまかせてください」


 そして、俺たちは手合わせのための準備に取り掛かった。




「結界はこんな感じでいいですか?」


 カタルシアが森や観戦組に攻撃が行かないように、結界を張る。


 空き地の中央に、縦、横、高さがだいたい20mほどのキューブ状の結界が、青緑色に淡く光っている。


「おっけーだよ」


「それでは。自然魔法」〔大地創成テラジェネシス


 そして、結界に合わせ、地盤を少し隆起させ、簡易的なフィールドを完成させた。


「おぉ~。やっぱ戦うからには武道会方式が一番だよな」


「早くやろ~!」


 俺たちはフィールドに上がると、互いに構える。


「ふふん、テンにぃ。手加減はいらないよ?」


 ミリアは軽くステップを踏みながら、楽しそうに笑う。


「言っとくけど、そっちもな」


 俺は肩を回しながら答えた。


「急所突きとか危険な攻撃はなしで、場外か降参で敗北ね。制限時間は5分にしましょうか」


 結界の外からマヨの冷静な指示が飛んでくる。


「はーい!」


「それじゃあ――」


 そして、カタルシアが手を挙げる。


「準備はいいですか?」


「おっけー!」


「いつでも来い」


「では……始め!」


 その合図と同時に、ミリアが先に動いた。


「いくよっ!」


 ミリアは地面を強く蹴り、一瞬で距離を詰めてくる。


「速っ――!」


 その攻撃に、俺は思わず声が出た。


〔魔獣の爪〕


 紫のオーラを纏った爪が、俺の目前に迫る。


「っと!」


 俺は横に跳び、間一髪で回避した。


 爪が地面を掠め、


 ――ズザッ!


 と、土が抉れた。


「うわ、えぐっ! 当たってたらやばかったかも」


 そんな軽口を叩きながら、俺も反撃を開始する。


「じゃあ、次はこっちの番だ」〔ライトニングソード〕


 俺が踏み込むと同時に、ミリアがにやりと笑った。


「来た来た!」


「うおっ!?」


 ミリアは正面から来ると思いきや、直前で地面を蹴り、斜め前に跳んで、俺の背後に回り込む。


「そっちか!」


 俺の剣は空を切る。


「甘いよ、テンにぃ!」


 その直後、背後から声が聞こえ、反射的にしゃがんだ。


 その瞬間、爪がものすごい速度で頭上を通り過ぎ、髪が少し揺れた。


「ちょ、近っ!」


「ミリアちゃん、いい一撃ですね!」


「そのままテンコを場外に吹き飛ばしなさい!」


 外から、観戦組の声が飛ぶ。


「おい、ヤジを飛ばすな!」


 俺は立て直しながら、息を整える。


(やべぇ。経験が圧倒的に足りない)


 ミリアの動きは速いだけじゃない。獣の動きをイメージしてるから、軌道が読みにくい。


「まだまだ!」


 ミリアは少し距離を取ると、


〔魔獣の爪・弾〕


 と、無数の爪を周りに出現させ、一気に飛ばしてきた。


「なッ!?」


 俺は予想外の攻撃に対応が遅れ、もろに攻撃を食らってしまった。


 ――ズドォン!


 衝撃が、背後に広がる森の木々を震わせる。


 だが、膨大な天賦力てんぷりょくを持つ俺には大したダメージにはならない。


「え〜、今ので無傷は反則じゃん!」


「ミリア、こうなりゃ金的よ!」


「おい! 急所突きは反則だぞ!」(俺は無性だけど)


 外野の声に惑わされつつも、俺は冷静に、


「イメージか」


 と、分析する。


(イメージ……かっこいい雷魔法のイメージだ)


