12剥き目
1万pv2千ユニークありがとうございます!
今後共よろしくお願いします。
アンニョン!ユーリだ。
良くないことが起こった。
飯食い終わって、テレポートしてゴブリンの耳を回収しに行ったら、全部取られてましたテヘペロ。
耳どころか、ゴブリンの使える部分全てを根こそぎ持ってかれた。困ったものである。人のものを取っちゃいけませんと教わらなかったのか!クソッタレめ。
まあいい、これを使う。
超便利魔法『心眼・天照』!
通称『走査』、範囲内の情報が立体映像的に脳に入ってくるちょっと危ない匂いのする呪文。多分エロスの神から賜ったものだと思う。
俺の最大範囲は10kmくらいだけど、この広さで使う意味がまずあまりないし、範囲を広げると情報が粗くなる。いつも使うときは大体4kmくらいで、この広さなら草木の種類までわかる。但し自分の知っているものに限る。世知辛い。
この範囲内なら衛星で見るみたいにエリアを絞って更に詳細に見ることもできる。もちろんその分の魔力は使うけど、俺にとっては微々たるものである。
この魔法の元々の消費量自体それほど多くないので使いたい放題と思って構わない。
ちなみに空間属性の魔法です。
でスキャンの結果、今が森の中なんだけど、この森抜けた先の街道に男の集団がいる。どうやらそいつらが俺の獲物を横取りした犯人のようだ。人様の持ち物までわかってしまうこの魔法はホントにどうなんでしょう・・・。まあ気にしたら負けでしょう。
なんかこの横取り犯達、商隊か何かを襲っているっぽいけど気にしない。装備もやけに整ってる気がするけどそれも気にしない。
商品の奴隷に手出してる所を襲われたのか知らんが、馬車の中で裸でオロオロしてるデブも気にしちゃいけない。
俺はゴブリンの耳を取り返すことだけに集中しよう。
ここから馬車で動いてる奴らを狙い撃ちにしても当たるか微妙。
ゴブリンへの狙撃は高地でやったから良かったものの、森の木々を抜けて結構な速さで動いてる物に当てるのはできるできないとかじゃなくて疲れる。
よって転移!
あ、ニーナは部屋でお留守番です。
「な、なんだこのガキゃあ?!」
テンプレなリアクションありがとうございます、いただきました。
あ、馬殺されとる・・・・狙い撃ちで良かったかもしれない。ここまで来たからやることやるけどさ。
「おっさん、人の獲物横取りしちゃ駄目だろ?」
「何のことだぁコラ?」
「ゴブリンだよ。さっき俺の殺したゴブリン持っていっただろ?」
「はあ?てめーみてーなガキにゴブリンが殺せるわけねーだろが!」
うーん、やっぱそうなるよなー。俺もそう思うもん。
この人達はあれだろ、いわゆる盗賊さんだ。多分交渉してもゴブリンを返してくれるとは思えない。
というわけで・・・殺してでも奪い取る!
「人を見かけで判断するなと教わらなかったのか?屑め」
取り出したるはP90、斬新なフォルムで前世でもお気に入りの一品だった。余談だけどトリプルレイルの方だ。それに消音器とホロサイトをつけてるんだけど、分かる人に分かればいいよねゴメン。
・・・一体誰に誤ったのか、これも気にしたら負けか。
「ん?、なんだぁそ」
それは?と言おうとしたんだろうけど、悪いな話してる暇はないんだ。いや暇だけど時間の無駄なんだ。
これからどんだけお前らと会話を積み重ねても最終的に行き着くのは殺し合いなんだから。
ってなわけで引き金を引かせていただきました。
サプレッサーで銃声がだいぶ軽減されるけど、音の大きさは中途半端だ。遠距離なら聞かれない程度。これ魔法で改善できる気がするな。後で試してみよう。
撃たれた盗賊は踊るように体を揺らして、そのまま仰向けに倒れて血だまりを作る。
「な、こいつ何しやがっ」
パパパというかタタタというか、いい擬音語が見つからないな。
とにかく喋ったやつから撃っていけば静かになるでしょう、てことでさようなら。
銃ってのはあれだね、命が軽くていいね。指をちょいと引くだけで人殺せちゃうんだから。
「逃げ」
「言わせねーよ?」
今度は背中向けたやつを蜂の巣にした。
