朝3
本文を書いてて、つくづく文才の無さを感じました…
決意を新たにした走達。
それを見て村雲は、
「威勢がいいのう!若いのは元気があって結構結構…いっっ」
膝を抑えて、痛みをこらえる村雲。
「!大丈夫ですか村雲さん!」
そして、それを見て有希子が心配し近寄る。
「何、大したことはない。持病の膝の痛みが出ただけだよ…」
「持病…」
「ああ…50代後半の頃からな…まぁ、人間50・60にもなれば、身体のアチコチにガタが出てくるわい!」
「辛いんですか?」
「安静にしてれば大したことないが、動かすとな…」
少し悲しげな顔をする村雲を見て有希子が聞いた。
「村雲さんは、どうされるんですか?」
「どうするって?」
「大阪からの脱出ですよ!」
有希子以外の、他のメンバーも同じ事を考えていた。
今の村雲の体では、大阪から脱出するのはかなり難しい。足の悪い老人を連れて行くのは、かなりリスキーだ。言い方は悪いかもしれないが、文字通り足でまといになる。
いや、村雲だけではない。地下には、高齢者もそれなりにいる。全員連れて行くのは、難しいだろう。
「そうだな…」
村雲は一言発した後、沈黙した。脱出において、自分の様な者は足でまといになる事は、本人が一番理解しているのだ。
少し間を開けてから、口を開き、
「ここに置いていってくれて、構わんよ!」
と、開口一番に発した。
「そ、そんな置き去りにするなんて、できませんよ!」
「そうよ!あたし達そこまでして生きたくないわよ!」
新堂姉妹の考えは同じだった。
いや、姉妹だけではない。走達も同じだ。彼等は誰かを犠牲にして自分達だけ助かろうなどと考える人間ではない。
しかし、村雲はといと…
「しかしだ、わしのせいで犠牲者が出れば、それこそ死んでも死にきれんのだ…」
「でも…」
村雲はここに残る事を前提に考えている。
「新堂さん、君は今いくつかね?」
「えっ…17ですけど…」
「そうか…わしはその5倍は生きた。長い人生色々あったが、君等位の頃に、戦闘機から逃げ惑い怯える生活をした。そして、この年になって、得体のしれない蚊から逃げ惑う事となった。本当皮肉な話だよ。」
「……」
「まぁそれはそれとして、わしが今こうして生きているのは、今を生きる若い世代に、わしら経験等を伝えていく事でと思っとる。君達だけでも生き延びてくれれば、それで良しとするつもりだ。だからわしらに構わず、君達だけでこの地獄から抜け出してくれ!」
村雲は少し弱々しくも、力のこもった声で走達を論じた。
しかし、
「爺さん…わるいが、そういうわけにはいかないぜ!」
「!!」
「生憎だが、俺の辞書に、置き去りにするって言葉はない!」
「走の言うとおり、そんな目覚めの悪い事出来ないですよ!」
「そうそう!」
と、走・正一・カエデが言った。更に
「そうですよ。置いてくなんてできません。そんな事するくらいなら、私もここに残りますよ!」
「そうね、有希子が残るならあたしも!」
と、新堂姉妹。
ここにいる全員が、高齢者達を置き去りにするという選択肢など無かった。
「き、君達…しかしだな…」
村雲は嬉しさ半分、戸惑い半分な気分だった。
気持ちは有り難いが、素直に受け入れる事など出来ないでいる。
と、そんな中、
「その心配はいらんよ!」
「高倉さん!三船さんも!」
高倉と、三船が何処からともなくやって来た。
「大丈夫だよ。村雲さん達を置き去りにしたりするつもりは、我々もないよ!」
「ホントですか⁉」
「勿論だとも!」
高倉が胸を張って言った。
「例の桜島くん達と話したんだが、彼等も高齢者を置き去りにする気はないとの事だ。彼等の力を借りれば、皆で脱出可能だ!」
オー!と言う声がその場に広がった。
「で、どうやって?」
「そう言えば、作戦の概要とか全然聞いてなかったな⁉」
「それは、この後のミーティングで話すよ。そろそろ時間だ。集まっとくれ!」
詳しくは作戦会議と、言う訳らしい。
「分かりました。皆行こう!」
「おうよ!」
「行こう有希子!」
「ええ、村雲さんも。」
「わしは足が良くない。ゆっくり行くか、先にいっとくれ!」
「大丈夫よ有希子ちゃん!あたしが付き添うから!」
御子柴がテンション高めに発した。
それを聞き、一同はミーティングが行われる場所へ向かっていった。
走達を見送りながら、自身も同じ所へ向かう村雲と御子柴。完全に走達が見えなくなってから、
「彼等の気持ちは大変嬉しい。しかしだ…昔は敵国とはいえ同じ人間だったが、今度は言葉の通じぬ蚊だ。何が起きるか分からない。それに…作戦が成功しようが失敗しようが、どっちにせよ全員無事とはいかんだろうな…」
と、呟いた。それを御子柴は、黙って聞いていた。




