第48話:史上最大の作戦――母を笑わせろ!瀬戸内珍道中
神々との死闘を終えたレオンたちを待っていたのは、戦場よりも過酷(?)な任務でした。それは、最愛の母を心から楽しませ、笑顔にすること。最強の聖騎士、神速の拳士、万獣の女王……規格外の力を持つ仲間たちが、瀬戸内の名所を舞台に大暴走! 美味しいグルメと、予想外のハプニング。果たしてレオンは、母の最高の笑顔を取り戻すことができるのでしょうか?
「いいか、野郎ども! 今日の敵は神様じゃない。……僕の母さんだ!」
瀬戸内の澄み渡る青空の下、レオンが真剣な表情で号令をかけた。背後には、場違いなほど気合の入った表情のナンド、ララ、リュウ、ジュン、そしてレニとジラが整列している。
「母さんは父さんを亡くしてから、ずっと元気がなかった。この瀬戸内旅行の真の目的は、彼女に笑顔を取り戻してもらうことだ。任務名は『マザーズ・スマイル作戦』。失敗は許されない!」
「おう、任せとけ! 俺のスピードで、最高の観光スポットを秒速で案内してやるぜ!」
ナンドが親指を立てるが、レオンは即座に却下した。「時速300キロで観光客を振り回すな、バカ」
こうして、最強の戦士たちによるドタバタ接待ツアーが幕を開けた。
最初の舞台は、生口島の瀬戸田。ここは日本一のレモン生産地だ。
「母さん、ここはレモンが有名なんだ。さあ、みんなで母さんを最高にもてなすんだ!」
まず動いたのはジュンだった。「万獣の王」の力を使い、木の上にある最高級のレモンを瞬時に収穫しようとしたが、力が入りすぎてレモンがその場で高圧縮のジュースに変わり、母の顔に直撃した。
「あああ! ごめんなさい、お義母さま!」
「……あらあら、すごい勢いだわね」
母は顔を拭きながら苦笑い。作戦一回目、失敗。
次に訪れたのは、しまなみ海道の**大三島**にある、海鮮丼で有名な食事処。
ここでリュウが「緑の鎖」を使い、生け簀から新鮮な鯛を釣り上げて母に見せようとした。しかし、鎖が暴れる大鯛を絞めすぎてしまい、母の目の前で鯛が粉砕。飛び散った鱗が母の帽子をデコレーションした。
「……新鮮なのは分かったわ、リュウくん」
母の引きつった笑顔に、レオンは膝をついた。
「次だ! 次こそは完璧な接待を見せるぞ!」
一行は、尾道のレトロなカフェへ。ここで振る舞われるのは、瀬戸内名物の**「はっさく大福」と、熱々の「尾道ラーメン」**だ。
ララが「黄金の光」を使って、ラーメンの湯気を美しく演出しようとした。だが、光の加和減を間違えてしまい、ラーメンの丼がまるで聖遺物のように神々しく発光。母は眩しすぎて箸を動かせなくなってしまった。
「……食べるのが恐れ多いわね、このラーメン」
さらに、ナンドが良かれと思って「神速」で運んできたお土産の**「レモンケーキ」**は、音速を超えた際の衝撃波で箱の中ですべて粉々に粉砕されていた。
「お前ら……加減っていうのを知らないのか……!」
レオンが頭を抱えていると、母がついに声を上げて笑い出した。
「ふふふ……あははは! もう、みんな面白すぎるわ!」
全員が呆然として母を見つめた。
「母さん……?」
「レオン。あなたがこんなに素敵な、ちょっと変わったお友達に囲まれているなんて知らなかったわ。みんな、私のために一生懸命になってくれて……。お父さんが亡くなってから、こんなに笑ったのは初めてよ」
母は涙を浮かべながら、お腹を抱えて笑い続けている。
豪華な食事や完璧な案内ではなかったが、不器用ながらも必死に自分を喜ばせようとする「最強の戦士たち」の純粋な心が、何よりも彼女の心を癒やしたのだ。
その後、一行は**御手洗の古い町並みを散歩した。
今度は特別な能力なんて使わない。ただの若者として、母と一緒に食べ歩きをする。
地元の特産品である「レモネード」を飲み、揚げたての「じゃこ天」**を頬張る。
瀬戸内海の夕凪が、彼らの頬を優しく撫でていく。
「レオン、ありがとう。私、本当に幸せよ」
母の言葉に、仲間たちは顔を見合わせて照れくさそうに笑った。
戦場で神々を屠るよりも難しく、そして何倍も価値のある勝利。
瀬戸内の夜は、温かい笑い声と共に更けていった。
だが、そんな幸せなひとときの裏で、ジラの瞳が微かに揺れた。
「……来るわ。この平和を、根こそぎ奪おうとする影が」
聖地の静寂を破る、次なる戦いの足音が近づいていた。
第48話をお読みいただき、ありがとうございます!
今回は息抜き回として、レオンたちの意外な一面と瀬戸内の魅力をたっぷりお届けしました。最強の戦士たちが母の前でタジタジになる姿は、読者の皆様にも楽しんでいただけたのではないでしょうか。
尾道ラーメンやレモンケーキなど、瀬戸内のグルメも満載の回となりました。
しかし、ラストでジラが感じ取った不穏な気配。
母の笑顔を守り抜くため、レオンたちは再び過酷な運命へと立ち向かうことになります。




