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田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件  作者: マルルン
2年目の秋~冬の件

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遊園地のパレードで最後の戦闘を締めくくる件



 “空母(遊園地)ダンジョン”の6層に辿り着いた来栖家チームは、いつものように素早く周辺のチェックを始める。時刻は午後の1時過ぎで、普段の探索より時間は掛かっている印象。

 それも仕方ない、何しろ出て来る敵の大半は銃持ちだったり飛行タイプなのだ。いつもより慎重に進むのは、ある意味当然の事と言える。


 ついでに言えば新造ダンジョンなので、前もってのデータが全く無い状態である。そう言う点で言えば、今回の来栖家チームの使命はデータ収集も兼ねている。

 もちろん、オーバフロー騒動を起こしたこのダンジョンの、コア破壊が最重要な任務には違いない。末妹の『天啓』スキルによると、さすがにこのエリアが最終かなぁとの話。


 それを真に受ける訳では無いが、大ボスに備えようかと中衛の護人は前衛陣に通達する。さっきみたいな間抜けなボスでない限り、最終戦はかなり熾烈になる筈。

 末妹も、ここぞとばかりに『幸せの青い鳥』の使用に踏み切った。ちなみに異界の迷子ちゃんだが、相変わらずこの末妹が大事に手にしている。


 どうやら姉の姫香は、さっきの香多奈の暴走行為を目にしていなかった模様。長女の紗良は(うるさ)い性格ではないので、この両者の切り離しを言及しない始末。

 その判断が、この後どんな顛末に転ぶかは神のみぞ知る所。そんな来栖家チームは、空母の甲板に拡がる遊園地を眺めて総じて意外そうな表情を浮かべている。


「あれっ、てっきりエリア環境が大幅に変わるかなって思ったんだけどな。さっきまでと変わらずの遊園地だね、騒がしいBGMまで同じだよ。

 確かにこれは、このエリアで終わりな雰囲気が高いね」

「そうだね、リソースをそこまで割けなかった感じが(ただよ)ってるかな? あっ、ハスキー達が進み始めたみたいだね。

 私達は空と背後の監視をしておこうか、香多奈ちゃん」

「オッケイ、紗良お姉ちゃんっ……ところで、この振動みたいな地面の揺れは何だろうね?」


 そんな香多奈の指摘した振動は、どしんドシンと一定間隔でまるで巨人の足音みたい。まさかねと顔を見合わせる姉達だが、その嫌な予感は大当たり。

 それはモンスターの群れの率いる大パレードで、大きなフロート車を2体の恐竜がけん引していた。フロート車は派手に電飾がなされて、その上は山車(だし)のように上へと盛り上がっている。


 そこにはまるでご神体のように、ダンジョンコアが納められ悪目立ちしていた。そんなフロート車の上には、オーガ兵が20体以上も同乗して警護体制はバッチリ。

 そして脇を固めるトロール兵士も、同じ位はいそう……そいつ等は何故か、南米のお祭り衣装を身に着けてド派手な演出に貢献している。


 ただし手には凶悪な武器を持っており、見た目に(だま)されると酷い目に遭いそう。更にその背後には、小山のようなドラゴンが数匹付き従って行進中。

 彼らもやっぱり、ピンクのリボンがチャーミング。


「うわっ、お城前のパレードだっ……車を()いてる巨大な恐竜さん、あれはトリケラトプスかなっ?

 その後ろにはドラゴンもいるねっ、凄い豪華なパレードだねぇ」

「あの奥の白いお城の尖塔部分、停まってるのはワイバーンや飛行部隊じゃないかな? 戦いが始まったら、無理やり参加して来そうで嫌だよねっ。

 それにしても、獣人軍だけでも軽く40体以上はいるよっ!」

「フロート車の上に、これ見よがしにダンジョンコアが配置されてるな……つまりあの集団とは衝突必至って事だ、これは気を引き締めて全面戦争に備えないとな。

 とにかく後衛陣は、(まと)にならないよう流れ弾に注意してくれよ」


 了解と軽い末妹の返答に、2号ちゃん頼んだよと姫香は当然前へと出る心構え。護人は今回、向こうの空からの援軍を阻止する役回りになりそう。

 それとも、空中戦は全てミケに頼んで、恐竜かドラゴンの相手に回るべきか。敵の数があからさまに多くて、その辺の対応がとっても悩ましい。


 そんな話し合いの最中にも、レイジーは『活火山の赤灼ランプ』を取り出して、せっせと自分の軍隊を量産中。萌はそれをお手伝い、ツグミも久々に『アビスドール』のアビスちゃんを起動する。

