第5章 生命の池奪還会議と宣戦布告
ルピタ達は話し合いをするための部屋でイスに座り生命の池を取り戻す術を模索していたのだが、突然ドアが激しく叩かれラウスがスッと近づいてドアを開けると、一人のエルフが一礼して部屋へ入ると慌てながら女王に一通の手紙を渡すと、
「さ、先ほど黒い鳥がこの手紙をくちばしに咥えて飛んできてこの手紙を必ず女王陛下にとどけよと……」
と言って差し出し女王が受け取ると先ほど手紙を持って来たエルフが突然倒れ水のようになり蒸発していくと、驚いて立ち上がるルピタ達を制し女王は手紙を開くと声に出して読み出し内容は、
『下等なる全種族へ告げる、お前たちの世界は我等が魔界におられる上級悪魔リタ様のものとなる! 下劣でバカな者どもはこの俺様が直々に滅してやる、覚悟を決めておくことだ!』
そう書かれていて全てを読み終えた女王は震えながら手紙を握り潰すと、
「そんなことはさせません! 絶対に……!!」
と怒りのこもった表情を浮かべて言った後深呼吸をしてから落ち着いたようにルピタ達の方へ振り向くといつもの微笑みに戻し、
「さぁ、一刻も早くこの愚かな悪魔を退治しなければ種族が滅ぼされてしまいます、武器は我々が丹精を込めて皆さんに合うものを作っておきましたのでそれを使ってください、今から武器庫へ案内させていただきますね」
そう言って部屋を出てルピタ達もついて行くと長い廊下の先に隠し扉がありそこから地下へと続く階段を降りると、大きくそびえ立つ扉に行き当たり女王が魔法で開けると中には様々な種類の武器が所狭しと置いてあり、呆然と立ち尽くすルピタ達に女王が悪戯っぽく笑いながら、
「この武器たちはわたくし達が何十年もかけて魔法を使い作り上げたものです、あなた達の武器はあの奥にある祭壇に置いてありますよ」
と言って案内されついて行くと祭壇の前には黒い髪を短く切って神官のローブを着た青年が立っていて、彼は微笑みながら女王の前に跪くと恭しく一礼してから、
「祈りの魔法は整えてあります、いつでも使える状態です」
そう言うと横にずれて武器を一行に見せるとその武器は淡く光っていて、驚いて言葉を失うルピタ達に青年は笑顔を浮かべて、
「この光はじきに消えますが魔法は残ります、陽の光を司る神からいただいた魔力ですので全ての魔を弾きます」
と言ってから一人ずつ武器を渡し使い方などの説明をした後ラウスに目をやり心配そうな面持ちで、
「兄さん、今回も無事に戻って来て下さいね……信じていますから」
そう言うとユレイヤに目を移してから次は真剣な顔で、
「くれぐれもユレイヤ様を傷つけないように!」
とラウスの左腕に触れて言ってから後ろに振り返り神殿に戻る青年を見送っていると、ユレイヤが突然噴出してから笑いだしたので困惑するラウスの肩に腕を置いて彼は、
「兄弟そろって本当に心配症だな」
そう言うと慌てているルピタ達を連れて女王も出て行くのでラウスは左腕を見つめてからついて行き、武器庫を出た一行はそれぞれの武器を持って用意された各部屋に入って明日から始まる旅に向けて眠りにつき、翌朝早くに目を覚まし朝食を取って支度を済ませた一行は武器を身に帯びてエルフ王家の屋敷を出て森の中を歩いていると、目の前にまたキツネが現れルピタ達はその獣が通り過ぎるのを待ってからまた歩き進め、森を抜けてからも歩き続け夕方ごろに野宿をするために支度をして食事を取ってから焚き火を囲んで眠りに着いたルピタは、夢の中でギルバートに会っていて彼は微笑みながら、
(また会えたね、エルフの王と旅へ出てどう? 何か困った事は無い?)
と尋ねられたのでルピタは少し考えてから笑顔で、
(大丈夫です、ユレイヤさんもラウスさんもすごく優しいから、とても楽しいです!)
ガッツポーズをしながらそう言うとギルバートは安心したように微笑み、
(良かった……でもこの先は気を付けてくれ、あの悪魔は見た目より頭がいいから仲間と協力して倒して欲しい)
そう言ってから間をおいて、
(君は早く覚醒しないといけないね、種族の為に、それに……僕達のために)
と意味深な事を言われたので聞き返そうと口を開いた途端目が覚め、起き上がって考えていると横で寝ていたアーヴィンが目を覚まし目をこすりながら、
「どうしたんだ? まだ朝には早すぎるぞ……? もう少し寝ないと歩くとき辛いから寝ろよ?」
そう言われたルピタは不安な気持ちを持ちつつも返事をしてまた眠りにつき、翌朝目覚めた一行は簡単な朝食を取ってから支度をして歩き出し、何度か休憩を挟んで進んだのち夕方に人間が住む大きな集落の《ラーナスの街》へたどり着き、門を入った一行は驚愕の表情で立ち止まり辺りを見回していた。




