⑧話『見合った人は……』
「お前のような奴に咲菜は渡せない!」
いきなり現れた男がそう怒りながら言った。
「何、咲菜ちゃん、知り合い?」
「えっと、親が連れてきた私のお見合い相手です……」
それを聞いて優は笑いながら
「どうだ良いだろう! 俺にこんな可愛い彼女が出来たんだぞ!」
と調子に乗り始めた。
「この糞野郎が! こいつは俺が貰うんだ!」
「何故に? 断られたのにな何故に?」
とへらへらとしながら男に指を指して言った。
「あの! 迷惑ですのでもう付け回すのやめてもらえませんか!」
「え、何ストーカー? やだ超怖い~咲菜大丈夫? 辛くない?」
「正直つらいです」
と真剣な表情で咲菜は言った。
「ということですのでもう付け回すのやめてくれませんか? 警察呼びますよ?」
「ふん! 警察何て読んだって意味ないぞ! 逆にお前を逮捕させてやる!」
「それって金の権力かい? ならそういう時こそ咲菜! 君のポケットマネーを期待する!」
「てめえ! やっぱり金目当てか!」
それを聞いて優は
「え、だってお前が金の権力に頼るからそれで相殺するしかないだろ……それに俺だってこいつの金に頼りたくないよ、でも俺には金がお前より上回ってはないだろうし、不可抗力だろ?」
「そうです! あなたがそんなことするから私のお金に頼る羽目になるんですうよ! だってさっきのデートも割り勘でしたし! 私のお金に頼ることになったのはあなたのせいです! せっかくいいデートだったのに! 何で台無しにするんですか!」
と咲菜は怒った。
それを見て優は
「ほらー! 咲菜ちゃんさっきまで楽しそうだったのにお前のせいで不機嫌になっちゃった、どうするの? お前のせいだよ?」
と優は男をめちゃめちゃ煽った。
「てめえ! この私が山澤 華貴様と知っての無礼か!」
「……誰?」
「えっと、大会社の社長の息子です……」
「成程、分からん!」
スッキリした顔で優は笑った。
「まあ、うちよりは小さい会社ですね」
「へえ、ならいいや!」
と咲菜に抱き着いた。
「きゃ、人が見てる!」
「見せつけてるんだよ!」
「てめえええええええええええええ!! イチャイチャしやがって! 嫌がらせか!」
そこに尾貞がいた。
「何で君いるの?」
「同じところに住んでるんだもの、どこかで会うさ……」
と正論を言われてしまった。
「で、その高貴そうな良くわからない存在は誰ですか?」
「誰だっけ?」
「えっと、もう誰でもいいんじゃないですか?」
と完全に華貴はバカにされまくった。
「お前ら! 覚悟はできてるんだろうな!!」
「え、なんか怖いんだけど……俺会社首になるとかないよね?」
「よし、これを期にニートになるか2人とも!」
「いいね!!」
「大丈夫です、私が稼ぎます!」
「俺専業主夫になる!」
と屑たちには効果がないようだ。
「くそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そう言って華貴は優に指を指して
「お前! 自分が咲菜に見合った男だと本気で思ってるのか! 分をわきまえろ!!」
「そうだ! 近童! わきまえろ!」
「おい! お前ら! そんなこと言ったらすべての女と俺みたいなのは釣り合わない自信があるぞ! そんなことしていたら俺は結婚できないじゃないか! なので、咲菜ちゃんが愛してくれているので俺はそれに従います! 自分の愛に従います!」
と言い切った。
「まあ、そうだな、お前が他の女と見合うかっていうと……いないだろうな……俺らみたいなのは奇跡でも起きない限り恋愛が出来ないし、ならチャンスがある時に強欲にとらないと童貞一直線だしな……糞! それから女の子降ってこないかな!」
