番外話『おまけ㈡』
「お前、本当に大丈夫か?」
「え、大丈夫だよ、ただ問題なのはスマホを買う金がないってことでお前の連絡先と学校に連絡できないのと、バイトに連絡できないのが大変かな?」
と山澤はにこやかに笑いながら言った。
「いや、えっと、その……野暮なことは聞かない方が良いか?」
「え、何のこと? 僕分からない」
山澤は笑いながら言った。
「すっすまん、そうだよな、察した方が良いよな……」
「え、何のこと? 僕分からない」
「……」
長寺は少し真っ青になった。
あれから事情を聴いて長寺は長い付き合いなのでそんなことはしないと最初っから信じてはいた。
そして、親友として山澤の精神状態を気にしていた。
しかし、思ったよりダメージが酷いような気がした。
「あ、もしかして俺がセクハラしたってこと聞いてる? 大丈夫大丈夫! 多分」
と山澤は言った。
「ああ、そうか……まあ大丈夫ならいいんだが」
すると
「ねえ、圭、何でこんな男と話してんの?」
と女が話しかけてきた。
「彩夏、いやこいつ別にセクハラとかやってないぞ、絶対に」
「誰? 彩夏? 知り合い?」
突然話しかけられた為、山澤は長寺に聞いた。
「俺の彼女だ」
「ああ、そう、いつも長寺がお世話になってます」
「痴漢の言葉なんて聞きたくありません」
と睨みながら言った。
「おい、いい加減にしろよ! そんなこと言わなくたっていいだろ!」
「何よ! こんな奴の肩を持つの!」
と彩夏は長寺に言った。
「だいたい、こいつがやったなら被害者がすぐに警察に言うだろ! もう1週間経ってるのにそれがないんだぜ!」
「でも気づいていないとか? 目の見えない人なんでしょ!」
「こんなに話題になってるし、しかもこいつの住所も一緒に載せられたんだぜ! ここまでされたら家族か友人が連絡を入れて警察に出すだろ! それがないってことはその被害者にされている女性は事情を知ってるってことだ! それなら納得いくか!」
そう言われて彩夏は
「……ごめん、勝手に決めつけすぎた、皆言ってるからそうだと思って……」
すると山澤は
「まあ仕方ないだろう? だって、多数が言っているとどうしても信憑性が高まるんだから、そうだと思っても特に俺は傷つかん、ただ少し心がズキってするだけだ」
「傷ついてんじゃねえか」
と言って長寺はツッコんだ。
「えっと、改めて長三原 彩夏です、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
そう言って軽く山澤はお辞儀した。
「……意外と礼儀正しい人だね」
「まあ、そこは昔から厳しかったみたいだからな」
「そうなんだ」
そして、彩夏は
「でも、それが本当だとこの画像は誰がネットに貼ったの? これって名誉棄損じゃん」
「俺もそれは思った」
「でも俺には弁護士代がないから訴えるに訴えられない、それに勝訴しても弁護士料金を払うと思うと損しかないし、イメージは剥がれないし、画像は完全には削除出来ないし、……あれ? 俺人生詰んでない? 長寺、窓開けてくれ」
「やめろ、それにここは2Fだから死ねないぞ、てか死なせないぞ」
すると山澤は
「なんだ、長寺俺に生き地獄を味わえと言うのか、いいだろう、俺が生まれてきた罪を償うとするか!」
「いや! そうじゃないから! 大丈夫だって! 俺が仕事紹介するから! 色々と協力するから!」
と言って長寺は励ました。
「えっと、さっきはあんなこと言ったけど私も出来る限り協力するよ……」
と彩夏も励ました。
「おう、ありがとう、さっそく彼女ってどうやってできるの? 俺! 専業主夫になる!」
「……まあ、最善の手ではあるんだけど……」
「……今の状態で女の人が来るかどうか?」
「……窓……」
「「ダメだ!」」
2人は山澤を止めた。
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先週の事
『ちょっと、優子! 大丈夫!』
「? お母さん? どうしたの?」
篠沢は電話がかかって来たので手さぐりで電話を取ると、
お母さんが慌てたような声がした。
すると
「アンタがネットでセクハラされたって話題になってるわよ!」
「? されてないけど?」
「は! でもネットで画像が貼りだされてるわよ! 確かにあんたよこれ! お尻触られてるじゃない! 無理してるんじゃない!」
「?? え、本当にどういうこと! ちょっと待ってまた電話するから!」
「え! ちょっと……」
それを聞いて篠沢は電話を切った。
「どういうこと? 私がセクハラ? 何の事?」
そして、再び電話がかかってきた。
「シノ! あんた大変だったね! セクハラされてんだって!」
友人からの石川からである
