オルワール騎士団との遭遇
ニカドさん達との移動はパーマ領に入り、遺跡街を目指すのみの状態になった。
「おーい、リック、何か来るみたいだ」
先行していたフライちゃんからの報告で冒険者風のグループの後ろに騎士団が付いてきているという。
商隊や冒険者ならばそんなに警戒する物ではないが、冒険者グループ+騎士団という珍しい組み合わせで、何で一緒に移動しているのか疑問に思った。
「冒険者グループが道案内なのか?騎士団も地理には詳しいよな。魔獣討伐か?」
トニーとリーザさんが警戒モードに移行する
フライちゃんから騎士団の特徴と聞くとオルワール領の騎士団のようだ。
「冒険者と騎士団・・・私達の集落から略奪をした者達かもしれないダ」
ニカドさんは深刻な表情をしている。こちらの移動を見られると何か問題になりそうな気もした為、ニカドさんと相談して集落の人達の馬車は一度森に隠す事にする。
また、騎士団の通行を邪魔すると良い事は無いという事なので、俺達の馬車は道を外し、騎士団が通過するまで休憩待機となった。
ドワーフ族のトニーとマイは森の中で待機、領都内で異種族に対して差別的な行為が行われていたので念の為隠れて待機。エリアとアリシアさん、ミリアは荷馬車の中に居てもらう。
ニカドさんはロボ馬の手入れ(と言っても手入れをしているフリ)俺とリーザさんは周囲の警戒と言った感じだ。
やがて冒険者の乗った馬と、騎士団が表れる。
何事も無く通過してくれと思っていたが、騎士団の馬が通過するときに声をかけられる
「ニカドじゃねぇか。こんなところで何をやっているのだ?」
「へい。こちらの冒険者様に同行しておりますダ」
「同行?どこへ行く?」
ニカドさんには事前打ち合わせ通りに話を進めてもらう
「パーマ領に仕事があると冒険者様に誘われまして、仕事探しでございますダ」
「そうだなお前らの集落から徴収した食料は売ってやったぞ」
「少ないがお前らの取り分だ、喜んで受け取れ!ハッハッハ」
ニカドさんの目の前に金の入った袋のような物を投げ落とす。
袋の大きさから幾らも入ってないのだろう。
ニカドさんはそんなはした金同然の袋を見つめ下を向いたまま苦い物を食ったかのように悔しそうな顔をして何も言わない。
元々この騎士団が略奪行為をしなければニカドさんは盗賊のような事はしなくて済んだ訳だし、生活も普通に出来たハズだったのだ。
「おい、そこの二人。お前達が冒険者か?」
「そうだ」
リーザさんは毅然とした態度で騎士団の人と話出す。
「オルワール領から不法な荷を運ぶ奴らが居たと報告を受けていたな。荷馬車の中を見させてもらうぞ」
「かまわん」
荷馬車の中からエリアとアリシアさんが出てくる。
「団長、この女2名のみです。あとは食料や道具類のみのようです」
あれ、ミリアは何処に行った?