 戦いの準備を始める来栖家チームは、総力戦に向けてヤル気満々。そして相手も、ようやく自分たちのエリアに無断侵入して来た賑やかなチームを発見した。

 そして、殺気を(みなぎ)らせ来栖家チームへと突進を仕掛けて来る。


 来たよとチームを鼓舞する末妹に、さっそく前~中衛陣が盾になるべく前へと出て行く。今回は後衛の姫香も、2号ちゃんに姉妹の護衛を任せて前衛へ。

 そんな両チームの戦闘突入を受け、遊園地内のBGMが勇ましいモノへと変わって行った。それに釣られるように、お城の尖塔にいた空中部隊も参戦を決め込む。


 今回は敵の陸部隊が多過ぎるので、空中の敵はレイジーの炎の鳥に任せる事に。それから香多奈も、空はミケさんにお願いするからと護人を安心(?)させる。

 そんな訳で、後衛陣も応援や指揮取りにしばらく忙しくなりそう。


「うわあっ、この音楽の変化も曲者(クセモノ)だねっ……明らかに私たちのエリア侵入を、周囲のモンスター達に知らせているよっ。

 あっ、不味いね……背後からも敵が来たかもっ?」

「うわっ、本当だっ……あれはラプトル恐竜かなっ? 上に乗ってるのはコウモリ獣人だねっ、変な組み合わせだけど機動力があるのは厄介かもっ!?

 2号ちゃんは盾役やって、迷子ちゃんは近付いて来た奴から倒して行くよっ!」


 何しろ前衛陣も、巨大恐竜&ドラゴンに加え銃持ちオーガ兵にトロール兵士の軍団が相手である。こっちを気遣う余裕もなく、(おのれ)の身は自分達で守るべし。

 そんな気構えで、1ダースのラプトル騎兵に対峙する後衛陣。まぁ、いざとなればミケもこちらに手を貸してくれるだろうし、長女も魔法で参戦するつもり。

 とは言え、脚の早い敵相手に範囲魔法はやや不利かも?




 パレード本隊を相手取る前衛陣は、その敵の質量を前にしてそれぞれたかぶっていた。何しろトロールにオーガに巨大恐竜、加えてその後ろにドラゴンまでいるのだ。

 これは長期戦になりそうと、護人は即座に作戦を考える。相手はフロート車の上に陣取って、銃でこちらを狙い放題だ。この射線の通っている状況は、いかにも不味い。


「ルルンバちゃんっ、しばらくの間盾役を頼んだぞっ。姫香、そこの建物の壁を壊して障害物を積み上げよう。敵のトロール兵が片付くまで、こっちから距離を詰めるのは自殺行為だからね。

 ハスキー達も、最初は突っ込み過ぎないようにな」

「了解、最初は銃持ちの敵は無視の方向だねっ! でもこれ、ダンジョンの構造物だから破壊出来……あっ、壊せるみたいだねっ、良かった。

 うわっ、あの車の中から追加のゴーレムが湧いて来てるよ、護人さんっ!」

「えっ、マジかっ……!」


 どうやら向こうは、待ちの戦法を選ばせてくれない模様。とは言え、さすがに決死の覚悟でフロート車を壊しに出張って行くのは自殺行為。

 そんな間も、護人と姫香は近くの建物から建材をかっぱらっての陣地造り。お陰で敵との間に障害物が出来て、向こうの射撃の雨から一息つく事が出来た。


 防御スキルを持たない、レイジーや茶々萌コンビはすかさずその影へと入って行く。そしてレイジーは、召喚スキルで呼び寄せた火の鳥や炎の狼軍団ですかさず反撃に打って出る。