「あ、それでちょっと確かめたいことがあるからちょっと今から会える!」
「え、別にいいけど、分かったあんたの家に行くね!」
そう言って石川は電話を切った。
そして1時間後
「それで私がセクハラされたって噂になってるけど、私された憶えないんだけど?」
「え、どういうこと? でもあんたこの画像見る限り嫌がってるように見えるけど? 無理してない?」
「いえ、全然」
「……マジで? じゃあこの画像何?」
「さあ?」
そう言って石川は画像の貼られたネットを見た。
「あ、個人情報が晒されてる、それが本当ならこの人可哀そうすぎなんだけど……」
「取り敢えず警察に言った方が良いのかな? ネットのこの画像消してくださいって」
「うーんどうだろうか? 画像って完全には消せないみたいだし、どっかで貼りだされたらそれが出回って手が付けられなって聞くよ」
「じゃあマスコミに言って無実ってことを流すのは?」
「マスコミか~信用できるのかな? むしろ酷い事になりそうだからやめてほうがいいんじゃない?」
「うーん」
すると石川は
「本当に覚えないの? 偽造写真には見えないけど……」
と言ったので篠沢は
「えっと、個人情報も晒されてるんだっけ? その人の名前教えてくれない?」
「えっと、山澤 恥って書いてあるよ、あと住所も言う?」
「……聞いたことがあるような」
と篠沢は思い出そうとした。
すると
「あ、思い出した、え、あれを! いやいやいや! 違う違う!」
「え、何? どうしたの?」
と言って石川は慌てている篠沢に聞いた。
「あれは虫を払ってもらってただけ! それだけ! 結構大きくて私も自分で気づけたぐらいだったし!」
「え、それマジで、お尻は触ったのもそれのせい?」
「最初は背中だったんだけどお尻の方に移動してきて気持ち悪かった~」
「……それでお尻を?」
「うん、さすがに相手の方も躊躇ってたけど私がお願いした……怯えてるのはセクハラではなくて虫だよ、これ」
「……」
「……どうしようっか?」
それを聞いて石川は
「取り敢えず、親に事情説明したら? 心配してるだろし……」
「……まあ、まずはそれだね」
そう言って篠沢は事の顛末を親に説明した。
『良かったわ~あなたが酷い目に逢ったんじゃないのね? それならいいの! でも、この晒された人大丈夫かしら? こんなことされたら大変なことになるんじゃ?』
「一応は連絡先を貰っているから取り敢えず電話してみる」
『そうね、連絡がついたら言って! 私も出来る限りのことはするから!』
そして篠沢は
「取り敢えず電話してみる」
「そうね、その方が相手の方の様子も分かるし……」
そう言って電話すると
『ただいま電話に出ることが出来ません』
とコールが鳴った。
「……繋がらない」
「携帯番号らしきものも貼られてるしね、……結構ヤバくね?」
「取り敢えず、貼られている住所のところ行ってみましょう!」
「!! そうね!」
そう言って2人は山澤の住んでいるところまで石川の車で行った。
「出て来い!! この変態があああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「恥を知れえええええええええエエエエエエエエエエエエエエ!!」
と滅茶苦茶人が溜まっていた。
「入れねえ、どうしようかシノちゃん」
「……どうしよう……」
そう言って2人は入れる場所を探した。
だが入口は人が塞いでいるため入れない。
すると石川は
「いっそここでその人が無罪って言ってみたら? どうにかなるんじゃない?」
「そうかな? やってみるね!」
そう言って2人は溜まっているところに言って
「あの!! 皆さん!! 聞いてください!!」
と篠沢は言ったが
「出て来いいいいいいいいいいいいいいい!! 恥さらしいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」
と罵詈雑言が消えてしまう。
「一人一人に呼びかけるか」
「そうね……」
と言って呼びかけようとしたが
「うるせえ!!」
「邪魔!!」
と言って誰も取り合ってくれなかった。
「これはもうダメだ、興奮状態で人の話を聞こうともしないみたいだ……」
「……私のせいで……どうしよう……」
と不安そうに篠沢は言っていた。
それを見て石川は
「シノのせいじゃないよ! 明らかに事情も知らないのに勝手にはったやつが悪い! 取り敢えず! 今日のところは帰ろう! 夜になるともう人がいないかもしれないし!」
「……うん、分かった」
そう言って2人は一旦帰った。
そして、夜になって2人はまた山澤のマンションに来ていた。
「取り敢えず、部屋まで着いたね」
「そうね……」
そう言って篠沢はチャイムを押した。
ピンポーン!
