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アイシャ  作者: 萌葱
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「名が知れるというのも良し悪しですね…」

 討伐の依頼で出発の挨拶にクロエのところに行くと、物憂げな顔でそう言われた

「うーん、先日のトカゲの話が上に伝わったらしくて、いつもの采配より上の方からのお達しらしい」

 私達の能力や状況を鑑みた上で仕事を振り分ける人間は『采配』と呼ばれており、私の属するクラスはフラウという女性、それなりにつきあいは長いものの、光以外の力を取り入れる私を野良剣術士と言って蔑み、あまり名のある仕事を回してもらえては居なくて…、いつも、雑事に近い汚れ仕事や手間の割に実入りの少ない仕事などしか回してもらえず、その関係は良好とは言えなかった。

 けれど、先日の魔変したトカゲの討伐により上に情報が行ったのか今回の仕事はフラウを差し置いての直々のお達しで、妙に険のある目付きで粗相はしないようにと指示書を渡されたのは今朝の事だった。

「心配ですね…同行できればよかったのですが…」

「馬鹿を言うな、有能かつ貴重な闇の術師兼医者のお前が、私クラスとの出動が許されるわけ無いだろ?」

「では、シラーは」

「あいつもお前と同じクラスだろう?あり得ないな」

「全く…今まではクラスが低いのも安全を考えればマシだと思っていたのに…こういう時はもどかしいですね」

「大丈夫だ、獲物は恐らく先日と同じ魔変したトカゲだ、やりようが判っている分問題はない」

「行く前に光の充填はきっちりしてくださいね、同行の光の方は居るでしょうけれどシラーとは比べものにならないでしょうし」

「あぁ、この後顔を出してくる、じゃぁ、これ、使わせてもらう」

そう言って、クロエの調合したという丸薬…踏むと生物の足を止める薬草と術を組み合わせたガスが吹き出るというものや、口に含むと鎮静効果があるという気付けの薬等の入った袋を持って私は馴染み深い部屋を後にした。



「エスト!?」

「えぇ、よろしくお願い致します」

 討伐への当日、出発に集まったメンバーにエストを見つけて驚く、どうやら実践の見学らしく、希望者を募られて立候補したという

「正直アイシャさんがこのクラスとは驚きましたが、剣の腕はよく知っています、楽しみにしていますね」

 そう信頼のこもった瞳で私に言うのに思わず言葉に詰まってしまい

「こちらこそ」

 そう言ってエストの頭を軽く撫ぜた。

 メンバーは、それに私より幾つか下の殆ど実践に出たばかりという風情の闇の術師と光の術師。

 基本的には討伐はこの三組のパーティーで行われることが多い、光の術師は基本的には充填済み聖剣術士と出かけることが多い為、場の浄めと万が一の時の充填要員。

 闇の術師は獲物の動きを緩めることと、場の安定を務めるのだが…。

 あまり出動経験がないのか見るからに落ち着きがないエリンという闇の術師はこれが二度目の出動だというし、シルクという光の術師は光のムダ使いはするななどと、開口一番に言い出す始末。

 男3人に女1人でありながら、経験的にも年齢的にも指示書的にも私が先頭に立つという事実に、殆ど子守じゃ無いかと軽くため息をつきつつ現地へと向かうことにした。


仕事自体は難しいものではなく、あの日同様の魔変したトカゲ1匹

一度遭遇しているエストは驚くほど冷静で、取り乱すこと無く私の言うとおりにサポートに徹してくれて居て、しかし、問題はエリンとシルク。

 エストは見るなり軽く固まってしまい。シルクは興奮しつつ何かを叫んでいる、こうなるのを恐れて、その前に話しておいたのだが……、自分の常識には無いものを見るとパニックを起こすのは仕方が無いのかもしれない。

「エスト、シルクの側を離れるな、エリンこっちに」

 近寄ってきたエリンが私に何か言いかけるのに、開いた口に鎮静の効果のある丸薬を放り込む

「な…なにを…」

「闇の術師ならクロエを知っているな? あいつの作った戦闘用の丸薬だ、落ち着いて敵の様子がよくわかる」

 本当は単なる鎮静剤なのを、少し大げさに告げると驚いた顔をして飲み込むのに

「即効性があるからすぐ効くはずだ、術、掛けられるな?」

 言うと、少し先ほどより落ち着いた顔でコクコクと頷くのに、トカゲに動きを緩くする術をかけろと言い置いてトカゲに対峙する、念のために、クロエに貰った丸薬も当たりに散らばせると、背後のエリンの詠唱も聞こえてきた。

これで、漸くまともに動けるかと、拾っておいた礫で私に注意を引きつけながら、少しずつトカゲの動きが弱まるのを確認し、片手を振り上げた所を素早く懐に入り込み

「ふっ……」

 腕を掴んでひっくり返すと思い切りやわらかな腹部を剣で突き刺して光を叩き込む。

 みるみる体内の光が減っていくのを感じ、大分金髪がくすんだ所で覚えのある感覚が腕に伝わり、ばん…っと、弾けるような感触がしてトカゲは消えた。

「アイシャさん! 大丈夫ですか?」

 シルクの側でエストが叫んでくるのに

「問題ない! シルク、魔変のポイントを探してくるから正気に戻っておけ、エリン軽く落ち着かせておくことは出来るな?」

 頷くエリンを確認すると、私は森の中に入っていき、魔の気が吹き出す場所を探す、そうして、発見した魔の溜まった場所に、腰の引けているシルクを無理やり引っ張って来て場を清め、子供の遠足の引率のようだった私のトカゲ退治は終了したのだが…

問題はそのあとで起こった


今日は日中思ったより忙しくて思ったほどup出来ませんでした。

夜中少し時間がありそうなのでもう少し作業を進めるつもりではいるのですが、見直さなきゃいけない部分も多くて少し更新スピードは落ちそうです。

明日明後日は出かけるので完全に止まってしまうのもあり

もし、読んでくださっている方がいらっしゃいましたら申し訳ないです。


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