決意
彼女の目元の涙の跡を見た辰馬。
再び罪悪感に悩まされた。
そして…
「と、言うわけだ…」
「そんなことがあったんですか…」
「メグのやつ、人前では顔に出してないが、アイツの死を誰よりも悲しんでいるんだ。まぁ、実の妹なんだから、当然なんだがな…」
辰馬は悲しげに呟いた。
それを見て
「でも、本当にその親友の人が死んだのは、辰馬さんのせいじゃないですよ!」
と、大石が励ます。
「そうだぞ辰馬、お前は1人で背負い込みすぎだ!」
鹿川も言う。
「あぁ、だがメグの…彼女の顔を見る度に、あの日の、アイツが死んでいく光景がフラッシュバックするんだ…」
「「……」」
その場の空気が一気に重くなった。
「しかしだ!」
その重くなった空気を払うかのように、辰馬は
「何時までも、クヨクヨとしてても何も始まんないんだ!俺が今することは、後悔してヘムことじゃない、親友の忘れ形見とも言える彼女と、巳兎や他の仲間達を守り、生きてこの大阪から生還することなんだ!」
と、熱く語った。
「彼女を、皆を守り抜く!それがアイツの、死んでいった皆への1番の供養だと思ってるんだ!」
そう宣言する辰馬。
「あぁ、だからこそ、お前はこの脱出作戦に誰よりも心血を注いでいるんだよな!」
と、鹿川が言う。
「お前が皆を守り抜く事を自身の誇りにかけ、覚悟を決めてることはココにいる皆が理解してるぞ!」
「鹿川…」
「だけどだ!」
鹿川が少しためて、
「さっきも言ったが、1人で背負い込むんじゃねーよ!」
と、強めに発した。
そして、辰馬の両肩を掴み、
「これはお前1人の問題じゃないんだ!今生きている人間、全員の問題だ!」
「……」
「お前は1人じゃない!俺や嵐子、宇島に沢山の仲間がいるだろう!1人で背負い込まず、遠慮なく俺等を頼れる!相談しろ!」
と言ったのだった。
「鹿川…ああ、頼りにしてんぜ!」
と、元気よく答えた。
そんな2人を見て走達は、少し意外そうな顔をした。
「⁉何だよ変な顔して…」
鹿川も皆の顔に気付いた。
「いや…その…鹿川さん…」
「??」
「意外と真面目なことも言うんですね⁉」
「はぁ⁉」
自分的に言われのない事を言われ、顔を崩す鹿川。
「あぁ、随分と真面目なことを言ったなって…」
「今までのイメージと違うと言うか…」
「真面目なことを言うキャラには見えなかったよな!」
「タダのミリタリーマニアじゃなかったんだな…」
それぞれ軽く辛辣な意見を述べる走達。
「オイコラ!俺が真面目なこと言っちゃダメなのか⁉」
「ダメとは言わないけど…なぁ…」
「キャラに合わないというか…」
「だな…」
と、再び辛辣なコメントを浴びせる一行。
「おー前ーらーな!」
キレそうになる鹿川。懐から銃を取り出す。
「よせ鹿川!マナーをしっかり守る達なんだろ、お前は!短気は損気と言うだろ⁉」
辰馬が静止し、なだめる。
「ぐっ…!」
ぐっと怒りをコラえ、懐な銃をしまう鹿川。
側の辰馬の顔は、悩みから吹っ切れたかのか、何時もの頼りがいのある男の顔に見えた。