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【書籍発売中】融合スキルで武器無双!ゴブリンソードから伝説へ  作者: 田中ゆうひ
第四章

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「白狼の毛皮」×「ローブ」

「ねえ、ご満悦のところ悪いけどさ。それ、枕にするくらいなら――やっぱり融合した方がいいと思う」


 僕がそう言うと、ナズカは白狼の毛皮に頬を押しつけたまま、黙ってこちらを見た。


「……防具にしたら、きっといい性能になるよ」


 僕は重ねて説得した。


「えー、こんなに寝心地がいいのに?」


 名残惜しそうに言いながらも、ナズカはゆっくりと体を起こした。


 そのまま毛皮を手に取り、しばらく眺める。


 そして、小さく息をついてから、僕に差し出した。


「まあ、本気で枕にするつもりはないさ。さすがに、もったいないのは分かってるよ」


 もっとごねるかと思ったけれど、意外とあっさり返してきた。


 もしかするとナズカは、少し大げさに振る舞ったり、おどけたりしながら、僕たちとの距離を縮めようとしているのかもしれない。


 それがどこまで意識的で、どこまで無意識なのかは分からない。

 でも少なくとも、少しくらい甘えても大丈夫だと、そう思ってくれているのなら、悪い気はしなかった。


 僕は毛皮を受け取りながら、少し考える。


「それなら、ナズカのローブに融合すればいいよ。ローブにしたあとだって、丸めれば枕にはできるし」


「なるほどね。それは悪くない案だ」


 ナズカは興味深そうに頷いた。


「……ただ、大きさ的に上手くいくかな?」


 言われて、僕は受け取った毛皮を軽く広げてみる。


 広げたそれは、せいぜい両手で持てる程度、20センチ四方といったところだろうか。

 普通に考えれば、とても全身を覆うローブの素材には足りない。


 けれど――


「多分、大丈夫だと思うよ」


 僕は、これまでの融合を思い返しながら答えた。


「融合って、単純に“物をくっつける”って感じじゃないことが多いんだ。素材そのものの大きさより、性質が全体に広がるみたいな……そんな結果になることが多くてさ。僕の防具だって、鱗一枚を融合しただけなのに、鎧全体に効果が出てるしね」


 もちろん、僕自身も融合について全部理解しているわけじゃない。

 でも、今までの結果を見る限り、多分そういう性質なんだと思う。


「へぇー、不思議だね。あれ、じゃあ融合したら、このモフモフがローブ全体に行き渡るのかい? なら、尚更融合しないと!」


 ナズカはそう言って、楽しそうに笑った。


「みんなもいいかな?」


「あたしはいいわよ。でも、他の毛皮は独り占めはダメだからね。あたしも下に敷くわ」


「私も問題ない。やはりこのダンジョンは敵の数が多い。後衛の防御が上がるなら、その方が安心だ」


「じゃあ、決まりだね。ローブを貸して」


 ナズカからローブを受け取る。


 そういえば、ナズカの装備を鑑定するのは初めてかもしれない。


 漆黒を基調としたローブだ。袖や裾には金糸の刺繍が稲妻のように走っており、以前から思っていたが、かなり見た目にこだわっている装備だと思う。

 

