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「ほう」
明日の朝、ミミに同行し「ロジ・マジのほこら」へ一緒に行って欲しいという頼みを聞いたアリッサは、満足げな表情になった。
「そいつはなかなか面白いねぇ」
仕事の依頼以外で、人からものを頼まれることを限りなく嫌うアリッサだったが、今回の反応はいつもと違っていた。
「あたしも、あの場所は色々と気になってたからちょうどよかった。ブラン、あんたにしちゃ上出来な頼みじゃないか」
「はあ…」
微妙な誉められ方をしたブランだったが、とりあえず力強い味方を得られ、いくぶん安心できたのは確かだった。
「だが、明日の予定はどうするんだい??勝手な行動は、規則違反になるんじゃないのかい??」
普段、さんざん施設の規則を破っているアリッサが、自分の事を棚にあげ、ニヤニヤと問いかけてきた。
「それは……夜のミーティングの時に何とか話をつけてみます」
「ほう、下っぱのあんたが何と言って説きふせるつもりなんだい?」
「それは…えと…」
「例えばあたしが、もう一回あのほこらに行きたいとタダをこねてるとか??」
「あ!!それいいですね!!」
「なるほど。あたしはうまくダシに使われるってわけか」
「いえ、そんなつもりでは…でも、日頃アリッサさんがワガママなおかげで、それなら説得力が…いてっ!!」
口を滑らしたブランに容赦なくスリッパ魔法が飛ぶ。
「さて、そろそろメシにするかね」
立ち上がって、スタスタと階段を目指すアリッサの後ろを、赤くなった額をおさえながら、ブランはヨタヨタと追いかけていった。




