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式典

中央庭園に着くと、正装に着替えたフォレストが出迎えてくれた。


「準備は整いました、陛下…っんふ」


「笑ってんじゃないわよ」


抑えているつもりだろうが、全然隠しきれていない。


…こんな感じなのが、フォレストらしいとこなんだけどね。


「建前上の挨拶はいいとして、進捗状況はどうなの?」


「軒並み準備は終わってるよ。あとはあんたのスピーチだけ!」


本当に、こいつが特異な性質と私の幼馴染という立場を持っていなければ、今頃簡単に首が飛んでいるところだろう。


「言葉遣いは気をつけなさいよ。バレたらこっちも面倒臭い」


「はいはい陛下」


本当にこいつは私をなんだと思っているのだろうか。


私を尊敬していないことだけはよくわかる。


…さてさて、面倒くさいスピーチをさっさと終わらせなければ。


「フォレスト、そろそろ始めようか」


「了解した!」


…まじあいつ、あの態度さえ改めれば、すごい有能な軍部大臣なんだが。


フォレストはたぶん残念な美人の一位になれる気がする。


それくらいの容姿はあるのだ。


「ではこれから、神光陛下のスピーチを行います」


…めっちゃ猫被ってやがるあいつっ!


さっき私と喋ってた時よりもあからさまに声が綺麗に落ち着いている。


…ある意味切り替えの天才なのかも知れないな。フォレストは。


神光陛下というのは、私の愛称みたいなものである。


下町の人々や、兵士たちはだいたい神光陛下と呼んでいる。


…代々の守護神ごとに呼び名が違うらしいね。ま、覚える気ないけど。


そんなことを思いながら、私は壇上に上がる。


「ん゛んっ」


声を整えてから、口を開く。


「強靱なる宮廷騎士団諸君。この度は私へ、闇からの直接的な宣戦布告があった。そのため、この様に光の国は緊張状態である。住民や周辺諸国の平和を守るためには、私1人の力では足りない。今、私には宮廷騎士団の

尽力によって、この場で皆と顔を合わせることができた。諸君らの活躍と尽力には敬意を表する。

そして今、その諸君らの強靭な精神と肉体を用いて、

正義を象徴することのできる機会がやってきた。

皆で力を合わせ、共に闇を打ち破り栄光を我が手に収めようではないか!!」


「うぉぉぉぉ!!!」


…すごいね。私適当に喋っただけだけどここまで士気上がるんだね。


私はそっと壇上の横の玉座に座り、残りのフォレストを観察していることにした。


…いややっぱあいつ、猫被りすぎだよね???

なんかもう5枚ぐらい被ってるんじゃない?猫。


フォレストも緊張しているのかも知れないが、絶っっっ対に被りすぎたと思う。


…ついにフォレストにも春が来たのか?!?!


「んふっ」


私はフォレストが恋をしている光景の想像が、あまりにも滑稽で笑いを抑えられなかった。


…絶対違う…っふふ。やばい。笑いが止まらない。


顔には出ない様にしているが、突かれたらすぐに爆発してしまいそうだ。


「ーーではこれにて、この式典を終了する」


…お、やっと終わったっぽい。


フォレストに後で理由をどうやって問い詰めようか考えながら、式典は終了した。




兵士たちが全員立ち去った後、私はフォレストに会いに行った。


「ねえフォレスト…んふっ…好きな人でもできたの?」


「…は?」


フォレストは何言ってんだこいつ、という顔をしている。


…まあそういう顔になりますよね。なんかちょっと安心した。


「いやだって、あまりにも猫被って話してるもんだから好きな人でもできたのかと思って」


「うーん。チョップしていい?」


「やめなさい」


…こいつはすーーぐ手を出すんだから。まあそれのおかげで軍部大臣になってるんだけどね。


「とりあえずフォレストは黙ってりゃ美人なんだから、しばらく猫被ってたらどうかしら」


「その言葉、そのままそっくりソレイユに返す」


…なぬっ?!


「あら私は淑女の鏡でございましてよ」


「全く、どの口が言ってんだか」


「失礼しちゃう」


…2人でこんなふうに話ししたのいつぶりだろうな…


「まあでも」


フォレストは微笑みながら、


「こうやって普通にソレイユと話してる時が1番楽しい」


と言った。


「え?なに?かっこつけてんの?」


「こういう時ぐらい空気読んでよ。ソレイユ」


「ごめん?」


フォレストに呆れた顔をされた。解せぬ。


…まあ、私も実際楽しいけどね。


そんなことを心のうちに秘めながら、しばらくフォレストとの談笑を楽しんだ。

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