警察署2
「何やってんだい、アンタ達は!」
そう言うとその女性は走達のいる部屋に入ってきた。
その女性は20歳前後位、スカジャンを着ていて、茶髪に複数のピアスをしており、ヤンキー風の身なりをしている。ボーイッシュだが、中々の美人だ。
「姐さん!いや何コイツ等が…」
「その前に、銃を下ろしな!」
「でも…」
「でもじゃない!それを無闇矢鱈に人に向けるなってアイツも言ってただろ!アタイ等は無闇に人を傷付けるような、人間集まりじゃないんだよ!」
「すっ、スイヤセン姐さん!」
そう言うと彼等は銃火器の安全装置をかけ、それ等を懐などにしまい込んだ。
「たく…あんた等、悪かったね。ウチの連中が怖い思いさせちまって…」
そう言うと彼女は走達に軽く頭を下げ侘びた。
急な展開に走達も固まった様に少しの間、言葉を詰まらせた。
彼女は意外と礼儀正しいようだ。
「いえもう済んだことですし…」
「そうそう、こんな状況下だ。ピリピリしても仕方ないしな…」
「そうかい、すまないね…ところでアンタ達は何者だい?どうしてここに?」
正一が再びことの経緯を説明した。
それを聞き彼女は、
「なる程ね…武器目当てで来たのかい…」
「えぇ、そういう訳でして…」
「うーん…協力してやりたいけど、アタイの一存では決められないんだよ。待ってな、上と話してくる。」
そう言うと彼女は階段を登っていった。
が、途中の踊り場で足を止めた。
「あっそうだあんた等!」
彼女は男達に目をやり、
「アタイが戻るまでに、又何か、つまんない事すんじゃないよ!ソイツ等と大人しくしてんだよ、分かったか!」
「うっ…ウッス!姐さん!」
男達は背筋をピンとして答えた。
それを聞くと、彼女は再び上に行った。
どうやら彼女はかなり恐れられているようだ。さっきまでの威勢は何処へやら。彼女の姿が見えなくなると、途端にへたり込んだ。
そんな男達と走達は特に話すことも無く、無言で彼女の帰りを待った。
少しすると約束通り、彼女は戻って来た。
「またせたね。ちょいと来てくれるかい?ウチの大将がアンタ等と話したいそうだ。」
「大将?」
「彼女達のリーダーみたいだな。どうする走?」
「ここまで来たんだ。手ぶらじゃ帰れねーよ。行こうぜ!」
他の2人も同意し、彼女達と上へ上がった。
そこには、彼女達以外にも多数の若者がいた。銃を突き付けてきた男達みたいな連中もいれば、いたって真面目そうな高校生位の男女もいれば、幼い幼児も何人かいた。
彼等は走達を、少々警戒気味に見ている。走達は、その視線が少々痛く感じた。それを察したのか彼女は、
「悪いね、皆普段は気のいい奴等なんだけど…」
「気にしないで下さい、僕等は余所者ですから。えっと…お名前は?」
「あぁ、そういや自己紹介がまだだったね。アタイは鬼童町 嵐子だ。」
「鬼童町…スゴイ…いや、珍しい名前ですね。」
「ああ、よく言われるよ。周りからは「ラン」って呼ばれてるよ。アンタ等もそう呼んでくれて構わないよ⁉」
慣れているのか、彼女は特に気にする様子も無く、アッサリしていた。
どういう字で書くのか説明され、それを聞いた走は、内心「鬼の字が入っているし、ピッタリな名字だ!」と、思ったが、口にはしなかった。
そんな話をしながら署内を進んだ。普段目にすることのない警察署の内部。今は警察官は1人もいない。いるのは自分達とそう年の変わらない若者達のみ。そう分かってはいるが、走達は、どうしてもかしこまってしまっている。等と話していると到着したのか、ランは足を止めた。
「ほら、ここだよ!」
「ここ⁉」
ランが指差す部屋。そこの扉の上には、「取調室」のプレートご付いている。ドラマとかで見た事あるのと同じだと、走達は感じた。
それからランがドアを叩き、
「辰馬、アタイだ。例の3人を連れてきたよ。」
「ランか、いいぜ、入ってくれ!」
中から返事が帰ってきた。ランはその言葉を聞くとドアを開いた。
そして走達を中へと誘導した。
恐れ恐れ中に入ると、向こうも3人の男がいた。1人はパイプ椅子に座り、残りの2人はその後方に立っている。
走達と彼等の目があった。ほんの少しの間沈黙が続いたが、パイプ椅子に座った男が先に口を開いた。
「わざわざ来てくれてご苦労さん。立ち話も何だ、座ってくれ。」
と、男は言い、同じパイプ椅子に座るように勧めた。
これが、走達と辰馬の出会いだった。