そしてしばらく待ってもドアが開く様子はない
「……留守? でもあんな状況で出かける?」
「怖いのかな?」
すると1人のおばちゃんが来た。
「その人はあの暴動が来る前にどこかにコソコソと出かけたわよ」
と言った。
「あの! あれは誤解で!」
「うん、さすがにあの子の性格上やらないのはなんとなくわかる、ネットの情報私あまり信じないから」
と言った。
「それで、どこに行ったかまでは!」
「分からないねさすがに……あんたあの画像の人かい? 多分大丈夫だと思うよ、多分だけど……」
とおばちゃんも不安そうに言った。
そして2人はおばちゃんに事情を説明をした。
「そうだったのね、はあ、本当に大丈夫かしらあのか?」
「はい……すみません、私のせいでご迷惑をかけて……」
「いいわよ、その子の隣に住む糞ニートのおかげでうるさいのには慣れてるから……全く、あの夜行性が、深夜になるとバンバンバンバンゲームしくさりやがって……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「「!!」」
おばちゃんは持っていた鍵を床に叩きつけた。
それを見た2人は
「「何だろうか、ここはいろいろと問題があるような……」」
と戸惑っていた。
「ごめんなさい、取り乱したわ、私もあの子と会ったら連絡入れるから」
「え、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
2人はおばちゃんにお礼を言った。
「今日はもう帰った方が良いわ、また連絡した時に来るといいよ」
「「ありがとうございます」」
そして2人は一旦家に帰った。
篠沢は
「お母さん、あの後電話したんだけど繋がらなくてそれでその人の住んでるところまで行ってみたんだけど部屋にいないみたいで……私どうしよう……」
と篠沢は不安そうにお母さんに連絡した。
『今はその住んでいる方の連絡を待ちましょう、きっと大丈夫よ! きっとその人そこから避難しただけだと思うわ! きっとそうよ!』
「そう……かな?」
『信じましょう! 今は信じるの!』
「ありがとう、お母さん……」
篠沢はお母さんの電話を着たが不安を拭いきれないままであった。
「そうだ! 私に出来ることは一応やっておこう!」
そして篠沢は石川に電話をしてネットの晒しを削除依頼と特定依頼を掛けることを約束した。
(お願いです、神様、どうかあの人をお助けください)
そう祈るばかりであった。
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そして一週間後
「そういや、お前今はどこにいるの? お前のアパート行ったらお前いなかったけど、どこにいたの?」
「公園でひっそり暮らしてたが?」
「……そういう時は俺の家に来い、さすがに匿ってやる」
「そうだね、私も事情知ったからには追い出すってことはしないかな……」
と言っていた。
「ああ、まあ、その、よろしくお願いします」
と苦笑いで言った。
そして、
「まあ、今日はボランティアで確か点字を作るんだっけ?」
「ああ、そうだな、社会福祉の単位で必要だからな」
「あんたたち、単位の為でなく人の役に立とうという思いはないわけ?」
すると死んだ目で山澤は
「ははは、俺のどこに他人を気にする余裕があるんだ?」
「……ごめん」
「ああ、まあ、お互い頑張ろうぜ、てかお前大学退学になってないのが結構驚きなんだが?」
「別に警察に捕まったわけじゃないしネットで批判されてるだけだから? もしかしたら俺が気づいてないだけで実は退学になってるとか? スマホないし……ははは、やべえ、なんか怖くなってきた……」
山澤はどんどんと絶望を露わにしていた。
地雷を踏んだと思った長寺は
「だっ大丈夫さ! 捕まってないのなら退学とか勝手に出来ないだろ!」
「でも俺、家に帰ってないから俺に伝わってないかもしれないだけかもな、親には伝わってそう……」
「おう、あの家族か……何とか逃げろよ」
「ああ! きっと天国なら見つからないさ!」
「本末転倒じゃねえか! 死ぬくらいならあの家族に捕まった方が良いだろ!」