団長は既に、エリアとアリシアさんリーザさんに視線を集中させている。
「ほう、なかなか良い女達ではないか」
「女戦士よ、お前がリーダか?今なら好待遇でお前を雇ってやるがどうだ?」
この団長バカなの?普通は旅の移動中に言うような事じゃないでしょう
「団長殿、私も忠誠を誓った主人がおりますゆえ、なにとぞご容赦願う」
「ほう、ワシの言う事が聞けないという事か?」
頭の中が天国なのか?自分が思った通りに事が進む未来しか見えてないようだ。
ニカドさんは下を向いたまま震えている。過去に相当恐ろしい目にあったのだろう。
「団長!荷物の中に蓋の開かない箱があるのですが、ちょっと見て貰えますか?」
「馬車から出せば良いだろうが!」
「それが重くて動かせないのです」
団長はニヤリとしながら、馬車内の箱を見に行く
「おい女戦士、この箱はなんだ?説明してもらおう」
「我が主の品ゆえ私の知る由も無い」
「この箱の中身が輸出禁止物の可能性が高い。女戦士とそこの女二人を重要参考人として同行してもらおうか」
「団長殿、待って頂きたい、ここは既にパーマ領である。オルワール領の法律は適用されないはず。違法行為と言うのであれば、パーマ領内の我が主と共に中身を確認して頂きたい」
「たかだか冒険者風情がオルワール騎士団に逆らうという事か!」
ニカドさんの村で略奪した奴らだ、怒らせると何をするかわからない。
ヤクザ騎士団は盗賊団よりもタチが悪い。襲われて返り討ちにしたりすれば、こちらに一方的に罪を擦り付けて来るだろう。
一緒にいた冒険者達は距離を置いている。明らかに厄介ごとだからだ。あいつらもバカでは無いようだ。
「団長、やってしまいましょう。今なら目撃者もいませんし、女戦士は諦めても、あとのあの二人を手に入れれば良いではないですか」
内緒話のようだったが、俺には丸聞こえ。
「リーザさん、戦闘になりそうです」
「リック。すまん私の交渉が下手で上手く纏められなかった」
状況を見ていたアリシアさんが何やら普段はやらない仕草をしている。まぁ長旅で疲れた時にするような日常的な動きではあるが・・何かのジェスチャーメッセージなのか?
「たっ助けてくれ! スケルトンが出たぞ!!」
森の中にいたトニーとマイが騎士団の所に走って来るのが見える。
こんな打ち合わせはしていなかったけど、ミリアが消えていたのはこの為か?
ブラスケ(ブラックスケルトン)10体に、わざとらしく追われるトニーとマイ。
「ミリアのブラスケっぽいな」
ブラスケ達も何となくワザとらしい動きをしているのでミリアの考えたシナリオっぽい。
「そうですね。こっちも演技しましょうか?」
奥に居た冒険者達は全員戦闘態勢に切り替わっている。
騎士団13人は全員抜刀
「スケルトンか!オルワール騎士団が蹴散らしてくれよう」
「ミリアさんのブラスケさん達は、今回もLV30で、騎士団の平均LV30みたいです」
最初のうちは騎士団とブラスケは良い戦いをしていた。さすが騎士団である。しかし疲れを知らないブラスケ達が次第に優勢になっていく。わざとじゃないか?という感じでブラスケ2体が倒れているが、普通アンデット系は魔核を破壊するか取り出さなければならない。ブラスケ2体はわざと倒れているだけのようだ。
ブラスケ2体を倒した?事で一時、騎士団の士気が上がったが疲労困憊で、比較的レベルの低い騎士が最初にダウンすると、ドミノ倒しのように徐々に形成が逆転していき次々と倒れていく騎士たち。
殺しては居ないがボコボコだ。
奥の方で戦闘態勢を取っていた冒険者はいつの間にかに居なくなっていた。
騎士団が全員戦闘不能になった所で、ブラスケ2体も起き上がり、こちらに向かって来る。
何かジェスチャーしているようだが、どうやら切ってくれって意味らしい
剣をもって踊っているような感じだったので、事情を知らないニカドさんは真っ青になっていた。
「すまんなブラスケ殿」
リーザさんが、剣を抜いてそれっぽく振りぬくと、ブラスケはオーバアクションで吹っ飛んで行き、黒い霧のようになり消える。ちなみに魔核は残らないが、代わりに変な球を落として消えた。
「ミリアさんの演出みたいですよ、あの球は破壊された魔核の変わりみたいですね」
切られたように見せて召喚解除しているようだ。魔核のような物を残す凝りようだ。おそらくあの冒険者に目撃されている時の対策なんだと思うけど。
「これだけ酷くにやられたらしばらく目を覚まさないでしょうね」
アリシアさんがこのまま放置すると死人が出るかもしれないけど、逃げた冒険者が何とかすると思うし、しなかったら運が無かったと言う事にしましょうと言う事で騎士団をそのまま放置する。
事情を理解したニカドさんは復讐が出来たという感じでハツラツとした表情だった。
ちなみに、金袋は団長に返却
「こんな金受け取れるか!」
という事だ。
俺達は隠れていた集落の人達に連絡を付け、移動を再開。
遺跡街に向かう事にする。