 怖いモノ知らずの召喚軍は、敵陣に押し入って大いに混乱を招く。幸いな事に、1匹の炎の鳥がフロート車のゴーレム排出口に飛び込んでの破壊工作に成功した。


 巨体のトロール兵も混乱していて、反撃の護人の射撃に数を減らして行く。フロート車の上のオーガ兵団も、宙からの火の鳥の攻撃に(さら)され大慌て。

 その援護にと、本体のフロート車にレーザー砲を撃ち込むルルンバちゃん。しかしそれは、向こうの盾役のトリケラトプスに阻まれてしまった。

 代わりにその恐竜はダウンして、取り敢えず強敵が1匹減った計算に。


 姫香も同じく、《剣姫召喚》で初の試みを披露して敵の混乱を助長する。出現した姫香の分身体は、何と思い切り離れた敵の背後からアタックを仕掛け始めた。

 いきなり尻尾を斬られた後方のドラゴンは、怒りの咆哮(ほうこう)を上げ無礼を働いた奴を探し暴れ出す。そんな混乱は、徐々に来栖家チームに良い流れをもたらして行く。


 それに乗じて、護人も“四腕”からの『霊木の弓』の理力矢弾をフロート車に向けて放つ。しかしその大技も、もう1匹残っていた恐竜に体を張って(さえぎ)られた。

 これで敵の前衛は随分スッキリしたが、まだまだ残った獣人軍は多い。ただしゴーレムの排出は3匹で止まってくれて、これはレイジーのファインプレー。

 後は守りの兵隊を削って、本隊が守る敵のフロート車を潰すのみ。




 一方の空中戦だが、こちらは何の心配もいらない有り様。応援に来ようとしていた火の鳥群を追い返し、ミケの召喚した雷龍は遊園地の上空で覇を(とな)える。

 空の王者と呼称される、ワイバーンなどミミズ以下の扱い。雷龍から放たれた《刹刃》付きの雷の矢弾は、狙い(たが)わず飛竜を串刺しにして行く。


 それ以下の小さい雑魚敵は、雷のブレスで一網打尽に。この強さと存在感は、まさに覇者を超えて神の域に達している気も。

 そんな訳で、空の安全は家猫(ニャンコ)たった1匹で保たれるのであった。



 そして後衛である……そこは現在かなりなカオス度で、今まで忘れ去られていたヒバリは怒り心頭。昨日はあんなに主役だったのに、今回の探索では名前さえ呼ばれない始末。

 しかも新入りの異界の迷子が、勝手にキル数を伸ばして存在感を示しているのだ。これが怒らずにいられようか、そんな訳で仔グリフォンは己の見せ場を作るために動き始める。


 姫香(ママ)からは、今日は危ないから後衛で大人しくねとは言われている。ただしヒバリは見てしまった、あの異界の剣を手に末妹(ヘタっぴ)が活躍している所を!

 アレを奪えば、自分も大活躍が見込める筈。そう目論(もくろ)んだヤンチャ娘は、隙を見て香多奈からエルヴィスを奪い取る事に成功した。

 そしてすかさず、少しだけ『巨大化』して(くちばし)を使っての剣士ごっこ。


「あっ、ヒバリのおバカッ……アンタに扱えるわけないでしょ、返してっ!」


 そんな香多奈の言葉を無視して、仔グリフォンはやって来る敵を見据えて戦闘態勢。ちなみに向こうのラプトル騎兵は、現在は紗良の妙案で《氷雪》によって動きが随分と鈍っていた。

 今回は魔法をぶっ放すのではなく、一定範囲に留まるように“配置”してみたのだが、これが案外と上手く行った。その寒冷地帯に突っ込んで来たラプトル騎兵は、総じてダメージを受けて弱って行く。


 そこにヤンチャ娘の斬撃飛ばしが、何故かモノの見事に炸裂した。空気を読んだエルヴィスが、ヒバリのMPと理力を根こそぎ奪って協力した結果も多分にある。

 最後に見せ場を作ったヒバリは、幾らかのキル数を伸ばして結果的にぶっ倒れる流れに。MP枯渇で倒れた仔グリフォンは、慌てた長女に無事確保される。


 そこからは、終始優位を渡さずに来栖家チームは戦闘を進めて行く。あれだけ騒がしかったパレードも、キャストが段々と減って行ってやがて静かに。

 遊園地に響くBGMも、戦いが終わる頃には物悲しい感じにシフトチェンジ。割と長く感じた新造ダンジョンの探索も、あと一押しで終わりそう。

 ダウンしたヒバリも、これには恐らく満足しただろう。





 ――遊園地のアトラクションも、存分に楽しめてめでたし?







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