表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
作戦開始
77/206

作戦開始前

 作戦会議後、各自思い思いに過ごした。

 腹ごしらえする者は、走達。

 ガツガツ食べる走と静かに食べる正一・カエデ


 「走!もうちょっとゆっくり食べなさいよ!誰も取ったりしないんだから…」

 「それ位分かってる!しかしだ、生き死にがかかってると思うと、ついもの食う口にも力が入っちまうんだ!それに、皆の命がかかってるんだ、エネルギーを蓄えとかないと!」

 「気持ちは分かるが走、食べ過ぎるといざって時に動けないぞ!」


 カエデと正一がたしなめる。


 「それもそうか…腹八分目って言うし、これ位しとくか…」

 「何処が八分目よ…」

 「俺にとっちゃ八分目だ!残りは大阪を脱出してからだ!」

 「そうだな。生きて帰ったら、皆で美味いもの食べに行こうな!」

 「いいわね!あたしケーキバイキングに行きたいな!」

 「俺は…寿司だな!」

 「目的地は兵庫だろ。だったら神戸の南京町の、中華街で中華の食べ歩きもいいな!」

 「それもいいな!って、大阪がこの有り様な時に、やってるかどうかわかんねーけど…」

 「確かに…」

 「まぁまぁ、何処に行くかは脱出した後でゆっくり決めましょう。」

 「そうだな!その為にも、生きて帰るぞ!」

 「おう!って、このくだり、何度目だよ…」

 「確かに、何かデジャブみたいだな…」

 「何個目でもいいでしょ!こういうモチベーションを維持するのも大事よ!」

 「そりゃそうだ!何度だって言うぞ!生きて帰っぞ!!」


 走が高らかに宣言した。が、その直後、


 「でも走、アンタお金大丈夫なの⁉」

 「ウッ!」


 走は自分の財布事情を思い出した。ただでさえ少ない中身を、金物屋で置いて来てしまったので、今の走の財布はシャレにならないほど軽かった。


 「カエデ…急に現実に戻すなよ…」

 「ハハハハハ!!」


 ところ代わり、無事大阪から脱出出来る事を祈る者、新堂姉妹。

 姉有希子が両手を合わせて祈りを込めている。

 

 「……」

 「有希子、まだ祈ってるの?」

 「登紀子!ええ、成功しますようにって、どれだけ祈っても祈り足りない気分よ…」

 「確かにね…」


 そう言うと登紀子はポケットからお守りを取り出した。

 有希子も同じ物を持っている。2人が小学生の時、近所の神社に初詣に行った際、お揃いで買ってものだ。表面に「御守」と書かれている。

 買う際、「交通安全」や「回復祈願」・「家内安全」等、種類は色々あった。少し悩んだ末、どんな事にも効きそうと2人の意見が一致し、コレを選んだのだ。両親も流石双子と言っていたとか。


 「これ買った時はまさか、こんなシチュエーションで使う事になるなんて思っても見なかったわ…」

 「そうね。でも、今だったら、「交通安全」とかの方が良かったかな、って気になるわ…」

 「あぁ、高速道路使って逃げるからね…有希子アンタ意外とのんきね!」

 「そうかな?…」

 「そうよ!」

 「う~んでも登紀子、あなたの場合は…」

 「??」

 「今昔を問わず、「学業成就」にしといた方が良かったわよ。」

 「なっ!ちょっと有希子!今学校の成績は関係ないでしょ!!」

 「ふふふ!」

 「そう言う有希子こそ、「恋愛成就」の方が良かったんじゃないの?」

 「!!恋愛って…何言ってるのよ登紀子!」

 「だって有希子、 顔の割に今だ彼氏いない歴更新中じゃない!」


 有希子は生まれてこの方彼氏ができたことは無い。登紀子は、長続きこそしなかったが、何人か出来た経験があるのだ。


 「私は出ないんじゃないの!そういう気が無いだけよ!学生の今は、学業優先なの!」

 「ふーん、どうだか…」

 「もー!こんな時にからかわないでよ登紀子!」

 「先に学業成就だのなんだの言って来たのは、有希子でしょう!」

 「それは…」


 言葉を詰まらせる有希子。


 「まあ兎に角、2人一緒に、何方どちらも欠ける事なく家に帰りましょう。」

 「登紀子…ええ、勿論よ。」

 「それから…あたしの友達のツテで、いい男紹介してあげるからね!」

 「だから、それはいいの!」


 そんな姉妹の光景を見て御子柴は、


 「あらあら、相変わらず仲がいいわね、あの娘達!!」


 と、ある限りの医療道具の確認をしながら、顔を微笑ませた。


 そして、さらなるウォーミングアップをする者並びに、武器の手入れをする者等、剣持・大石・近松。


 「フンフン!」

 「71.72.73…」

 「……」


 本場に備えて、体力を温存しときたい所だが、彼等はじっとしてるのが性に合わないのか、大石と近松は控えめにだがトレーニングしている。剣持も、刀のメンテナンスを黙って黙々としているのだった。


 そんなこんなで、時間は過ぎて行き、いよいよ大阪脱出作戦開始の時刻を迎えたのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