「大丈夫だって、俺みたいなゴミで屑でウンコで社会の廃棄物みたいなやつにも彼女が出来たんだ、同党のお前にもできるって!」
「ありがとう! 後でお前の大切なフィギアを壊しに行くよ!」
「てめえ! それはやめろ!」
そんなやり取りをしているうちに
「さあ! 来い!」
「やめて! 離して!」
2人は咲菜の方を見ると
咲菜は華貴に連れて行かれそうになっていた。
「「人を無視して何やってんだ!」」
と2人は無視されたことと、
いつの間にか咲菜を連れて行こうとしているのを見てブチギレた。
「てめえ! 俺の可愛い彼女に何やってんだ!」
優は険しい表情で言った。
「お前が連れて行ってしまったら俺の目の保養がなくなるだろうが!」
尾貞も険しい表情で言った。
「だったら決闘だ! どっちが咲菜にふさわしいか勝負だ!」
「犯罪行為だからいやだ……行こうぜ咲菜!」
「はい!」
「なあ、俺に何か奢ってくれない? お前らを見てしまって心の傷が半端ないから慰謝料として」
「しかたねえな、まあいいか一緒に止めてくれたし、動機が正直微妙だったけど……」
「そうですね、何が食べたいですか?」
「え、酒」
「俺酒飲めないから飯だけ食べよう」
「私初めて何でどんなのがお勧めか教えてください! 優君!」
「おう!」
そう言って3人は食べ物屋に行こうとした。
「待て! お前ら! 俺に逆らうとどうなるか! 思い知らせてやる!」
3人にはその声が届かなかった。
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「社長、なんか山澤グループから電話です」
「何で? うちそこと何の関係もないし契約しても意味ないと思うが?」
「さあ?」
そう言って社長は秘書から電話を取ると
「はいもしもし?」
「おい! お前の会社にお金を払うから近童 優と言う男を即刻解雇しろ!」
「労基が怖いので無理です」
ブチ!
社長は電話を切った。
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そして咲菜と優と尾貞は先にレンタカーを返して近くの居酒屋さんに来ていた。
「さてと、何頼む?」
優はメニュー表を2人にも見えるように広げた。
「えーと、どんなお酒が良いですか?」
「まあ、初めてだしいきなりきつい酒はダメだろ、弱いのから慣れて行って強いのを飲むのはいいけど」
「じゃあ、あれだ普通にビールとか良いんじゃね?」
と言ってまずは定番のビールを頼むことにした。
「お待たせしました、ビール2つとコーラです」
「お前はぶれねえな」
「そりゃ彼女がいる前でカッコつけるとかいうけど酒を飲むのがかっこいいと思わねえよ」
と言ってコーラを貰った。
「では、乾杯するか」
「「「カンパーイ!!」」」
そして3人は飲んだ。
「俺だけコーラってウケル」
「ビールって結構美味しい!」
「お、咲菜ちゃんいける口かね?」
すると
「にゃーん!」
「「!!」」
そのまま咲菜は寝っころがった。
「どうした咲菜! そんな可愛い声出して!」
「にゃにゃーん! しゃきにゃ、ゆうくんしゅき!」
と言ってそのまま優の膝へと転がった。
「「何この可愛い存在!」」
そう言って2人は悶えた。
「何だ何だ! お前の彼女! 可愛い存在過ぎるだろ! 何でそんな! え!! え!!」
動揺を隠せない尾貞は咲菜の頭を撫でようとした。
すると、
「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
尾貞は、咲菜に威嚇された。
「お前が撫でてみろ」
「いいぜ」
そして優は咲菜を撫でた。
「ゴロニャーン、ゴロニャーン」
と甘えた声で優に甘えた。
「何でネコ! 好きなのか! 好きなのか!」
「もうそんなのどうでもいいだろ! こんなに可愛いんだから!」