それを聞いて彩夏は
「なんか、複雑な家庭っぽいみたいだから聞かないでおくね……」
と気を遣われた。
「まあ、取り敢えず今は忘れるは、ありがとうな……これでボランティアの作業に支障をきたす方が失礼な気がするし……」
と言って真面目に受けようとした。
すると、
「あれ、あのセクハラの男じゃない……」
「何でここにいるんだ、自分が何やったのか分かってないのか?」
「本当に無神経、何考えてんだか……」
とヒソヒソと聞こえてきた。
「……」
「……」
「ははは、有名人!」
笑わないまま山澤は言った。
そして、
「お待たせしました、本日ボランティアで点字を皆様には作っていただきます、私はここの施設の職員で石川と申します、作り方が分からないと思いますがやり方を教えますのと、この辞書に書かれている通りに打ってもらいます、今回は私の友達にも来てもらってますので分からないことがあれば遠慮なく聞いてください、」
と言って石川はその友達をその場に呼んだ。
「……」
「? 何か見たことあるような気がするんだが?」
「うん、私も……」
そこには篠沢がいた。
「……」
山澤は黙ったままであった。
「おい、あの人って……」
と言って長寺はスマホを見た。
すると石川はそれに気づいて
「そこ! スマホ見ないでください! ヤル気あるんですか!」
と注意を受けた。
「あ、やっぱり! この人だ!」
とつい長寺は声を出した。
「あ、前画像で載ってた人?」
「本当だ、マジかよ……」
と皆がざわついた。
「ああ! なんでこうなるかな! そこの君! 来なさい!」
と石川が怒りながら言った。
「おい! お前も来い! 誤解を解くチャンスだろ!」
「いや! 迷惑だろ!」
「何が迷惑だ! 俺がすでに掛けてるよ!」
と言って長寺は山澤を無理やり引っ張ってきた。
「どうしてスマホを見た、……って、その子は?」
「あの? 知ってるかもしれませんがこの人とこれ良く見てください!」
と言って長寺はスマホを石川に見せた。
「……あ!! ああ! そういうことか……」
と石川が思い出したように言った。
「!! え、どうしたの! 何かあった?」
すると石川が
「えっと、シノが言ってた子なんだけど、見つけたよ、このボランティアに来てた」
「!! それ本当! 良かった! 探してたの! どこにいるの!」
と嬉しそうに篠沢は石川に聞いた。
「えっと、ここです、そのご迷惑かけて申し訳ありませんでした……」
と言って山澤は申し訳なさそうに言った。
「……そこにいるんですね」
と優しく篠沢は山澤の方に向いた。
「こちらこそごめんなさい、私のせいで大変なことになってしまったみたいで……」
と篠沢も申し訳なさそうに言った。
それを見て石川は
「えっと、家にいなかったみたいだけどどこにいたの?」
と聞いた。
「こいつ、なんか公園で寝泊まりしてたみたいらしい……」
と長寺は言った。
それを聞いて石川は疑問に思ったのか
「それにしては綺麗じゃない? 本当に公園にいたの?」
と聞いた。
それを聞いて気にも留めていなかった長寺も聞いた。
「そういえばそうだな、それにしてはやけに綺麗だ、ふつう一週間いたら臭うはずだけど……本当はお前何処にいたんだ?」
「え、公園だよ、今日はボランティアだからなけなしのお金使って銭湯に入って綺麗にしただけ……明日からご飯どうしようか迷ってるところだけどな……」
と山澤は暴露した。
「……マジ大変だな、お前……お金ならやるよ」
と言って一万円を渡した。
「え、いいよ、大丈夫、サバイバルすれば何とかなるはず……多分」
「出来もしないことを言うな! そこがお前の悪いところだぞ!」
「そうよ、本当に困ってるなら助けを借りすのも必要なことだから……そこは遠慮しないでね……って本題からずれた! 取り敢えず時間が押してるのでこのボランティアが終わってから話しましょう! 2人とも、今は戻っていて」
「「はい」」
そう言って2人は元いた場所に戻った。
思わぬ出来事に時間を使ってしまったのでボランティアを始めることにした。
