21話 美少女天使ローザ現る
次話は21日の7時10分投稿予定です。
「よ、よろしく……」
僕は状況を飲み込めず、とりあえず当たり障りのない返答を返す。
少し落ち着いたところでローザの様子を見てみると、この子も異常なほど可愛らしい外見をしていることに気づいた。
腰まであるストレートロングの金髪に頭のてっぺんからアホ毛が2本伸びており、パッチリとした金色の瞳を持ち、天使のような真っ白な羽を生やし、丈の短い白いワンピースを着た愛らしい少女だ。
顔立ちは整っていて幼く、白めで綺麗な肌だ。
声は甲高く透き通っており、背は160ちょっとだろうか、イルミより10センチほど高いように見える。
幼い顔立ちとは裏腹にグラマラス気味な体つきで、健康的で神秘的な印象を僕は持った、が……。
「あ、ちなみにねっ、剣がないときのわたしの第二武器はスターゲイザーっていってねっ、わたしのこころのようにまっしろな持ち手と黄金白色にかがやく刃をもつ十字槍で、星の観察者って意味で、これも、ものすんごい武器なんだよぉ〜」
ハイテンションで喋りまくり、落ち着きの全くない様子は、むしろギャグマンガに出てきそうな女の子であり、せっかくの神秘性は台無しになっている。
「そ、そうか……それは、凄いな……それだけの武器を使いこなせるってことは、ローザさんはどのくらい強いんだい?」
僕は少し引きながらも何とか話を合わせようとしてみる。
「それはもう、わたしのパンチやキックは、いっぱつで隕石をくだいて、じょうぶさは核ミサイルの直撃でもへいきで、不老で不死身でたおされても1分でかんぜんになおってもとどおりなんだよ、すごいでしょ」
ローザは首をメトロノームのように左右に振り、ボリュームのある金髪をワサワサと揺らしながら陽気に話を続けてくる。
「そ、それは凄い! さすがはダンジョンの裏ボス、信じられない強さだ……」
僕の返しが白々しくなってきた。にしても、本当にこの子、ダンジョンの裏ボスなんだろうか? とてもそうは見えない。
「でしょ〜! わたしってば、つおい♪ あ、そうだ、わたしのことは、さんづけしなくていいよ、ふつうによびすてで……よんでも……いいかな〜ってかんじで……」
どうしたんだろう……? なんか、様子がおかしいな、急にモジモジし始めたぞ。
「ローザ、ドウシタノ……?」
イルミはローザに心配そうに声をかける。
「ねえ、イルミちゃん、シオンくんとは、ど〜ゆ〜かんけい?」
「カンケイ? ン〜、一緒にいて安心する人、カナ……」
イルミは人差し指を口にあて、少し考えて答える。安心する人か……そう思ってくれてるのは嬉しいな。
「やったぁ〜、恋人ってわけじゃあないんだねっ、んじゃ、わたしがシオンくんの恋人になっても、だいじょぶってかんじだね〜」
ローザはバンザイをしながらピョンピョン飛び跳ねている。
「……な、な、な、何を言ってるんだこの子はーっ!」
僕は思考が数秒停止したあと、思わず絶叫する。
「だってだって、シオンくんとはなしてると、見た目としゃべり方と、声と性格が可愛くてわたしの好みにばっちりってことにきづいてねっ、もっ、ど〜しよ、シオンくん」
「そんなこと、いきなり言われても!」
あまりの超展開に僕はうろたえてしまう。
「エット、ドユコトカナ、ローザ……?」
「わたしはシオンくんを好きになっちゃったってことなんだよっ」
「スキ……」
イルミは胸に手をあててつぶやく。
「そう、好き。いまからわたしはシオンくんをワシッてハグして、あたまナデナデして、チュ〜をするから、見ててねイルミちゃん、これが好きってことなんだよぉ〜」
ローザは羽根と両手を広げて僕に笑顔でにじりよってきた。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 確かにローザはとても可愛いと思うけど、訳が分からないし、なんか怖いし、僕は混乱してるし、それに……とにかく待ってくれ!」
僕は両手を突き出して後ずさりする。
「だいじょぶだよ、シオンくん。こわくないよ、さあさあ〜、わたしの愛をうけとって〜」
ローザはさらに僕に迫り、抱きしめようとした。
「……ローザ、チョット、待ってだよ……」
イルミはローザの左手首を掴んで、僕への行為を制止した。
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