遺跡街は混乱中
無事に250人のニカドさん達を含む8集落の人を連れてオルワールから遺跡街に戻って来た。
約2か月ぶり位かなと。ニカドさん達が不安そうだったが、街が実際にある事。街の周囲に畑が広がり強制労働されせられている感じもなく和やかな雰囲気が漂っていた為、とりあえず安心してくれたようだ。
まだ街に入るための審査のような物があるため、250人の集落の人達は難民受付用ゲートに並んでいる。事前にフライちゃん経由で連絡を入れてあるので救済組合?の方ですでに色々やってくれているらしい。かつて俺達が地下街で助けられた感じの組合の遺跡街バージョンなのかなと。
ニカドさん達に住む場所が決まったら、また会いに行きますと連絡を入れ一旦家に帰る事にした。
トニーとマイ、ミリアとも夕食時時間頃に酒場で集合する事にして各自宅に戻る。
街の様子が何となく変なので串肉屋のおばちゃんに話を聞いてみる事にした。
「おばちゃん。串肉4本くれるかい?」
「あいよ、今焼くからねぇ、ちょいと時間もらうよ」
香ばしい香りと共に、何の肉だかわからない肉が焼けて行く。青系だから鳥系なのかな。
「おばちゃん、これは何の肉だい?」
「ミートバードの肉だよ。最近獲れるようになってね。秘伝のたれに付け込んでじっくり熟成させてから焼くから味は保証するよ!」
とりあえず鳥だった。良かった。
でもミートバードってひでぇ名前だな。肉鳥か鳥肉だぞ、どんな鳥なのか想像もつかん。
「ところでおばちゃん。街の雰囲気がちょっとだけピリピリしているけど、どうしたんだい?」
串肉の代金を支払いおばちゃんから串肉を受け取り、食いながら話を聞く
「ああ、何日か前にオルワール領の騎士団が来たんだよ。元々オルワールの土地だったからこの街もオルワールが統治するだの、好き勝手言ってたのよね」
そのあとに街の偉い人達と色々話していたような事が噂で広まり、街の中が少しだけピリピリしているのだとか。
「おばちゃん、この肉すげぇ美味いな。また買いに来るよ!」
「ありがとね!また来てくれ」
ここに来る途中にボコボコにした騎士団の事だと思うが、何か不安要素しか考えられない。
自宅に帰るとシリカさんがお出迎え。
「お帰りなさいませ、リック様。お嬢様方」
「ただいま」
「ご帰宅後、早々で申し訳無いのですがミエス様が緊急の案件で遺跡街組合の方でお話したい事があるそうです」
やっぱり、あの騎士団がらみなのか・・
荷物整理等あるが、一応家の中に運び込み、あとはシリカさんに任せて遺跡街組合の方に移動する。
「おうリック、さっきぶりだな」
トニーとマイと組合の付近で合流。6人で組合の会議室に通される。
そこにはマンダムさんとミエスさんが既に待っていた。
「リックさん、帰って来てばかりなのにすいません。急なお話というか相談がありまして」
ミエスさんとマンダムさんは深刻な表情で話し出す
「ちょうどリックさん達がオルワール領から帰りの頃だと思うのですが、オルワール領から騎士団がこの街にやってきまして、私達はオルワール領の事は実際に見て確認していないのでどのような所なのか教えていただければと思うのですが」
「えっと、何があったのですか?街の雰囲気も少し悪かったですし、みなさんピリピリしているのですが」
「はい、オルワール騎士団の団長が遺跡街は元々オルワール領内の街なので、オルワール領に入れみたいな事を通達されました。ダンジョン収益の80%は税金として徴収するとか、入街税を徴収して、領主に収めろなど、既に遺跡街がオルワール領の一部のように一方的に話を進められまして、一方的に拒否する訳にも行かず、リック様達が戻って来てからオルワール領の状況を聞いてから判断しようかと思っていた所です」
マンダムさんもミエスさんも出来れば争いごとにならぬように話を進めたいような感じにも見えた。
ミエスさんはパーマの街の図書館で歴史事情も調べていた為、過去の事情に色々と詳しい。
数千年位前にこの地で大きな争いがあって、今のパーマ領・オルワール領等色々な小国が群雄割拠していた頃があり、ここの土地自体は元々オルワール系派閥の小国だった事がわかっている。
「大昔の事を今更言われてもなぁ・・・」
「今はエルダーリッチの支配から解放されている状況ですので、おそらくパーマ領やリーゼント国そのものからも何かしら要求があると思われるので、オルワール領だけの問題では無いかもしれません」
そのとき、アリシアさんがこっそりと俺に話す
「ミリアさんなら当時の事情を知っているのでは無いでしょうか?」
