MicroSDカード
MicroSDカード。取り外し式の記憶媒体で
リムーバブルメディアと呼ばれるメモリーカードの一種だ。
幅11mm、長さ15mm、厚さ1mm程の非常に小さい物で、主にケータイやデジカメのデータ保存に用意られる。
齋木紫苑がこの地下で行っていた蚊の研究データは、全てそのMicroSDカード中に収められている。
「まさかそんな所にあったとは、まさに灯台もと暗しですね。いえ、この場合は、「詮索もの目の前にあり」と言ったほうが正しいでしょうかね。」
「随分と諺に詳しいんですね、ブライアンさん。」
有希子が感心げに言った。
「ええ、元々日本が好きなのは本当ですから。家の家電やバイクも日本製が多いですよ。後、ミス有希子、君がヤマトナデシコなのも!」
「はぁ…」
「………」
ブライアンが有希子をお気に入りなのは本当らしい。有希子は少々困惑気味で、妹 登紀子は不機嫌そうな表情を浮かべている。
「オイFBIのニーチャンよ。データ要らないのか?」
三船が話に入って来た。
その後方で、紫苑もMicroSDカードを手に少し顔をしかめている。
「あぁ、そうでした。失礼しました、ミス紫苑!では改めて、データを見せてください!」
「えぇ、それじゃあコッチに。ブライアンさんだけ入ってください。」
紫苑がブライアンを研究室の方へ手招きした。
「2人だけで大丈夫なの?」
カエデが訪ねた。
「大事なデータや情報を交換するわけだから、少ない方がいいのよ。得た情報は、話せる範囲で後で皆に説明するから。いいわよね、ブライアンさん?」
「構いませんよ。」
「それじゃあまた後で…」
そう言うと、2人は研究室に入って行った。
「2人きりで入っていったけど、大丈夫だよね…」
有希子が心配顔で呟いた。
「問題ないだろう。ブライアンさんはFBIの捜査官だし、紫苑さんもテコンドーの有段者だ。」
「そうよ有希子ちゃん。」
「そうそう。それよりも、俺が気になるのは…」
走が言葉を貯めるように言った。
「気になるのは⁉」
「何でデータの入った記録媒体を、あんな風に隠してるのかだ!」
少し場の空にが固まった。
「気になるのそこ⁉」
「まあ確かに、気にはなるな…」
剣持が少しだけ賛同した。
等と話していると、研究室から2人が出て来た。
「ミス紫苑、ありがとうございました。」
「ブライアンさん、データの方は期待に答える物でした?」
「えぇ、収穫ありと言えますかね。とはいえ、FBI本部に報告出来ないのが残念ですけど…」
ブライアンが悔しさが混じったように言った。
「それは兎も角だ、ブライアンさん、悪いが我々と一緒に来てもらえるかな?あっ、別にアンタを疑っている訳でも、何かしようって訳じゃ無い。アンタは身分を偽っていたんだ、改めて色々と聞きたいこともあるからな。」
高倉と三船がブライアンに同行を求めた。
「分かりました。」
同意したブライアンを高倉達が連れて行った。
後に残された走達は、
「しかしまさか、ブライアンさんがFBIとはな…」
「人は見た目じゃ分からないものね。」
「いや全くだ…」
と、そこには大石と近松の2人が居た。
それに対し、
「あれ、あなた達、何時からいたの?」
と、紫苑が興味無いとばかりに言った。
「いたのって…齋木さん!僕等は近くにそれぞれ隠れ、待機するって事になったでしょ!」
そう、実はブライアンが隠れて覗いているのに、大石と近松の2人は気が付いていた。彼が研究室に忍び込むと予想し、その時はまだ、得体のしれない相手だった為、2人が近くに隠れ潜み、いざという時に飛び出せる用にしていたのだった。誰に頼まれたのでもない、2人が自ら進んで買って出たのだ。
「あぁ、そうだったわね…ごめん、忘れてたは…」
「…何か地味に傷つくな…」
「相変わらずマイペースと言おうか、なんと言おうか…」
大事な役目を自ら買って出たというのに、存在を忘れられた2人は、本気で地味にショックを受けたのだった…