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ボランティアが終わり
そして5人で今後の山澤の事について話した。
「で、どうしようか? さすがにこいつの家には戻るのは危険だろうな……」
「そうね、未だにアパートに溜まってる人がいるみたいだし」
「皆暇なんだろうか? 絶対にあれ正義とかじゃなくてただただ批判したいだけにしか見えん……」
と3人が話した。
「犯人が特定できたらいいんだけどねえ」
と彩夏も一緒に考えてくれた。
「なんかすみません、僕のせいでこんなことに付き合わせてしまって……」
「何言ってんだよ、友達なんだから心配するに決まってんだろ? 昔からの知り合いが酷い目に逢ってるなら助けたいんだよ! 俺は!」
と言って山澤の頭をポンと叩いた。
「なにそれ、かっこいい」
と山澤は言った。
「せめて言うなら感情を込めろ……」
と長寺はツッコんだ・
そして、長寺は
「取り敢えず、こいつは俺の家に泊めようと思います」
「私も同居はしてますので安心してください」
「え、その、いいの? さすがにそれはこの子が気まずいんじゃない? 私の知り合いもルームメイトが恋人を連れてきたときすごくそこに居づらくて外に出てたこともあるみたいよ」
と石川は言った。
「え、じゃあどうすればいいの?」
と篠沢は石川に聞いた。
「実家に帰ればいいんじゃないの?」
「まあ、電車賃さえあれば何とかなるかな、長寺に一万円貰ったし帰れなくない」
「最初っからそうすればいいじゃない……」
と石川は呆れたように言った。
すると長寺は
「それはダメだ! お前、あの家に帰ったら二度と外に出られないぞ!」
と止めに入った。
「!! え、何それ! 怖いんですけど!」
と彩夏は言った。
「え、それ本当?」
石川も不安そうに聞いた。
「ああ、まあそうだな、渋ってたのもそれが理由だし、まあ、確かに死ぬよりはマシかな……と思ったしこんな状態じゃ社会復帰も無理そうだからもう一生家から出られない生活も悪くないのかなって思えてきた……」
と笑いながら山澤は言った。
「えっと、長寺君? この子の家のこと聞いてもいいかな?」
「はい、いいですよ」
「ねえ、それ俺の許可いらないの?」
と山澤は言ったが長寺は説明をした。
「こいつの家ちょっとしたお金持ちでさ、兄弟で後継ぎが誰になるかを競わせてたんだ、それでこいつが兄貴に負けて親から、もうお前は何もしなくていい、この家からでなくていい恥をかくだけだ、仕事もするな、一生ここで無駄な人生を費やせどうせお前なんて何の役にも立たないんだから、もしこの家から出たいのなら縁を切れ、そしてもし帰ってくるようならもうお前を絶対にこの家から出さない、恥を抱えながら一生苦しんで生きろって言われてさあ……それでこいつに俺が外に出て頑張って生きてみろって言ったことで今の生活になったんだけど……まさかこんなことになるとは……」
と悔しそうに長寺は言った。
「恐ろしい親御さんなんだね……」
「怖いを通り越してやばいなそれ……そこに帰らない方が良いのだけは分かった」
「とにかく、そこに帰らせるのはさすがに気の毒な気がします……」
と言って皆反対した。
「まあ、取り敢えず俺の自己責任だし実家に帰るよ……こんなことになって家に入れてくれるのだろうかという不安と共に新たな人生を歩むよ!」
「「「「人の話聞いてた?」」」」
山澤の意見は却下された。
「じゃあ! どうやって俺は生活……よし、満喫かカプセルホテルで暮らそう! 一万あれば何日かは大丈夫のはずだ!」
「それでも一時的なだけだ、何の解決にもなってないぞ!」
「大丈夫! ……バイト受け入れてくれるかな……」
と自信満々から唐突に不安が押し寄せた。
おそらくこのネット騒ぎはバイト先にも知られているだろう、
だからこそバイトはやめさせられている可能背がでかい
そのため山澤はバイトの希望が薄かった。
「大丈夫だって、俺とこの人で訳を言ったらさすがに店長も気を効かせてくれると思うぜ、おそらく、接客は無理だろうけど別の仕事を任せてもれえるんじゃないのか?」
