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「では、これから部屋の鍵をお渡しします。男性は337号室、アリッサさんとメディナさんは415号室ですよ。夕食は、一時間後に415号室の方で一緒に食べる形となります。それまでは部屋でおくつろぎいただいても結構ですし、先にお風呂に入っていただいてもかまいません。それからー」


ロビーの一角で、ネルガが『太陽の家』の者達に、これからの流れを説明している。

恐ろしく広いロビーの各所には、フロントはもちろんのこと、土産物屋、ちょっとした喫茶コーナー、レストランの入り口などがあり、どこもたくさんの人がうろついていた。


ここまで、アリッサと話しながらやって来たブランだったが、結局、彼女の懸念については、はっきりしないままだった。


どうやら彼女は、この里の温暖な気候や、ロジ・マジのほこらについて、何らかの「ひっかかり」を感じているようなのだが、それを解き明かすことができない様子だった。


こう見えて、この皮肉好きの小さな老女は、魔道大公ノルンにも一目置かれるほどの強力な魔法使いである。

強い魔力を持つ彼女ですら、つかめない何かがこの里にあるというのだろうか。


「ブラン、移動するぞ」


フリントにうながされ、ブランは、今は漠然としたことで思い悩むよりも、目の前の引率業務に集中するべきと、頭を切り替えることにした。


「ではまた、明日の朝九時にロビーでお会いしましょう」


会社の宿泊施設に泊まることになっているネルガに別れを告げ、一行は男女別にそれぞれの部屋へと移動を開始した。


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