前夜4
ちょくちょくと書き続け、100回目になりました!
署内のある部屋にて、
キュイーーン‼キュイーーン‼
と、少し厳つい感じの機械をいじって、機械音を立てている1人の男がいる。
「これでどうだ⁉」
機械に付いているツマミを片手で回し、側面の小さな画面に並ぶ数字をチビチビと動かしている。
同時にもう片方の手で、アンテナを微調整している。
ガーー‼ガーー‼
しかし、機械に繋がったヘッドホンからは、少々耳障りな音しか聞こえてこない。
「駄目か…」
男は諦めたのか、ヘッドホンを外し、機械の電源を切った。
「あれブライアンさん、何やってんすか?」
「‼あぁ、君たちか…」
そう、機械をいじっていたのは他でもない、FBI捜査官のブライアン・カーターである。
そんなブライアンに話しかけたのは、走と正一だ。
先程の一触即発しかけた一件のあと、就寝しょうとしたが、緊張しているのか2人共寝付けず、気晴らしにと署内を散歩しているのだ。
勿論、既に寝ているものもいるので、静かに足音を出来るだけ立てないように歩いている。
そんな最中、変な機械音が聞こえてきたので、その音の方へとやってきた。
そしたら、機械をいじって音を出している、ブライアンを見つけたのだという。
「こんな時間に何やっているんです?それにその機械は?」
「ああこれかい、コレは…」
ブライアンは立ち上がり、機械に軽く手を添えた。
「無線機だよ!」
「無線⁉」
「そう、無線機!」
ブライアンがいじっていたのは、無線機だ。
かのサバゲーマニアの鹿川が、趣味の一環で無線の類にも、それなりに詳しくなった。で、現在の大阪では、携帯電話の類は使えないなので、トランシーバーと共に彼が何処かから調達してきた。
それが今、ブライアンがいじっていた物だ。
「そういうわけだ。あっ、ちゃんと彼等から了承は得ている。まあ最も、元々彼等の物ではないみたいだけどな…」
ブライアンが手短に説明した。
「無線は分かりますけど、いったい何処に?」
正一が聞いた。
対してブライアンは、
「特に宛はないよ!兎に角、何処かと連絡が取れないかと思ってね!」
「随分とアバウトにやってたんですね!」
「まぁ、何とかFBI本部のあるアメリカに連絡できたらいいんだけど、流石に無理だから、他県の警察にでも繋がれば、そこからアメリカに伝言してもらえるよう、頼めるたら!と、思ったんだが…」
結果は、彼の顔を見れば聞かずともわかった。
「はぁ~!…」
ため息を漏らすブライアン。
「ブライアンさん、余り気を落とさずに…」
「あぁ、ため息すると幸せが逃げるって言うしな…」
「そうですよブライアンさん!!」
「「禍福己による」とも言うからな!」
「なんすかそれ?」
「幸せは運次第でなく、自身の心がけしだいだという意味のことわざだ、知らないのか?」
「いやいや、初耳っすよ!よく知ってるな…」
「本当、ブライアンさん、アメリカの人なのに詳しいですね⁉」
「ああ、元々日本は好きだからな!日本食もヘルシーで美味い。まぁ、納豆や生魚、梅干は苦手だが…」
「でしょうね…特に納豆は日本人でも好き嫌いが分かれますし!」
「でも、祖国のフィアンセは好きなんだよこれが…」
「へー、好きなんですか、ブライアンさんのフィアンセの人…って、えっ!」
「「フィアンセ!!」」
走と正一は揃えて叫んだ!。
「ああ、刺し身や梅干なんかも気に入っててな、日本食のレストランで働いていた。」
「いやそうじゃなくて、ブライアンさん、彼女いたんですか?」
「えっ、ああ将来を約束しているぞ!」
「そこまで進んでんすか…」
「まぁな!」
ブライアンは少し自慢げに言った。
「でもその割に、新堂さんにちょっかいしてましたよね!」
「うぐ!」
ブライアンは、痛いところを疲れたと言った顔をした。
「いやあれはだ、彼女を元気づけてあげようと思っただけで、本命は祖国のフィアンセだ!」
「どうだか!」
「本当だって!無線を試したのも実のところ、彼女な無事を伝えたいからだ!」
「ふーん、まぁ、そういうことにしときましょう!」
「信じてないだろそれ…」
「まぁ兎も角、ブライアンさんにも生きる目標があるということですね⁉」
と、正一が尋ねる。
「そうだ!FBI捜査官としても、1人の人間としても、生きてアメリカに帰らなくてはならないんだ!」
「なら明日の作戦は、是が非でも成功捺せなくちゃならないっすね!」
「ああ!」
「FBIの人なら、腕の方も立つんでしょ⁉」
「まあな、これでも腕には自信あるぞ!その為に、日々ジムで鍛えてるからな!」
と、ブライアンは腕まくりをした。服で隠れていたが、かなり鍛えられた体をしている。
「頼りにしてますよ!」
「おう!」
こうして、それぞれが思い思いに夜を過ごした。
そして、
運命の日の朝を迎えるのだった。