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『神』のゲームの主人公~突如巻き込まれた異世界ゲームで、最高のエンディングを目指します~  作者: トランス☆ミル
第二章 神聖都市ルミナス編

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第11話 試練のダンジョン

 ルミナス滞在2日目の早朝。俺はみんなを起こし、朝食をたべる。


 レインは明け方に帰ってきており、一緒に食卓に座っていた。


「今日は、竜星神殿の試練層に行くんでしたよね」


 朝食を食べていると、レインが話を切り出す。


「はい。その予定です」


「聖書の封印を解かれたマヨ様なら、きっと真なる竜星神殿にたどり着けるでしょう」


 レインはそう言うと、お茶をズズッと飲み干し、そっと立ち上がる。


 そして、カタルシアの前まで来ると、


「ルシア、お前は天導師として、神聖なる神殿をしっかりと目に焼き付けてきなさい」


 と、優しく声をかけた。


「わかりました。おじい様」


「それと――お前にはこれを預けておこう」


 続けてレインは、入れ物から何かを取り出した。


「そ、それは……!?」


「『☆(アステール)』。代々伝わる家宝の一つで、魔神王陛下の装飾品と言われたものだ」


 レインが取り出したのは、先に星のついたペンダントだった。


 そのペンダントは明るく、そして暗く輝いている。どうやら、魔力と神力《しんりょく》の両方が籠められているようだ。


「神殿のある異空間は、広さに際限がない。大丈夫だとは思うが、万が一のために、お守りとして持っておきなさい」


「ありがとうございます」


 そうしてレインは、カタルシアに☆(アステール)を渡すと、


「では、私はこの後、礼拝と巡礼がありますので、皆さんお気をつけて」


 と言って、家を後にした。


「じゃあ、私たちもそろそろ準備して行きますか」


 俺たちもご飯を食べ終わると、すぐに支度し、目的のダンジョンへ向かった。




 ――しばらくして、俺たちは人の手がほとんど入っていない深い森へと足を踏み入れる。


 そして、街の外に広がる大森林を歩いていると、何やら遺跡のようなものが見えてきた。


「これがダンジョンの入口です」


 カタルシアがそう言って立ち止まった場所には、苔とツル植物に覆われた古い石門があった。


 自然に溶け込むように佇んでいるが、近づくにつれ、空気がわずかに張り詰めていくのを感じる。


「……なんか、空気が違うな」


 石門の中央には、かすかに光る紋章が刻まれていた。


 ルーンとも違う、竜と星を組み合わせたようなシンボル――昨日見た竜星神殿と同じものだ。


 カタルシアが一歩前に出ると、紋章が淡く反応する。


「この試練層は全部で七階層あります。ですが、どれも難しくはなく、命を奪う構造にはなっていません」


「初心者に優しい……って言っていいのか?」


 苦笑しつつ、試練ダンジョンという言葉に胸を高鳴らせていた。


「ふぅ~。よし、行こう」


 俺は静かに息を吐くと、そう言って石門に触れた。その瞬間、低い振動音とともに地面が沈み込み、階段が姿を現した。


「お、おぉ!」


「なんだかドキドキするわ」


「楽しそー!」


 そうして俺たちは、階段を降りていった。




【地下一階層 ―《導きの回廊》―】


 階段を降り切ると、目の前には石版が置かれていた。何やら文字が書かれている。


「導きの回廊……"如何なる時も冷静に"か」


 内部は石造りの広い通路で、壁には淡い光を放つ結晶が埋め込まれている。


 不思議と音が全くしない。


「なんか、静かすぎない?」


「この階層は、壁に籠められた魔法によって、超吸音仕様になっているんですよ」


「なるほど、地味に厄介だな。気配が読みづらい」


「確かに、これは冷静さを欠くわね」


 そう不安を抱えながら先へ進んでいく。


 だが、一階層は主に通路と小部屋が続く構造で、現れた魔物も小型のゴーレムのみだった。


 そこまで混乱することもなく、冷静に対処することができた。


「問題なさそうだな。次へ行こう」


 そして、一番奥まで行くと扉があり、開くと地下へ続く階段が再び現れた。




【地下二階層 ―《星刻の間》―】


 階段を下りると、今度は円形の広間に出た。


 床には複雑な星図が刻まれている。特殊な魔法陣だ。


「ここは……」


「星刻の間ですね。順番通りに進まないと、次に続く扉が現れません。そして、踏む順番を間違えると、拘束結界が発動します。


 ここでは魔法や加護などの知識が問われます。ですので、ここは任せてください」


 カタルシアはそういうと、星図に手をかざし、解析を始める。


「慣れてるんだな。何回か来たことあるのか?」


「はい。2回ほどあります」


 どうやらカタルシアは、修行の一環として何度か訪れたことがあるらしい。


 慎重に星図を解析しながら進む。


 やがて、


「……よし、突破!」


 と、ついに全ての星図を通り、扉が出現した。


 小さな達成感が、次への緊張を和らげた。




【地下三階層 ―《獣守の庭》―】


 次の階層は少し特殊なものだった。


 今までとは一転して、地下とは思えないほど緑が広がっていた。


 巨大な根が天井を支え、精霊獣のような魔物が徘徊している。


 体に植物が生えた、四足歩行の魔物だ。


「植物系と獣系の混合か」


「ここは『天賦力《てんぷりょく》制御』試験ですね。ここにいる魔物は、目と耳はありませんが、天賦力を感知して襲ってきます。なので気配を消して、魔物に見つからないようにしないと行けません」