「ニャニャーン! むにゃむにゃ」
甘え声で咲菜は顔を上げて
ガシ
優の頭を掴んだ。
「「??」」
すると
「ペロ」
「ホワン!」
「!!」
咲菜は優のホッペを舐め始めた。
そしてそのまま
「チュウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
「エロい!」
「止めてくれませんか、ここは健全な居酒屋なんですが?」
と尾貞は注意をした。
「嫌だ! 止めて欲しくない!」
「嫌! 止めて!」
2人はそんなことで揉めた。
「ふにゃーん、えへへへへ、あ・ま・え・さ・せ・て♡」
「グハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
その言葉に尾貞は倒れた。
「ふん、こんな可愛い彼女を絶対に手放さない! ふあはははははは!」
と笑いながら優は愉悦に浸った。
「くくううう、お前、俺を嫉妬で殺す気か?」
「いや、俺に言わないでくれる?」
そして尾貞は耐え切れなくなったのか。
「すまん、帰っていい? もう我慢ならん……」
「おう、いいぜ」
「お会計別々な」
「おう」
そう言ってそのまま尾貞は帰って行った。
「あれ、私何で優君に膝枕してもらってるの?」
「あれ? 冷めた? あいつどんだけ間が悪いんだ……」
すると
「ゴっごめん! 私! 優君の膝に!」
「ふ、ならもっとしてあげるぜ! もはや俺にとってご褒美だ! 俺の夢は彼女を膝枕だ!」
「自分がすることが! 彼女にされるのではなくて!」
「ふん、それはラノベや漫画でよくあるからか? 確かに気持ちいだろうけど、自分の膝に好きな彼女が綺麗な髪が当たってそれを撫でる! そして密かに気持ちよさそうにする顔を見て悶えること! してもらうのもいいがそれは相手の顔を見ることが出来ない! だから手の感触と膝の感触を頭で感じるしかないのだ! だが自分が彼女にすれば腕も揉めるし、ちゃんと目で確かめながら彼女を触ることが出来るんだ! しかも彼女も自分から見ようと必死に名あるところがかわいいんだ!」
と居酒屋で暑く語った。
それを見て他のお客さんが冷めた目で見ていた。
「すみません、他の客さんのご迷惑になるので大声は出さないでください……」
「はい」
そう言って彼女を膝枕をすることを優は堪能した。
「わっ私も! そう言われると私も膝枕したい!」
「ダメだ! まずは俺がするんだ!」
「でももう堪能しましたよね!」
「嫌だ! まだするの!」
「てめえら他の客の迷惑って言ってんだろ!」
店員はそう言いながら酒瓶を投げた。
「ふ」
優は笑いながら避けようとしたが
ドス
「いた!!」
肩に掠った。
「危ねえだろうが!」
「うるせえからだろうが!」
店員は睨みながら言った。
「仕方ねえ、じゃあ次は咲菜の番で……まだ名残惜しいけど」
「やった!」
そう言って2人は膝枕を交代した。
「あ、でもこれも気持ちい」
「本当だ、横顔が可愛い、それにいろんなところが触れる! 自分で彼氏を見ながらいろんなところ触れる!」
「何かいろんなところ触られてる」
見えないものの、恥ずかしさと見えないことによるもどかしさが優の心を騒がせた。
「はあ、でも気持ちいから眠れそう」
「このまま眠ってもいいですよ」
「だめだ、帰れんだろ?」
「送りますよ、おんぶで」
「それも俺がしたい!」
「え!」
「だって君の腕が俺の首にかかるんだぞ! これ以上に素晴らしいことはないだろ!」
「それではお姫様抱っこの方が見えるしいいのでは?」
すると優は笑いながら
「非力だからおんぶでお願いします、あと君のその大きなお胸を背中で感じたい」
「!! もう! エッチ!」
顔を赤くしながら咲菜は照れた。
すると咲菜はあることに気づいた。
