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溺愛は最上級爆裂魔法のあとで〜ちびっ子従者は運命を巻き戻す〜  作者: 撫羽


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104/118

104ーあそこが調理場だよ

 取り敢えず調理場へ行こう。


「おじょう、いっちょにいこう」

「ええ」

「お嬢様、ベルは調理場へ行くのですよ」

「ええ、ゲイブ。()ってるわ」

「お嬢様も行かれるのですか?」

「だめかちら?」

「いえ、駄目ではありませんが」

「おやじ、だいじょぶら」

「そうか? 万が一にも、お怪我をさせたら駄目だぞ」

「おー」


 当たり前じゃん。俺がお嬢にそんなことをさせるわけないじゃん。

 お嬢の側に行って、手を取る。ふふふ、ラッキー。今はお邪魔虫なブレイズ様もいないし。


「おじょう、こっちら」

「ええ」


 フワフワで小さな手だ。女の子って何もかもがフワフワだ。これってお嬢だからかな?

 今日はこっちの手は洗わねー。


「なんでやねん、これからパウンドケーキ作るんやろ? 洗いや」

()まった」


 それをすっかり忘れていたじゃないか。いいや、作ったらまた手を繋ごうっと。


「あたちもいっちょに、ちゅくろうかちら?」

「おー、かんたんら」

「ちょうなの?」

「うん」


 ふふふ、トコトコと手を繋いで歩く。まるでデートみたいだ。

 ほら見て、あそこが調理場だよ。なんてね。てか、調理場かよ! て自分で突っ込んだりして。


「あー……もう好きにしたらええわ」


 なんだよ、ガンちゃん。乗ってきて。一人で妄想してたら寂しいじゃん。


「はいはい、はよ行かんな料理長が待ってるで」


 仕方ねー。調理場に入ると料理長がもう待っていた。


「おう、ベル。来たか……て、お嬢様!?」

「あたちも、いっちょ(一緒)ちゅく()っていいかちら?」

「えええー!? ベル、どうすんだよ!」

「いいって。おやじもちってる」

「そ、そうなのか?」


 じゃあ、まあいいか。なんて言っている。料理長ったら動揺しすぎだ。お嬢様が調理場に来ることなんて、ないのだろうけど。


「で、何か作るんだろう?」

「おう、オレンジたっぷりの、パウンドケーキ」

「パウンドケーキにオレンジを使うのか?」

「ちょうちょう、だからさきに、オレンジをにる」

「煮るのか?」


 俺が伝授しよう。お嬢はここに座ってと、丸椅子を引っ張り出す。


「あたちも、ちゅるのよ」

「おじょう、ほうちょう(包丁)はらめ」

「そうですよ、お嬢様。危ないですから」

「ちょうかちら?」


 そうそう、だからここに座ってて。俺は椅子の上に立つけども。ヨイショと乗って、立つ。


「ベル、あたちも」

「らめ、あぶないから」

「ベルゥ」

「らめ」


 そんな可愛い声を出しても駄目。お嬢の綺麗な手に傷をつけるわけにはいかない。


「おじょう、まじぇまじぇちゅ()るときに()よう」

「ちょうなの?」

「うん」


 料理長にオレンジをスライスしてもらう。それを鍋に入れる。


「ちゃとうと、みじゅをいれて」

「おう、これで甘く煮るのか?」

「ちゅうちょう。ちょれ、おおめに」


 パウンドケーキの上にたっぷりと並べたいから。


「おばあちゃまが、ちゅ()きでちゅものね」


 おっと、お嬢ったらよく分かっている。カリーナ様はオレンジが好きなんだ。

 だからそのオレンジをいっぱい使って作ろう。パウンドケーキもオレンジ風味にしよう。


「おじょうは、いちご」

「ふふふ、ちょうね」

「おれのらぶ」

「ベルはしつこいねんて」

「ちょんなことねー」

「そんなことあるで。あんまりしつこくしてたら、嫌われるで」


 ガビーンだ。マジかよ。お嬢に聞いてみよう。


「おじょう、きらいになる?」

「ならないわ」


 ほら、みろ。ならないって。


「お嬢は優しいからな~」

「ガンちゃんも、ちゅきよ」

「ほっほ~い! ありがとうな!」


 あー、ズリーな。俺はまだ好きって言ってもらってないのに。ガンちゃんって本当にズリー。


「ベル、焼きもち焼くなって」

「じゅりー」

「アハハハ! ワイは好きやって」

「ちっ」

「アハハハ!」


 こんな身近なところにライバルがいたなんて! 予想外じゃないか。


「ベル、何思ってるねん。ワイはベルの使い魔の魔モモンガや」

「ちってる」

「ベルを裏切るわけないやないか」

「ガ、ガ、ガンちゃん!」


 思わず小さなガンちゃんと、ギュッて抱きしめ合っちゃった。


「ふふふふ」


 お嬢に笑われちゃったけど。


「ベル、オレンジが煮えたぞ」


 はいはい、じゃあ次だ。パウンドケーキを作ろう。


「バターをねりねり」

「おう」


 お嬢がもうやりたそうに見ている。


「おちゃとう(砂糖)いれて、まじぇまじぇ」

「いつものパウンドケーキを作ったらいいんだろう?」

「ちょうちょう、けろ、オレンジのにじる(煮汁)もいれる」

「どこでだ?」

ちゃいご(最後)、メレンゲいれるまえ」

「よし、分かったぞ」


 分かっているなら、料理長に任せよう。その間、俺はお嬢と仲良くトークタイムだ。


「ベル、あたちも、やりたいわ」

「えー」


 だってぇ、お嬢と二人でお話ししようと思っていたのに。キャッキャウフフってさ。ラブを深めないとね。


「お嬢様、これを混ぜてみますか?」

「ええ、りょうりちょう」


 え……もしかして料理長もライバルなのか? お嬢は可愛いから、ライバルがいっぱいじゃないか。


「ベル、それはちゃ()うと思うで」

「らって、ガンちゃん。おじょうはちょうかわいい」

「それはそうやけどな。かわいいな」

「ちょうちょう」

「けど、ライバルはちゃうな」

「ちょう? ならいい」


 ライバルは少ない方がいい。俺はお嬢を独り占めする気満々だから。


お読みいただき有難うございます!

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宜しくお願いします。

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