ブライアンの正体
「ミス紫苑だけでなく、他の方々もご一緒ですか⁉」
片言でなく、流暢な日本語で話すブライアン。それまで走達が交流して来た日本好きな外国人、ブライアンとは別人の様になっていた。
それを走を初め、正一・カエデ・剣持・新堂姉妹・高倉に三船といった面々が感じていた。
「何だよアンタ、日本語ペラペラじゃねーか!」
「えぇ、日本語だけでなく7カ国の言語は話せますよ。因みに、漢字も、日本の中学位までに習う範囲でなら、書けますよ!」
「マジかよ…」
「ブライアンさん、貴方は何者何です?」
正一が聞いた。
しかし、その返事が来る前に、紫苑が入って来た。
「それは兎も角、そのフラッシュメモリー、返してもらえるかしら?」
「勿論、お返ししますよ。データ以外、貰うつもりはありませんから。最も、ダミーだった様ですが…」
「お生憎様、コレ、ダミーじゃないわよ!」
「!どういうことです?中身を見ましたが、データは何もなかったですよ⁉」
「正確に言うと、ダミーの様であって、ダミーじゃないのよ!」
「よくわかりませんね。まるでなぞなぞみたいですね…」
紫苑とブライアンが会話を重ねている。
が、今度は逆に正一達が入って来た。
「それよりも、ブライアンさん、あなたの事ですよ!あなた何者何です?」
「あぁ、まだ言ってませんでしたね。」
そう言うとブライアンは、懐から何かを取り出した。
そしてそれを走達に見せた。
「私は、こういうものです!」
ブライアンが見せた物。それはIDカードだった。そしてそこには、大きな文字で
FBIと書かれていた。
その3文字の横にはブライアンの顔写真がプリントされている。
予想外も物を見て走達は、しばし固まっていた。
「えっ、FBI!」
「FBIってアメリカのドラマとかに出てくる、あのFBIか⁉」
「そのとおりです。私はFBIの捜査官です!」
FBI。正式名称 連邦捜査局(れんぽうそうさきょく、Federal Bureau of Investigation)は、司法省に属するアメリカ合衆国の警察機関である。国内の治安維持を一手に担い、テロ・スパイ、政府の汚職、複数の州に渡る広域事件、強盗事件などの捜査を担当する。本部はワシントンD.C.ペンシルベニア通りにあり、百年以上の歴史を誇る組織なのだ。
そんな組織の捜査官等、日本ではまずお目にかける事の無い存在で、漫画やドラマ・映画位でしか見たこと無いと言うのが一般的だ。
しかし、そのFBIの本物の捜査官が今、走達の前にいるのだ。
「スッ、スゲー!本物かよ…」
「まさか、FBIのIDカードの実物を見にする日が来るなんて…」
「夢みたいだわ…」
走・正一・カエデが少年の目でブライアンのIDカードを直視している。やはりこの3人は似た者同士なのだ。
そんな3人を尻目に、紫苑は冷静に返した。
「で、そのFBIの人が何だって、私の研究データを盗み見るような真似をするんです?」
「そーだ、そもそもFBIが何だって日本のこんな所にいるんだ?」
剣持も続いて問いかけた。
それに対し、ブライアンは、
「それはですね、ある調査の為に日本に来ました。」
「調査⁉」
「ハイ、詳しくはお教えできませんが、今向こうである事を調査していまして、その手がかりがココ、日本の大阪にあると分かったんです。」
「大阪に⁉」
「えぇ、しかしその調査の最中、この騒ぎに巻き込まれてしまったのです。」
「それはそれは、タイミングが悪かったな。エライ時に日本に来ちまったんだな…」
と、三船が気の毒そうに言った。
「えぇ…ですが、悪い事だけではありません。実はミス紫苑の研究データが、私の求めている物かもしれないんです。」
「私のデータが!言っとくけど、私、法を犯すような事はしてないわよ!それは、研究に身が入りすぎて、周りが見えなくなる時がある事は、自分でも理解してるけど…」
「いえいえ、アナタを疑っている訳じゃありません。ただ、アナタの蚊に関するデータが解決の糸口になるかもというのです。なのでミス紫苑、データを見せてくれませんか⁉」
ブライアンが真剣な表情で紫苑に情報提供を願った。有希子に馴れ馴れしくしていた彼とは完全に別人だった。恐らく、今の彼が本来のブライアンなのだろう。それに対し紫苑は、
「分かりました。お見せしましょう。」
と、すんなり了承した。
「随分とすんなり、了承するんですね。」と有希子が言う。
「私の研究データが役に立つんなら、大いに結構よ。ただし一つだけ条件がありますよ。」
「条件ですが⁉何です?」
「それは、アナタの調査している事について、話せる範囲で教えてもらうことよ!情報提供するんだから、それ相応の見返りがないと。」
ブライアンは少し考え、
「OK、いいでしょう。でも先にデータを見せて下さい。」
「分かったわ。」
そう言うと紫苑は、フラッシュメモリーを取り出した。
「データはこの中よ。」
「イヤイヤ、先程見せてもらいましたが、何も無かったですよ!ダミーでは!」
「さっきも言ったけど、ダミーの様でダミーじゃないのよ。紛れもなく、この中に、私の研究データが全部入ってるのよ。」
そう言うと、紫苑はフラッシュメモリーの側面に爪を立て少し力を入れた。するとフラッシュメモリーはパッカリと分かれた。そして、分れたメモリーの片側を皆に見せた。
「あっ!コレは…」
そこにはMicroSDカードが入っていた。
「この小さなカードに入ってるのよ!」
「そっ、そんな所に…」
「言ったでしょ⁉この中に入ってるって。確かに入ってたでしょ⁉」
と紫苑は勝ち誇った様な顔をしたのだった。
フラッシュメモリーの中にMicroSDカードが!ずーとこのくだりを書きたかったです。ようやく書けました!




