表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柴犬パンの熱帯生活  作者: 外村パン
11/11

トカゲハンティング 2

お母さんと次の木に移動していたその時。

そう、私の散歩兼、パトロール兼、トイレタイムの時のことです。

私の足元で、何かがサササッと動いた!

「!」

何よりもまず、私の前足が反応する。グワシ!

私の右足、確かに何かを掴んだ。足の先を見ると、ほら、トカゲが一匹私に尻尾を挟まれて「ジタバタ」してるよ!

やったー!

お母さん、ほら、私トカゲ捕まえたよ?すごいでしょ?このケモノのような反射神経。

「ヒエー!」お母さんが上空で叫んでいる。

次は、左足でトカゲの体をさらにがっちりホールドするよ。

そして、私のこの鋭い牙をトカゲの喉元にがぶり!とやるよ。

私の野生の血統、目覚めそうです。

ブンブン!ブンブン!

尻尾が振りきれそう。

「うわわわ」お母さんが、慌てふためいている。さっきは「私に捕まえられるわけない」って言っていたのに、ほらね?私だってできるんだよ?褒めて、褒めて。

「離せ、離せ、パンちゃん」

いや、お母さん?その反応も私ちょっと引きますけど。

こんなに面白い遊び相手そうそう出会えないんだから、放っておいて!

プチッ。

その時だった。トカゲが自分の尻尾を切って、ササーって逃げて行ったんだ。

「?」

なんて技を。トカゲはすぐ近くの茂みに逃げていったよ。逃がさん、私の遊び相手!

私はすかさず追いかけた、けど、お母さんたらリードをガッシリ短く持って追いかけさせてくれないんだ。

お母さーん。あの茂み、あの茂みに逃げたんだよ?早く追いかけないと!

「パンちゃんはよくやった。偉いよイイコイイコ。さ、あっち行こ」

グイグイ、リードを引っ張る。

お母さん、そっちじゃないよ、あの茂みだよ?私はかまわず、ぐんぐん進んだ。

「はあ〜」

お母さんのため息が聞こえる。「まあ、もう見つからんだろ。木に登っちゃえば捕まえられないし…」

お母さんがブツブツ言いながら、すごすご付いてくる。

茂みに到着。

ブンブン。クンクン。ブンブン。クンクン。

「私と十日ぶりに会った時でも、そんな尻尾振らんかったのに…」

そんなん、知らん。確か、この辺りに逃げたけど。

がさごそ、がさごそ。私は茂みに頭を突っ込んでクンクンする。茂みから出ているのは私のお尻と、ブンブンしている尻尾のみ。あいつ、じっと気配を消してるよ。クンクン。

「…カサ」

その時私のちょっと上で、小さな小さな音がした。

バッ!

すかさず私は飛びかかる。いたー!さっきのトカゲちゃん!ほんの20センチぐらい上の葉っぱにしがみついているよ。

あと少し、あと少し。私は必死で手を伸ばした。トカゲは体を硬くしてじっと動かない。目だけがギョロッと半回転。

「この馬鹿。なんでもっと高い木に逃げないんだよ?」

後ろでお母さんが、変な悪態をついている。

背伸びしても手が届かない私は、その茂みの根元をゆさゆさ揺らしたよ。頭いいでしょ?

そうしたら、トカゲがとまってる上の葉っぱはユラーリユラーリ、大きく揺れた。「ササ」トカゲが動く。そしてひしっとしがみつく。なかなかしぶとい。ゆさゆさ。私の尻尾はブンブン振れ続けるよ。

ユラ〜。

葉っぱが大きく傾いた。来る!あのトカゲちゃん、落ちてくる!スタンバイ!ブンブン、ブン!

その瞬間、トカゲちゃんは必死のダイブ。ダイブしたその先は…。

「ぎゃー!」

お母さんの足の上だったんだ。

「ぎゃー!ぎゃー!イヤー!」

お母さんが踊り出したよ。ちょっと、お母さん!静かにして!じっとしてくれないと、私のトカゲちゃんが。

お母さんは、足を上げてバタバタ。そんなにピョンピョン跳ねたら、トカゲも私も踏みつけられちゃう。あぶなーい。

そしてトカゲは、スルスルーっとその先の木に登って行っちゃったんだ…。

「…」

「…、あの、パンちゃん?なんか、ごめん」

その木の下に、二人で歩いて行ってから、お母さんが私につぶやいた。お母さんの目線の高さには、さっきのトカゲちゃんがじっとたたずんでいた。

「ほ、ほんとによく捕まえたね?パンちゃん、えらいえらい」

お母さんが褒めてくれたけど…。

「まさか、パンちゃんがあんなにすばやいとは思わなかったよね。かっこいいわ」

「…」

「トカゲもお家に帰ったんかなー?」

「…」

「じゃあ、パンちゃんも帰ろうかな?」

「…」

帰ろうか?うん、そうだね。帰ろうか。帰ってあの涼しい部屋で、ゴロンと横になりましょう。

私の尻尾、また静かになりました。静かにお尻の上でクルリンと丸まって収まりました。

トカゲには、また出会えるよ。次は絶対捕まえる。

私の尻尾も、明日のパトロールまで一休みしましょう…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