85
「どうやら、その血は途絶えずに受け継がれてるようじゃな」
ロジ・マジは、ミミをチラッと見ると安心したように微笑みを浮かべた。
「その後、地霊どもを使役して村とここをつなぐトンネルを掘らせ、3つの扉を作り、わしは長い眠りにつかせてもらったというわけだ」
そこまで話すと、ロジ・マジを湯船から両腕を突き出し、大きくのびをした。
「おい、じじい!!どうでもいいが、話が長すぎるぞ!!」
自分のことを棚に上げ、ロジ・マジをじじい呼ばわりしたガンダルガの顔は、すでにゆでダコのように真っ赤になっている。
「そうじゃな、そろそろ久しぶりに雪妖と会うとするかのぅ」
「あんた、勝てるのかい??」
アリッサが鋭い視線でロジ・マジに問う。
「まあ、体もあったまったし、何とかなるじゃろ」
老魔導師は、まるで他人事であるかのような話しぶりだ。
「女魔法使いよ、場合によっては、お主に助力を頼むかもしれんぞ。手の方はもう問題ないじゃろ」
「………まぁな」
湯船から出した左手をブラブラと振るアリッサを見て、ブランが驚きの声を上げる。
「えっ!!だってその手、折れていたはずなのに…」
「ほっほっほ。さっきここの湯に魔法薬を溶かしておいたからのう。神官どもの治療魔法などより、よっぽど効くぞ」
言われてみれば、確かに、ここまで恐ろしい程にたまっていた彼らの疲労は、いつの間にかすっかりと消え失せていた。
「さて、では上がるか!!」
立ち上がった老魔導師が指を振ると、皆の体は一斉に湯船から飛び出した。