ミリアの本当の正体を知っているのは俺達と軌道エレベータ関連の一部の人達だけだ。マンダムさんは事情を知らない。
マンダムさんが「?」という表情を浮かべるが、ミエスさんにその辺の話をしてみた。
「そうですね、ミリアさんに一度相談してみましょうか」
現在ミリアは元居た宮殿を離れ、超高級な屋敷に一人で住んでいる。
「オルワールの奴らが無茶な要求をしているとな?」
「大昔の事じゃろ?奴らの歴史認識がおかしいのじゃ」
元々は小国が沢山あり、オルワール系の派閥も混じっていたかもしれないが、そんなことを言うとパーマ系やその他もろもろの中にミリアの拠点とする遺跡街地帯があったのだとか。
「妾が支配するのを辞めて、ダンジョンという収入源があると分ると、すぐに領地内に編入させようとしている訳じゃな」
「なぜパーマやリーゼント王は黙っているのでしょうか?」
「やつらはこの地に近いからの、100年に一度くらい、丁度、王が代替わりしたり、何かの節目の頃に軍隊を送り込んで来おったからの、そのたびに返り討ちにしておったからワリと慎重なのかもしれんが、オルワールの奴らは兵を送り込んだ事が無いので詳しく知らんのであろう」
停戦中とは聞いた事があるが、細かな戦いはあったようだ。
「あのバカ騎士団共を纏めている領主などたがが知れておる、無視でかまわんじゃろう」
「ミエスさん、オルワールとパーマが共闘する可能性はありますか?」
図書館の本とパーマの街での情報収集で得られた情報を解析した結果では、オルワール自体の独占欲が強すぎる為、パーマ領やリーゼント国と利益を分配してまで戦いに出る可能性は低いとの事。
元々歴史的にも仲はそれほど良くない関係でもある事が確認されている。
途中で会った騎士団のレベルを考えてもそれほど戦力的には脅威でも無さそうだし、人間族そのもののレベルが全体的に低いので数の暴力で押されない限り問題は無さそうとミエスさんに伝えて、いざとなったらミリアのアンデット部隊も居るので現状のオルワール領の戦力で攻め込まれても大丈夫じゃないかと楽観的に思っていたのだが・・・。
「妾は戦争になってもおおっぴらに戦えんぞ」
と言われてしまう。
一応エルダーリッチから解放された街として復興景気に沸いている所に再びアンデット軍団を召喚して戦わせるのは、戦いに勝ってからもマイナスイメージになるのではないかという事だ。
さらに
「私どもも戦闘行為には参加できません」
ミエスさんまで不参加を表明。
どうして?と尋ねると
「私達は軍事目的で製造されたユニットでは無いので、軌道エレベーターの防衛行動のみが許可されています。ですのでこちらから攻撃をすると言った行為は出来ないのです。また、人を殺すといった行為も出来ません」
二人で共通しているのは防衛のみで攻撃は行わないと言う事。ミリアに関しては対魔獣等の人間以外であれば攻撃対象と認識するが、人間に関しては敵対していようと遺跡街の外では手を出さないとの事。
遺跡街の外でのいざこざが発生した場合は遺跡街の冒険者等で対応しないとダメなようだ。
数日後、遺跡街冒険者組合と地下街冒険者組合が合同で遺跡街自衛組合を発足させる
オルワールの件を無視し続けていると、やがてオルワール領から使者が来るようになった。
俺達は直接は会っていないが、遺跡街自衛組合経由で話は聞いている。
相変わらず高圧的な態度で遺跡街を田舎者の集まりだとか、より優れているオルワールに仕えられるのは光栄な事だとか、蛮族は従えみたいな感じで、すべてが高圧的な態度で喧嘩を売りに来ているような感じなのだと。
組合の方たちが相手をして適当に帰って貰っていたようだがしばらく経つと街道沿いに盗賊団が頻繁に出没するようになる。遺跡街とパーマ街、その他小さな村々とのやりとりを邪魔するような感じでトラブルを起こしている
冒険者組合で対盗賊団向けのクエストを発行してもなかなか捕まらない。
他の街の冒険者達にも悪い噂が流されているようで、組合側にもその情報は入って来ている。
冒険者の場合はあまり気にしていないようだが、一般の人や商人へのマイナスイメージは今後の商売になった時に悪い印象が残ると商売がやりにくくなる可能性も出てくるかもしれない。
パーマ領内でも頻繁に盗賊団が出るようになっているので通常ならば、リーゼント国主体の衛兵隊が巡回しそうな気もするのだが、それらも行われていない。街道の治安はどんどん悪化しているのにも関わらず静観?しているのだろうか?という状況だ。
少し困った状況になっているのだ。