「えっと……それはどうだろうか……もしかしたら最後のバイトで首になってるかもだし……」
と顔を逸らしながら山澤は言いにくそうにしていた。
「何だ? 喧嘩でもしたのか?」
「えっと、もっとまずい事かな……」
とそれを聞いて長寺は
「え、何したのお前、正直に言え」
「……怒らない?」
と山澤は気まずそうに様子をうかがった。
「ああ、怒らない」
「嘘だ! その反応は絶対に怒るパターンだ!」
「わかった、事と場合によっては怒る!」
「やっぱり怒るんだ!」
「いいからさっさと言え!」
と長寺は言った。
「えと、バイトを途中でブッチしてしまいました……」
「えと、まさかと思うがリア充見たからじゃないよな……」
「何でそれを!」
それを聞いて長寺は
「お前はあああああああああああああああああ! バカなのか!! バカなんだろ!!」
「だってだって! アンナの! どうしろって言うんだ!」
「えっと、そんなことでブッチしたんですか……」
とさすがに皆引いていた。
「いや、だってあれは仕方ないよ、電気屋でエロゲーコーナーを任されてたんだけどまさかあんなところでイチャイチャしだす奴がいるとは思わなかったんだ! しかもどんなプレイが好みかを女性の方が聞いてるんだぜ! そこにいたお客さんもほとんどがぶっ倒れそうだったぞ! てかぶっ倒れました!」
「いや、確かにそれはきついかもだが、でもそれでもそこを誰かに代わってもらうとかあるだろう……」
「その後、気になる子が店長に告白して精神がぶっ飛んだ」
「……何その災難続き」
と色々な意味で精神攻撃を貰って逃げてしまったことを皆気にしないようにした。
「まあ、確かにイチャイチャカップル見てるとさすがにイラってくるが連続攻撃は結構きついは」
「そうなの? ああ、でもたまに良いなあって思うこともあるから私も似てるのかな……」
と2人はまだ彼氏がいないのか少ししょんぼりした。
「そっそんなものか~」
「まあ、恋人がいないとなんかダメージくらうよそういうシーン見もんだぜ、お前がまだ彼女になってない頃俺もこいつと同じだったから……」
「お前が彼女出来たって時も俺は結構ダメージ喰らったけどな……」
とそんなやり取りが終わり
とにかく安定して住める場所の話に戻った。
「え、何、ホテルじゃだめなのか?」
「まあ、えっとダメではないがいつまでもそうしているわけにもいかないだろ? 一生ホテルで暮らす気か?」
「まあ死ぬのはいつか来るし……」
「何そのお前の考え方……」
と考え方が極端すぎる山澤に長寺が呆れながら言った。
「でしたら、私の住んでいる場所はどうですか?」
「「「「!! それはダメだ! 間違いがあってはいけない!」」」」
と篠沢の言葉に皆が反対した。
「えっと……別に大丈夫ですよ……」
「いや、俺だって男だよ! 今どきの若者のリビドーなんて分かったもんじゃないよ!」
「いや、今のお前の発言の時点で完全に心配だわ……」
「うん、やめといたほうが得策な気がする」
「こいつが本当のセクハラになったら本末転倒だよ……」
と完全にみんなが反対していた。
すると篠沢は
「えっと、その、大丈夫って言うのはその、山澤さんだったらいいよってその……」
「……」
「おい、山澤……」
山澤は気を失っていた。
「ダメだわ、慣れてないから完全に気絶した……」
「まあ、不意打ちだからな……」
「え、慣れないと男ってこうなるの?」
「え! え!」
そしてそれを聞いた皆は
「まあいいんじゃない? シノだってもう立派な大人だし本人がいいって言うのならもう別に同居でも、それから始まる恋だってあるし……」
「ただ問題なのはこいつが篠沢さんと暮らせるかだな、視覚の障害を持ってるし慣れてないと逆に迷惑掛かるんじゃない?」
「それならたぶん大丈夫だと思いますよ、会った時に道案内してくれて、とても気を遣って頂いたので、それに私自身も生活は自分で出来ますし、人より気配を感じるのも敏感なので近くにいれば分かりますよ」
「まあ、それでいいならいいんじゃない?」
と山澤の知らないところで同居の話がどんどん進んでいった。




