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汚穢  作者: ロベストラ
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人面饅頭

この私が着床して成立した瞬間は有史以来最も

下等なアクシデントと評されている。

時代を蝕む潰瘍、数多の蛆虫が待望した忌み子……


ニュースでは連日そのような見出しが踊り、

PV稼ぎの恰好のネタだとインフルエンサーが槍玉に挙げる。


私がほんの少し手間をかければ、たとえそれが画面越しだろうと、

卵をフライパンのフチにぶつけるぐらい簡単に連中の頭を真っ二つにすることもできる。

ただいくらカチ割ったところで結局ラチがあかないのでそれすら億劫になってしまった。


今から10年ぐらい前、あらゆるすべての事象・事物を改変することができると

私の能力が知れ渡った当時は、世間は希望的観測を多分に含んで好き勝手囃し立てた。

全知全能、神の右手、人類の希望、革新の担い手……


ただ舞い上がっていたせいか、タクトを振るう指揮者が私であることを考慮してなかった。


ある日のこと、朝から頭痛に苛まされていたこちらの事情も省みずに、

色めき立った連中がワラワラと群がってきた。


このテンションが凄まじく鬱陶しく、進行を妨げられたことにも腹が立ったので、

辺り一面を粉微塵にしたのちに一つの塊として再構築した。

標識、バーキンのバッグ、吐き捨てたガム、カラス、車、こいつらと

周囲のあらゆる無機物と有機物をシェイクした。

出来上がった物体は遠目からみたら巨大な饅頭のようだけど、

近づくとあちこちからと顔が生えており、各人が低く呻いている。


どういう構造で声を発しているのか私にはわからない。

意志があるのか、痛みを伴うかもわからない。

ただ報告によると、この塊を回収するも手の施しようがなく、

結局、餓死するほかなかったようだ。







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