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ブラッディ・モスキート  作者: Mr.ゴエモン
大阪 難波
24/206

ドッキリ

 川上から流れて来た黒い色の物体に気づいたのは新堂姉妹だけではない。周りにいた多くの人がそれに気づいた。指差ししている人もいれば、スマホで写真撮影してる人もいる。しかし、その撮影も不可能となった。突如、スマホが鳴ったと思えばスマホの画面におかしなものが映し出された。渦巻きのような映像が勝手に映し出された、操作不可の状態になっている。


 「何よこれ?変な画像出てるし操作もできないじゃないの。ねー有希子のはどう?」

 「私のも同じよ登紀子…」


 姉妹のスマホも例外でなく、異変が起きている。暫くしその状態が続き、人々があたふたしていると、川の物体に異変が起きているのに1人の人が気づいた。黒い物体にヒビ割れたと思うと、中から生き物が這い出てきた。


 「何だよあれは?」


 誰かが叫んだと思ったら、その生き物は宙に舞い上がった。それは大きさを除けば紛れもない「蚊」だった。


 「登紀子、何なのあれ?」

 「何って、蚊でしょ?デッカイけど…」


 姉妹は他の人達と同様、呆然として黙り込んでいる。しかし、そんな中で、いち早く口を開けた者が1人…


 「えー何あれ、蚊?まじまじ!」

 「ちょっとカホ、ヤバそうだよ?近づかないほうが…」


 道頓堀川の川辺でテレビ撮影をしていたアイドルの1人が蚊に近寄った。それを他のメンバーの娘達が静止する。

 が、その娘は止めようとした娘を対し、


 「バカね。本物のわけないでしょう!?ドッキリよドッキリ。」

 「ドッキリ?」

 「そうよ!あんなデッカイ蚊が本物のわけ無いでしょう。環境特番ていうのは嘘で、実際はドッキリ番組の収録よ。」

 「でも、ドッキリにしては手が込み過ぎてるような…」

 「そうよ、あの蚊も作り物とは思えないし、畑里教授も本人よ。」


 他のメンバーが否定するも、その娘は止まらなかった。


 「あの人も仕掛け人よ。今日日(きょうび)、下手なタレントよりもテレビに出てる塾講師や弁護士とかもいるんだから。あの教授だって、ソコソコテレビに出てるじゃない⁉下手すりゃあたし等よりもね…」

 「でも…」

 「あんた達がやんないなら、あたしだけでも目立たせて貰うわよ。何時までも大して知名度の無い、ご当地アイドルのままでいられないから、ここで一気に名を上げてやるわ。」


 1人の少女が更に蚊に近づいた。

 本当にドッキリの類と思っているらしい。


 「(近くで見るとリアルね。マジで本物みたい…さて、どんなリアクションを取ればいいかしら?)」


 あれこれ思考を巡らしていると、蚊の1匹が彼女に近くに飛んできた。


 「リアルな羽音ね…てか、マジで本物みたい…」

 

 ブスッ!


 そう思った瞬間、蚊は彼女の胸元に針を突き刺した。


 「えっ…嘘…でしょ?!…あっ…あっ…」

 「か、カホ!!」


 たちまち彼女の青い色のユニホームの胸元は、血の色に染まっていき、真っ赤になっていった。そして、着ている本人はどんどん干からびていった。そして、そのまま力無くその場に崩れ落ちた。


 「えっ?」

 「⁉なっ…」

 「何これ…」


 その場に居た誰もが言葉を失った。だが、蚊はそんな人間達の心理状態などお構いなしに動き出した。

 蚊達は近くにいる人間を手当たり次第に襲い掛かり、吸血行為を行った。

 たちまち現場はパニックとなり、人々の悲鳴と蚊の羽音が大阪の町に響き渡った。


 多分、今年最後の更新になります。

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