うーん、俺の得体がしれなさすぎて襲いかかっても来ないな。完全に及び腰になってやがる。ちなみにこの状況から、交渉してゴブリンの耳ゲット!とかにはしない。
復讐とかに来たら困るし、どうせ社会悪なんだから殺しても問題ないだろうし、殺さないやつを選ぶのもめんどくさいしな。
「お前らは俺の獲物を横取りした。よって死で償え」
強者にのみ許された「俺ルール」だ。素晴らしい。
逃げ惑う賊を一人また一人と殺していく。ホロサイトで狙うでもなく、ただ弾を散蒔くように打ち続けた。
全員が倒れたのを確認して、やっと引き金から指を離した。
血と硝煙の匂いが鼻をつく。ゴブリンの耳を持ってるだろう奴を漁ると、腰に小さめの袋を下げていて、その中にしっかりしまってあった。それを袋ごともらって、まだ息のある奴がいないか確認する。
息のある奴はもちろん殺して回る。スキャンすれば生きてるか死んでるかなんて丸分かりなんで隠せる訳もなく、特に何も無く最後の一人まで止めを刺した。
「・・・よし、全滅を確認。状況終了っと」
まあ別にこれ言う必要ないけどね、いいじゃない、好きなんだから。
「あの~」
と、後ろから話しかけられた。そういえばこいつらは何かを襲ってる最中だったな。
「なんだ?」
「いえ!この度はお助けいただきありがとうございます。ワタクシ、モカマド商会のハラブゥと申します。以後お見知りおきを」
そう言って全裸で頭を軽く下げたのは、襲撃された時に奴隷に手出してパニクっていたデブのおっさんだった。名は体を表す、をここまで地で行っているのも珍しい。
「ハラブゥさん、落ち着いて服着ろよ」
俺の言葉にハラブゥは焦って服を取りに行った。
それにしても結構な大物が出てきたものだ。
モカマド商会と言えば、このオステル王国だけでなく諸外国でも名が売れている大手の商会だ。白い商品から黒い商品まで何でも扱うらしく、会頭がかなりのやり手で元々小さかった商会を一代で今のような巨大組織にしたそうだ。
世の中やっちゃう人はいるんだな。
改めてハラブゥが引いていた商品を見てみる。食物系統、生地、衣類、酒と本当に様々。そして馬車を別にして奴隷が積まれている。見た感じでは獣人が多いね。
一昔前までは獣人が差別されてたらしいけど今はそんなでもない。でもやっぱりこういうところで根深い問題にはなってると思う。
未だに差別する人がいるせいで必然的に獣人の失業率とかが高くなって、路頭に迷う奴らが増える。一時を凌ぐために自らを売るなんてのもあるそうで、なんとも世知辛いですな。
俺には関係ないけど。
「いや、先程は失礼しましたな。改めて、モカマド商会のハラブゥです」
大きな腹を揺らしながら、しっかりと服を着たハラブゥが戻ってきた。
「別にあんたを助けたわけじゃないから気にしなくていいよ。俺には俺の目的があったからな」
「いえいえ、助けられたのは事実ですからな。何かお礼をさせていただきたい」
「えーいいよ、めんどくさい」
「おやなんと・・・ではお名前だけでもお伺いしても?」
「いいけど、なんで?」
「私はリップジックに店を構えております。そこにおいでなさった時に割引をするという形でお礼ということでいかがでしょうか?」
「なるほど、そうしよう。俺はユーリ。行く時はメイドと一緒だと思うからよろしく頼む」
リップジックはここから一番近い町だ。オステル王国の南東に位置していて、王都の次くらいにでかい商業都市。港もあるから交易が盛んな町だ。
買い出しとかニーナはそこに行くらしいし、俺が一緒に行くだけで割引してくれるんなら助かる。
ここ最近、というかここ半年は森とか草原とかで銃とか魔法とかをいじって遊んで食っちゃ寝の生活だったから、久しぶりに町に行こう。いい機会だしな。
「承りました。それと、これは相談なのですが・・・」
そしてさっきから不思議に思ってたこと、なんで護衛がいないんだろうね?って話。仮にも大手商会なのに。まさかさっきの奴等が護衛のフリしてたのかな?
まあ話聞けばわかるか。
帰ったらニーナに怒られそうだ。連絡手段を確立していなかった・・・。
P90好きなんですよ