開戦
一方その頃。
闇の軍勢本拠地にて。
「本当に侵攻するおつもりですか」
ソレイユより少し年上の1人の仮面を付けた少女が、玉座に座っているものに話しかけた。
「ここまで来て引くわけにはいかなかろう」
冷たく低い声で、その者は答えた。
「…愚問でしたね。失礼いたしました」
その少女の姿は、左半身に闇の鱗がびっしりと生え、
その瞳は闇によって、虹彩を除く部分は全て黒に染め上げられていた。
彼女は悲しげに、唯一黒くなっていない美しい紫の虹彩を揺らした。
「あの子に武器を向けたくはないけれど、これも全て計画のため」
そう呟いて、警護に戻って行った。
「三日後、あいつがどの様な成長を見せてくれるのか、とても楽しみだ」
そう、玉座にいる者はつぶやいた。
生憎、兜のせいで表情は窺えなかったが。
宣戦布告があってから、2日が経った。
…今日が約束の無月の夜。
月がない夜はとても暗い。闇にとってはとても好都合なのがよくわかる。
私は、魔法で視力強化と暗視をつけて、敵軍の様子を探っていた。
…流石にこっからじゃ見えないか。
今私がいるのは、城の大テラス。
私はここで城全体を包む結界をランブル、マティアとともに張る予定だ。
クリス、フォレスト、フランテリーは最前線にいる。
フォトスはというと、神獣たちを連れて隠密行動中だ。
…絶対にバレる気がするけど。
正直言ってフォトスの隠密行動の腕前には期待していない。
…嘘もめっちゃ下手くそだしね。
なのでフォトスには申し訳ないが、隠密行動は失敗する前提で進んでいる。
ヒュルルルル…パン!
計画開始を合図する花火が空を彩った。