 俺は指をパチンと鳴らす。


 すると、俺の周りに雷剣が無数に現れた。


「ミリア、手本ありがとな^^」〔雷電剣・流星〕


 そして、ミリアにお返しの攻撃をする。


「え、テンにぃ――きゃあ!」


 無数の雷剣がミリアを襲う。


「いったーい。ちょっとピリピリする〜」


 何とか避けたミリアだったが、少しかすめたようだ。


 それでもミリアは引かずに、


〔魔獣の咆哮〕


 と、次の攻撃を放ってくる。


 俺はその攻撃を防ぐと、


「少し、強めに行くよ!」〔雷光〕


 と、俺は雷のオーラを一気に解放し、無差別の広範囲攻撃を放った。


「うぐぅ!」


 逃げ場のない攻撃を食らったミリアは、全身が痺れてその場に座り込む。


「ま、参った〜」


 そして、ミリアはそのまま降参し、俺の勝利で手合わせが終了した。


「いや〜、大人気ないんじゃないの?」


 フィールドを降りると、観戦していたマヨがそう言ってきくる。


「まぁ、いい試合だっただろ。ミリアも思った以上に強かったし、これなら、これからも問題ないだろう」


「さすがテンにぃ。疲れたぁ」


 ミリアはフィールドを降りると、その場に寝転んでしまった。


「ミリアちゃん強かったわよ! 私なら負けてたかもしれません」


 カタルシアは、そんなミリアに優しく声をかけた。


「じゃあ、次は私とマヨさんですか」


「そうね」


 そして、次に2人がフィールドへと向かった。




「よーい、始め!」


 合図と同時に、先制攻撃を仕掛けたのはマヨだった。


「先手必勝よ」


 マヨは一歩踏み込み、剣を水平に構える。


 刃に水がまとわりつき、流れるように形を変える。


〔ウォータースラッシュ〕


 剣を振り抜くと同時に、水の刃が飛翔し、一直線にカタルシアへ向かっていった。


「――ッ! 防御魔法!」


 カタルシアはすぐさまバリアを展開し、攻撃を防いだ。


 ザァッと、水がバリアにぶつかり、四散した。


「さすが、反応が早いわね」


 マヨはそのまま距離を詰める。


「自然魔法」〔植縛しょくばく


 しかし、カタルシアが技を発動すると、地面からツルが伸び、マヨの足を絡め取った。


「ッと!」


 マヨは急いで剣でツルを断ち切り、体勢を立て直す。


「――行きます!」〔大地の手(アースハンド)


 しかし、その間に詠唱を済ませたカタルシアの攻撃が、マヨを襲った。


 拳の形をした土の塊が、マヨ目掛けて飛んでくる。


「これは厄介ね」〔激流突き〕


 マヨはそれを高威力の突き技で貫き、爆散させた。


 水しぶきが舞い、陽光を受けてキラキラと輝いている。


 カタルシアは杖を構え直し、再び詠唱に入る。


 だが、


「詠唱中は、隙ができる!」


 と、マヨは一気に踏み込み、接近戦に持ち込む。


 剣に水を纏わせながら、連続で斬りかかる。


〔流水乱斬〕


 流れるような剣撃が、次々と襲いかかる。


「これはッ……!」〔防護結界〕


 カタルシアはバリアで斬撃を防ぎつつ、その隙に結界を展開する。


 淡い光の膜が彼女を包み、剣撃を弾いた。


 ――キィン!


「防御魔法より強力な結界……やるわね」


「詠唱が必要ですが、守りには自信があります」


 だが、マヨは攻撃を止めない。


 剣を振るうたび、水が形を変え、斬撃の軌道が微妙にずれていく。


「剣技と魔法の組み合わせ。さすがだな」


 外から見ていた俺は、思わず感心する。


「マヨは近〜中距離が得意、カタルシアは中〜遠距離が得意か」


「2人とも強〜い」


 ミリアも真剣な表情で見守っていた。


 フィールドでは、カタルシアが距離を取ろうとし、マヨがそれを詰めにいく展開が続く。


「自然魔法」〔岩槍ロックランス


 地面から岩の槍が突き出し、マヨの進路を塞ぐ。


 マヨはそれを、水を足元に流し、滑るように横へ回避する。


 そして、カタルシアの懐に潜り込むと、剣で攻撃した。


「くっ……」


 結界が軋み、カタルシアが後退する。


「結界、限界が近いわね」


「ええ。でも――」


 しかし、マヨがカタルシアへの追撃をしに一歩踏み出すと、地面に魔法陣が現れ、地面がマヨの足を掴み、動きを止めた。


「しまっ……!」


 その瞬間、カタルシアは杖を振り下ろす。


自然の牢獄プリズンオブネイチャー


 木やツルなどの植物が絡み合い、即席の檻を形成する。


「……参った、かな」


 マヨは肩をすくめ、剣を下ろした。


「降参よ」


「おぉ、勝者はルシねぇだ!」


 結界の外から、ミリアの声が響く。


「お疲れさまです」


 フィールドを降りたカタルシアは、少し息を切らしながら頭を下げた。


「いい戦いだったわ。まさか罠を仕掛けてるなんて。今回のは完全に、貴女が一枚上手だったわ」


 マヨは微笑みながらそう口にする。


「マヨさんも凄かったです! 近接ならミリアちゃんやテンコさんに劣らないくらいですよ」


 2人は、どこか満足そうに笑い合う。


「よしっ、少し休憩したら、次は2vs2でもするかぁ」


「さんせー!」


 俺たちはその後も特訓を続け、その日は結局、日が暮れるまで手合わせをしたのだった。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


ブックマークがいただけると、大変励みになります。



〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