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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
新たなる出会い
61/206

警察署3

 取調室で3人の男と対面する走達。

 進められるがまま、椅子に座った。


 「ランから聞いた。俺の仲間が手荒な事をしたみたいだな。すまない。」

 「いや…済んだことですし。今の現状じゃ、仕方がないですよ。」


 正一が敬語で話した。相手が自分より年上と察したのだ。それは間違っていない。走と正一は20歳で、辰馬は22だ。


 「そう言ってくれると助かるよ…」

 「えーと、確か、辰馬さん…でしたっけ?」

 「そうだっだ。自己紹介してなかったな。俺は辰馬(たつま)桜島(さくらじま)辰馬だ。そして、後ろにいる2人は、入部いるべ早良(さわら)だ。」


 辰馬に紹介され、後ろの2人軽く会釈した。


 「で、早速だか、本題に入ろう。ランの話によると、アンタ等は武器()目当てでここに来たんだってな。」

 「ええそうです。」


 それから走達は再びことの経緯を話した。


 「何と!あの辺の地下に、そんなに沢山の人間が隠れ住んでいたのか…」

 「ええ、まぁ僕と走、後ここにはいませんがもう一人は、つい最近そこに加わったばかりですが…」

 「確かに下手な場所よりは安全だろうな。」

 「ところで桜島さん達は何時からここに?」

 「あんた等の話を聞いた限り、そっちの地下と同じ頃だな。俺等は仲間内で遊んでいる時に例の事件が起きてな。皆で協力して逃げ隠れしててな。半分パ二ック状態で無我夢中だったからよく覚えないが、気付いたらここに逃げ込んでいた。正直俺等は、警察にいい印象を持ってないが、背に腹は代えられないと言うしな。」


 だろうなと、走達3人は思った。


 「時に桜島さん。」

 「何だ?」

 「ここには警察署ですし、警察官が大勢いたはずでは?」

 「そういやそうだ。見かけないが、どうなったんだ?」


 正一と走が質問する。すると桜島は、


 「今は1人もいねーよ。」

 「いない?」

 「そうだ。俺等がここに逃げ込んだ時、警官の連中は1人も、生き残ってなかったよ!」

 

 一瞬、場の空気が凍った気がした。


 「1人も…生き残ってない!!」

 「ああそうだ。俺等が逃げ込んだ時、ここのロビーはまさに地獄絵図のようだったよ。」


 更に桜島は語った。

 自分達か逃げ込んだ時ここのロビーは多くの警察官と蚊の死骸で、床が埋め尽くされていたという。男女問わず、警察官達の死体が沢山横たわり、その中に蚊の死骸がチラホラ見えるという有様だ。

 外も酷かったが、ここは特に酷く、床から天井まで血まみれだったという。

 多くの警察官が警棒を片手にしていた。ニューナンブを手にしている警官は少数だったらしい。

 それから察するに、警察官達は、最初は警棒で蚊に応戦していた。が、警棒では太刀打ち出来なくなって、やっと銃を手にしたが、とき既に遅し。殆どの警察官が殉職し、残りは逃げた。

 と、桜島達は推測した。


 「兎に角ひどい有様だった。一先ず、俺等が来た時には、蚊は居なくなってたので、ここに避難する事にしたんだ。死体はここの地下にある死体安置所に運んだよ。最も、電気通ってねーからな。近づくと匂いがヤバイからな、行かないほうがいいぜ…」

 「なんと…」


 走達は、言葉を失った。

 ここでもまた、多くの命が失われた事を知ったからだ。

 

 「しかしだ…」


 走が沈黙を破り、言葉を発した。


 「何で警官は最初から銃を使わなかったんだ?使えば戦況は変わってたかもしれないのに…」

 「それは日本の警察官だからだろうな…」

 「どういう意味だよ、よっちゃん⁉」

 「日本の警察官は、殆ど銃を撃たないらしい。」

 「そうなのか⁉でも、ドラマとかじゃ派手に銃撃戦をやらかしてるぜ!」

 「それはフィクションだ…日本の警察はな、銃を一回撃つだけでも、報告書とかを出さないといけないんだ。」

 「マジで⁉」

 「ああ、基本的に銃を撃つのはせいぜい射撃訓練の時位で、現実の警察官は銃を撃つ機会は全然なく、大抵の人が殆ど発砲することなく、定年迎えるらしいぞ。」

 「そうなのかよ…」

 「だからだろう。ここの警察官達銃を使わず警棒で対抗していたんだろうな。」

 「なんだか、イメージしてた警察と違うな…」

 「現実なんてそんなものだ。まあだからこそ、俺等の手元に、実弾が残ったんだけどな。」


 辰馬が2人の会話に入ってきた。

 そして懐からニューナンブを取り出し、机の上に置いた。


 「俺等は本物の銃器を手にしている。一回引き金を引くだけで、命を終わらせる事が簡単に出来ちまう。が、私利私欲に使うつもりは毛頭ない。これは自分達が生き残る為、誰かを守る為に使うつもりだ。」


 と辰馬は熱く力説した。


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