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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
作戦開始2
94/205

児童室

 護送車の見学を終えた一同は、地下から上がってきた。

 そして、


 「そんじゃ、明日まで各自ゆっくりしてくれ。部屋は割り当てたとおりだ!」


 桜島がその場で解散させようとした。そこへ、

 

 「お兄ちゃ〜ん‼」


 女の子が辰馬を呼びながら駆け足でやって来た。


 「巳兎どうしたんだ、そんなに慌てて⁉」

 「みう…あぁ、確か桜島さんの…」

 「ああ、俺の妹だ!」


 桜島辰馬の妹、桜島巳兎だった。

 地下にいたメンバーで、彼女と面識があるのは、走・正一・剣持の3人くらいだ。


 「おう巳兎ちゃん、しばらくだな!」

 「あっ、どうもお久し振りです!」


 と、巳兎は走達に気付くと丁寧に挨拶をした。

 そして直ぐ辰馬の方を向き直し、


 「それは兎も角、お兄ちゃん聞いてよ〜!」


 と、兄辰馬に甘えだした。親がいないので、家事全般を受け持っており、それもあってから、なかなかのしっかり者の彼女だが、兄の前になると、人が変わったかと思うくらい、急に甘えたりベタベタしだすのだった。

 本人は兄妹何だからこれぐらい普通だの、兄妹愛だのと言っているが、他からはブラコンと思われている始末である。

 因みに兄辰馬はというと、そこまでではないが、たった一人の肉親である巳兎を大切に思っており、かわいがっている。


 「少し落ち着けって、で何かあったのか?」

 「それが、児童室の子達がケンカしはじめたの‼」

 「ケンカだと⁉」

 「そうなの、私止めようとはしたんだけど、言うこと聞いてくれなくて、手に負えないの…」

 「そうか分かった、俺が行こう!」

 「うんお願いねお兄ちゃん!」

 

 そんな兄妹の会話を聞いている走達。


 「児童室?」

 「警察署に?」


 警察署に児童室という言葉に不思議感を抱いていた。それを察したかのように、鹿川が答えた。


 「児童室ってのは、俺等が勝手にそう呼んでいるだけだ。元々は捜査会議が行われてた部屋だ。」

 「そうなんですか⁉」

 「ああ、中の物を他所に動かしたりしてな!」

 「そもそも、ここに子供が居たんですね。」

 「そりゃそうだ、お前らのいた地下にもいるだろ?」

 「えぇ、親子で住んで避難していた人もいましたし。」

 「ここも似てようなもんだ。俺等の仲間の兄弟姉妹に、保護した子供もいる。」

 「保護した子供⁉」

 「そうだ、食糧とかを調達のため近くに出向いた際、見つけた子供達をな!」

 「ここの人達って、そんなこともしてたんだ!」

 「当たり前だ!」


 巳兎と話してた辰馬が会話に加わった。


 「蚊に怯えているのは同じだ。ましてや力の弱い子供だ。ほっといたら蚊の餌食か、飢えて死んじまうだろが!それなのに、放っておける分けないだろ!俺等はな、困ってる子供を見殺しにするような人間なんかじゃないぜ!」


 と、辰馬は自信たっぷりた宣言した。

 その姿に走達は、ますます桜島辰馬という男の、カリスマ性を確認した。


 「よし、行くぞ!」


 辰馬は児童室に向かって、走り出した。

 妹巳兎と鹿川も後に続いた。

 更にその後ろから、走達も付いてきた。それに気付いた辰馬は、


 「ン⁉あんた達も来るきか?」

 「えっ、あっいや、なんとな~く…」

 「ついつられて…」

 

 歯切れ悪く答える走達だったが、それは建前であって、実際のところは辰馬の勇姿を見てみていというのが本心だ。

 なんてことやっている内に、児童室(と、辰馬等が呼んでいるが、本当は捜査会議室)の前まで来た。


 「ン!おい巳兎、ホントにケンカしてるのか?」

 「えっ、ホントだよ!」

 「それにしちゃ、静かだぞ!?」

 「あっ、ホントだ…」


 児童室からは、ケンカご行われてるような物音は一切してこない。その代わり、子供達の和気あいあいとした声が聞こえてくる。

 少し不思議がりながら戸を開け中を覗くと、


 「みんな〜喧嘩はダメ!仲良くしようね!!」

 「「は~い!!」」


 と、元気かつ明るい少女が子供達の中心にいた。

 そして子供達も、今の大阪の現状がウソであるかのように、笑顔を見せていれた。

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