「つまり、倒さなくていいってことだな」


「はい。むしろ、無闇に殺傷しないという人格試験も兼ねてますので、倒すのは減点になります」


 カタルシアが説明を終えると、みんなは魔力を制御し始めた。


 体から溢れるオーラがどんどん小さくなっていく。


「あ〜、それどうやんの?」


 もちろん俺はそんな技術は初見なので、できるはずもない。


「あんたって、本当に何もかも忘れてしまってるのね」


 マヨはそう言うと、俺に天賦力の制御の仕方を教えてくれた。


 そして、


「力を抑えるイメージ……力の源泉を閉めるイメージ……」


 と、制御してみると、オーラが徐々に小さくなっていった。


「で、できた!」


「では慎重に進みましょう」


 みんなの準備が整うと、魔物の間を静かに通り抜ける。


 気を抜くとオーラが暴発してしまいそうなのを抑え、俺たちはゆっくりと扉の前までたどり着いた。




【地下四階層 ―《信仰の祭壇》―】


 ここから空気が変わった。


 ダンジョンのボス部屋のような、神聖な空間の壁一面に刻まれた祈りの言葉。その中央にはアース神殿の時のような祭壇。


「ここは……精神系ね」


「はい。信仰や覚悟を試されます。幻影に惑わされることなく祭壇までたどり着ければクリアです」


 俺たちは祭壇に向けて一歩踏み出す。その瞬間、光が揺らぎ、全員の視界が歪んだ。


 それぞれの前に現れたのは――護りたいもの、捨ててきた過去、恐れている未来、そして――最悪の結末。


「幻影……」


 俺は祭壇の向こうに、玉座が見えた気がした。だが次の瞬間、それは崩れ去る。


 過去の挫折。知られたくない秘密。一歩踏み出すたび、心を縛る迷いが重くなる。


 それでも、俺たちは目を逸らさず、覚悟を胸に刻み進んだ。


 そして祭壇に到着すると、祭壇が静かに共鳴し、空間を満たしていた圧迫感が霧のように消える。


 奥の扉が、ゆっくりと開いた。


「何とかいけたようだな」


「怖かったよぉ~」


 俺たちは少し精神的に疲弊しつつ、次の階層に向かった。




【地下五階層 ―《竜星の回廊》―】


 天井が高く、星空のような光が広がる通路に竜の像が並び、圧倒的な威圧感を放っている。


 その中央で、カタルシアの胸元――☆(アステール)が、淡く共鳴した。


「……反応してる」


「本物に、近づいている証拠ですね」


 この階層は魔物や特別な仕掛けがなく、ただ広大な迷宮のような空間が広がっていた。


 しかし、ランダムにルートが変わる回廊に翻弄され、正直今までで一番扉に着くまで時間を使った。体感では、半日近く彷徨った気がする。




【地下六階層 ―《選別の間》―】


 ここにも敵はいなかった。代わりに、壁に2つの黒い扉が並んでいる。


「選択式か」


「はい。今までの結果と自身の思いを照らし合わせて、最終層に行くに足る人材か否かを選別します。初めて来た時はここでだめだったのを覚えています」


 そして扉の前まで行くと、その前にあった石板に何か書いてある。



 ――マヨ=アステリアに問う。貴女の大切な人にとって、自分が大切でなかったと知ったとき、貴女はどうする。


 何も知らないフリをして、今まで通り関わっていくなら右の扉へ、縁がなかったと割り切って、身を引くなら左の扉へ進め――



「な、なんでマヨ!?」


 その石板にはマヨに対しての質問が書かれていた。


 マヨはその質問を見つめ、何やら固まっている。


「ここの選別方法は毎回ランダムなんですよね……扉形式の方法は初めてで――」


 カタルシアが説明し始めたその瞬間、マヨ以外の声が出なくなり、その場から動けなくなってしまった。


「みんな……!? なるほど、助言はなしってわけね」


 質問を見て動揺していたマヨは、冷静になると深呼吸をして、


「私の答えは――そのどちらでもない。私の大切な人が私のことを大切に思っていないのなら、遠ざけるんじゃなくて大切だと思ってもらえるように努力する」


 と言って、扉と扉の間へ向かう。


 そして、壁に手を当てると壁が光り輝き、白い扉が出現し、静かに開いた。


「す、すごいです……! 真の回答を初見で導き出すなんて……」


 動けるようになった俺たちは、マヨの元へ駆け寄る。


「だってこれは、私が人生で誓ったことだから」


「お嬢様にそんな価値観植え付くのか?」


「し、失礼ね! とにかく先進みましょ」


 こうして俺たちは、最終層へと向かった。




【地下七階層 ―《竜星外殿》―】


 階段を下りた先には、白亜の神殿が広がっていた。昨日見たレプリカとは比べものにならない、本物の重圧。


「……ここが最終層」


「きれいだねぇ」


「ここは外殿です。この層では、もう行けるか行けないかの二択となります」


 俺たちは神殿の奥、光の中心へと歩みを進める。


「この先が、真なる竜星神殿への境界です」


 空間の歪みの前で足を止めると、カタルシアの言葉に全員が息を整えた。


 俺にまつわる最高位聖域。魔神王として、そして主人公として――物語の中心へ。


 俺たちは、試練の先へと足を踏み出した。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


テンコ:神のゲームの主人公に選ばれた、普通の高校生。性格は厨二病で、抜けてるところもあるが、意外と頭はいい。


マヨ:大魔ミルキーウェイ神皇国の第一皇女。性格は真面目だが、皇女として過ごしてきた反動で素が出る場面もある。意外と間が抜けている。


ミリア:獣人の少女。とても活発で食いしん坊。強い。


カタルシア:紫髪のエルフの少女。人間で言う14歳くらいの見た目。とても誠実で真面目。

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