「あれ? 何で優君のホッペべとべとなの?」
「ああ、記憶が残らないタイプだったな、君がペロペロ舐めてんだよ」
「え?」
「だから、酔った時に俺のホッペを猫の鳴き声で舐めはじめたんだ」
「な!!」
自分のやった事を知ってさらに顔を赤くした。
「な! えっと! でもなんでねこ!」
「さあ?」
そして咲菜は
「えっと、にゃん?」
「デュフ、何この存在、可愛い……」
「!!」
更に咲菜は顔を真っ赤にした。
「ゴっご飯食べよう!」
「いいね!」
そう言ってやっと料理を注文した。
「えっと、私は枝豆で」
「俺は焼肉飯で」
「よろこんで」
明らかに喜んでいなかった店員さんは注文を取って厨房に入った。
「そういえば、尾貞さんは?」
「帰ったよ、なんか俺の彼女がネコ科して俺にしか懐かないから嫉妬が許容をオーバーしてしまったらしい」
「また会った時に謝りますね……」
「そう? その時は付き合うよ」
そう言って優は咲菜の頭を撫でた。
照れながら咲菜は嬉しそうにした。
「……」
「? どうしました?」
咲菜は見つめる優に照れながら見つめ返していた。
すると
「ペロ」
「ひゃん!」
優は咲菜の頬を舐めた。
「え! え!」
「さっきのお返し」
「うううう!!」
真っ赤になりながら咲菜は出て来た枝豆を食べた。
「肉ごはんうめえ」
優は焼肉ご飯を食べた。
「美味しそうですね」
「食べる?」
「え! 良いんですか?」
「はい! あーん!」
そう言って優は自分がさっき食べていた割り箸で咲菜に肉と一緒にご飯と突き出した。
「!! え! え! それって間接!」
「ぺろった後で何言ってんだよ……まあ俺もかなり照れてるからいいじゃねえか」
「でも!」
「お願い早くして、俺も気恥ずかしい」
「はっはい!」
そう言って咲菜は一気にご飯を食べた。
勢いのせいで頬に割りばしが突き当たった。
「いっ!」
「大丈夫かよ……」
「ハッハイ!」
優は
(俺が緊張するものかと思ったが咲菜の方が緊張してるな)
そう思いながら優は微笑んでいた。
「はっはりがほうごはいまふ」
「食べながら喋らないの」
「ゴクン、すみません」
「いえいえ」
そう言って優は微笑ましそうに咲菜を見ていた。
「これが幸せっていう奴か、彼女いない時の方が幸せなのではないかと彼女いない時は思ってたが、こういうのってできて初めて分かるものなんだな」
「もう! 私は4歳の時からあの約束を忘れていなかったのに!」
「ごめんごめん、だってあれから一度も会ってなかったから俺のこと忘れてると思ってさ!」
「そんな! 忘れませんよ!」
「ま、俺も忘れてたわけじゃないけどな、諦めてただけって言うか、まさか本当に来てくれるとはあの時は嬉しかったよ」
咲菜は微笑みながら
「それは私のセリフですよ、私の約束のために彼女を作らないでくれてありがとうございます」
「おっおう」
(それは出来なかっただけとは言えない……)
と顔を逸らしながら言った。
それを見て咲菜は
「え? 何で目を逸らすんですか? まさか? いたんですか?」
「え」
優は笑顔から真顔に変わった咲菜に
(何! 怖い! でもゾクゾクする!)
と思った。
「だっ大丈夫だよ! てか彼女が出来なかっただけだから! それで逸らしたんだよ!」
とさすがに正直に話した。
「そうなんだ! ならよかった! 皆見る目ないね!」
「だよな!! まあそのおかげでお前という素敵な初彼女と付き合えたんだけどね!」
「! もう!」
咲菜はそう言って枝豆を全て食べた。
「俺にも残しておくれよ」
「あ」
こうして一通りご飯を食べてそして
「今日のデートすごく楽しかったです!」
「俺も楽しかったぜ!」
そう言って2人は別々に帰った。
そして2人は
((好感度上がったかな?))
と考えた。




