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刀
ほりおこした鏡は、じいさんといっしょに村の寺までいっておさめてもらった。
サトリのはなしをきいた坊さんが、ヒコイチの頭をなでてえらくほめた。
「サトリは、おのれを映すあやかしだというからの。おそろしいと思えば思うほど、そのとおりの化け物になってゆくのよ。よく、負けなかったの」
負けないどころか、首をはねた侍がいたという話はしないでおいた。
あの小屋のできごとも、侍のはなしも、あれからヒコイチとじいさんはしない。
ヒコイチが九つになってからのある日、家の行李のいちばん下に、袋におさめられた細長いものをみつけた。
朱色の鞘も立派な、大小の太刀だった。
ヒコイチはそれをもどし、ふたをした。