 だが、鑑定結果は意外なほど普通だった。


《ローブ:鎧 防御力3》


 それにやはり、防御力はそこまで高くない。

 もっとも、これは仕方ないことでもある。

 ナズカの使う雷魔法のスキルは、金属製の装備と相性が悪い。

 集中の妨げになるらしく、だからこそ魔法系のスキルを使う冒険者は布装備を好むのだ。


 けれど、この融合なら問題ないはずだった。


 僕は両手に白狼の毛皮とローブを持って、融合を発動した。


 淡い光が毛皮とローブを包み込む。

 やがて光が収まると、そこにはまったく別物になったローブが残されていた。


 白銀色だ。


 形は元の黒いローブをベースにしながらも、全体が美しい白銀色へ変わっている。もともと施されていた金の意匠はそのまま残っており、不思議とよく調和していた。


 生地も、ただの布だった頃より厚みが増している。毛皮の質感もきちんと残っており、ナズカが気にしていた“もふもふ具合”も健在だった。


 だが、それでいて重苦しさはない。むしろ、どこか冷たさすら感じさせる、美しいローブだった。


 僕はすぐに鑑定を使う。


 《白狼のローブ:鎧 防御力5 冷気耐性+2 ※ナズカ以外が使用すると破損》


「おお……!」


 ナズカが目を輝かせた。


「これは……かなり格好いいんじゃないかい!?」


 ローブを受け取ると、すぐに羽織ってみせる。


「うん、いい感じだと思うよ」


 黒髪のナズカに白銀のローブは正直、かなり似合っている。


「それに結果も良かったよ。防御力も上がっているし冷気耐性もあるね」


「ふふふ、やはり僕にはこういう特別な装備が似合うようだね」


 ナズカは満足そうに頷いた。


「ねえ、じゃあそろそろご飯行きましょうよ。もうできてるはずよね」


 マリィがそう言いながら立ち上がる。


「確かにそうだね。少し遅くなっちゃったかも。早く行こう」


 僕も頷く。


「え、待って。これで外に行くのかい?」


 ナズカが急に不安そうな顔で、自分の姿を見下ろした。


 融合前のローブは、黒を基調としており、刺繍は凝っていたが全体としては地味なものだった。


 けれど今は違う。


 白銀色のローブはかなり目立つ。


 キャンプの中でも、視線を集めそうだった。


「……だ、大丈夫よ。もう日も落ちてきたし、案外分からないわよ」


 マリィがやや無理のあるフォローをする。


「いや、そのローブは暗い方が逆に目立つと思うが……」


 リリエットが冷静に付け加えた。


「うっ……」


 ナズカが小さく言葉を詰まらせる。


 とはいえ、食事を取らないわけにもいかない。


 僕たちはテントを出て、最初に説明を受けた炊事場へ向かった。


 炊事場では、大鍋で作られたスープとパンが配られていた。


 スープはトマトベースらしく、赤い色合いをしている。

 中には大きめに切られた野菜がごろごろ入っていて、豚の腸詰も入っていた。思っていたよりもしっかりした食事だった。


 簡易的なテーブルも用意されていたが、僕たちは料理を受け取ると、そのままテントへ戻った。


 毛布の上に胡坐をかき、それぞれパンをちぎりながらスープを口に運ぶ。


 不便な野営生活になるかと思っていたけれど、これはこれで悪くない。


 テントの外からは、他の冒険者たちの笑い声や話し声が聞こえてくる。


 長い一日が、ようやく終わろうとしていた。


 明日はいよいよ、二階層だ。

【あとがき】

 GW期間6日目の更新です。

 もっとも、GW期間と言いつつ、今日は仕事や学校だった方も多かったと思います。

 私も普通に出勤でした。


 ただ、自分はまだ連休中で、今日はたまたま趣味で仕事をしているだけなんだ…と自分に言い聞かせながら、なんとかGW気分を維持しています。


 引き続き、5月10日までは毎日更新していきます。


 さて、毎度恐縮ですが書籍版の宣伝をさせてください。


 書籍版の魅力⑤

 「あとがきがある」です。

 いよいよこちらもネタ切れ感が出てきましたが、あとがきは割と一生懸命書きました。

 私は本を買うとき、ついあとがきを先に読んでしまうタイプなので、「あとがきから読む派」の方も楽しめるよう意識して書いています。


 最近はラッピングされている本屋さんも多く、あとがきだけ立ち読みできる機会も減った気がしますが……もし書店で見かけた際は、ぜひあとがきだけでも読んでみてください。そして、できればそのままレジへ……(笑)


 引き続き、本作をよろしくお願いいたします。


 以下、Amazonの商品ページURLです。

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