質問
桜島の鼓舞で闘志が高まったのを、その場の全員が感じていた。
その闘志が冷めないうちに、
「よし、それでは改めて説明に入る。」
高倉が作戦の説明に入った。
説明とはいっても、大体が聞いているとおりだ。
高速道路「阪神一号環状線」を利用し、そこから一気に大阪を抜け、そして兵庫に入るというものだ。
乗り物は話にもあったが、バスの様な乗り物を使う。
更に、その横を別の車で並走する。その車には、銃火器を持った者が乗り込み、万が一、蚊が襲ってきた時、銃火器を使って撃退する。
これが簡単だが、地下にいた者達と、今いる警察署にいる者達と協力して行う大阪からの脱出作戦の流れだ。
「大体の作戦は流れは以上だ!」
「出来れば今日にでもここを発ちたかったが、途中のアクシデントで時間を食ってしまった。もう夕方に近い、大事をとって出発は明日の朝とする。」
「質問はあるか?」
三船が聞いて来た。
作戦自体は至ってシンプルだ。取り立てて質問は無いと思うが、一応、聞いておくこととした。
スッ!
すると、何人かが手を上げた。その中には正一もいる。
「はいキミ!」
高倉が正一を指さした。
「肝心の車は何処ですか?」
「ここの地下にある。素人の手でたが、手入れはしてある。」
「ガソリンは?」
「トランシーバー越しで話した通り、満タンにしてある。アチコチに放置されてる車から拝借した。」
「見せてもらってもいいてすか?」
「構わんぞ。どうせ明日には乗ることになるんだからな!」
その後、明日使う車の拝見を希望する者たちは、実際に地下で見ることになった。
それから何人かの質問が繰り返された。が、その内容は、
「本当にこんな作戦で大丈夫なのか?」
「成功率は?」
「女子供優先で行くか?」
等といったものばかりだった。
無理もなかった。作戦に参加したのはいいが、いざとなって不安でいっぱいになったのだ。
それに対して、
「正直なところ、絶対とは言えない。成功率も、低いと考えた方がいいだろう…」
「そんな…」
不安がる人々。
「しかしだ、もうここまで来た以上後戻りは出来ない!救助の見込みもないし、何時までも今のままとはいかんしな。少々無責任かもしれないが、運を天に任せるつもりで行くだけだ!!」
そのまま解散となり、地下にいたメンバーには、署内の空き部屋をあてがわれた。
各自、明日に向けて体を休めている中、警察署地下駐車場にて、約束通り、車を見物したい者達は作戦の要とも言える車を見ていた。
そして、その反応はというと、
「こ、これですか?」
「ああ、そうだ!」
「これに乗るのか…」
「マジかよ…」
「やっぱりこれか…予想はしてたけど…」
「まさか、真面目に生きて来て、これに乗ることになるとは…」
「確かに、出来れば一生乗りたくないな…」
「犯人になった気分だ…」
「いや、担当の警官になったと思えば…」
と、様々だった。
それもそのはず。彼らが使う予定のバスの様な乗り物。それは…
「ご、護送車って…」
そう、警察が犯人を移送する時に使う車の、護送車であった!
ますます話に無理が生じているのを、感じてます…




