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「むぅ」


ロジ・マジの目の前にいたのは、一羽のカラスであった。


突然、外から飛び込んできた黒い侵入者は、弾丸のような勢いで、ロジ・マジ目指してまっしぐらに進み、彼のの結界にくちばしを突き立てた。


カラスは、全身に結界破りの呪符が貼られていたため、この様な芸当が可能だったのだ。


呪符が光を発すると同時に、結界の光はどんどん弱まっていった。


「……どうやら余計な邪魔が入ったね」


上空を見あげながら、アリッサが舌打ちをする。


「ああっ!!」


空を見ながらブランが、悲鳴をあげる。


雪妖のつららの攻撃が止んだと思った途端に、ロジ・マジが、力なく落下してきたのだ。


そのまま地面に激突するかと思われたが、アリッサが両手の指をならすと、すんでのところで老魔導師の体はピタリと止まり、そのままゆっくりと下に降りていった。


「ロジ・マジさん!!」


あわててかけよったブランであったが、彼の目から見ても、もはやロジ・マジは手の施しようがなかった。


肩、脇腹、太腿はつららによって串刺されており、他にもあちこち鋭い切り傷がつき、とめどなく血が流れていた。


「アリッサさん!!ロジ・マジさんが……」


ブランが、後ろからのしのしと歩いて来たアリッサに悲痛な叫びをあげる。


アリッサは、懐から布袋を取り出すと、中に入っていた粉を荒っぽくロジ・マジにぶちまけた。


「アリッサさん??」


「血止めの薬だよ。だが、はっきり言って気休めだ。もう、あたしらにできることはないね」


「そんな……ブンさん!!」


『……………』


ドクロの瞳は軽くまたたいたたけで、何も語らない。


その時である。


「いやいやいや。意表をつかれてしもうた」


驚くべきことに、瀕死のはずのロジ・マジが杖につかまりながら、立ち上がったのだ!!


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