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真・恋姫†無双~三人の御使い~  作者: 泣き虫
閑話
22/35

二話(呉)「貞操の危機」

薫「穏さん、少し休憩しましょうか。川で顔を洗って、落ち着いてきてください」


穏「は、はいぃ・・・あふぅ」


今日は外で穏さんの特訓を実施した。

もし、興奮して火照ってきたときに川が近くにあるから冷やせるのと、一目につかないから外の方が周りの目を気にせず、集中できる。


穏「はぁ、はぁ、はぁ」


息遣いが荒く足元がおぼつかない。

これでも進展した方だ。初めて穏さんの性癖に直面したときなんて大変だった。

そう、孫権さん達に自己紹介をした翌日───













薫「そ、孫策さん? どこに行くんですか?」


雪蓮「真名で呼んでって昨日言ったでしょ。じゃないと、答えてあげないわよ」


薫「じゃあ雪蓮さん。一体、どこへ連れて行こうとしているんですか?」


雪蓮「ひ・み・つ」


薫「結局、教えないんですか!?」


雪蓮「何言ってるの? 私は"答えてあげないわよ"って言ったの。教えるなんて言ってないわ」


そういう事を言うんですか・・・。


雪蓮「まぁ、教えなくてももう着いたわ」


薫「・・・倉?」


雪蓮「そうよ。せっかくこの世界に来たんだから、勉強しなきゃ」


薫「でも、僕は字が読めないんですが」


雪蓮「安心して。適役の先生を用意したわ。さっ、入って入って」


薫「わ、分かりましたから押さないでください。はぁ・・・」


倉の中は暗く、要所要所でロウソクの火が灯っている。


雪蓮「では、ごゆっくり~」

[ギィイ]


薫「え? 雪蓮さん? 何で閉めてるんですか!?」


扉が完全に閉ざされると、引っ掛け棒がかけられる音が聞こえた。


薫「雪蓮さん? 雪蓮さんっ!?」


ドンドンっと扉を叩いても反応がない。

閉じ込められた・・・けど、一体どうしてそんなことを?


?「はぁ、はぁ、はぁ・・・」


薫「ん? 誰かいるんですかぁ?」


荒い息遣いを辿って、倉の奥の方に歩いていく。

声からして女の人・・・もしかして、雪蓮さんが言っていた先生なのかも。

本棚から顔だけ出して覗くと、携帯用の燭台を机に置いて、本を読み耽っている人物がいた。


薫(あれは、陸遜さんだよね・・・)


そう思っていると、ガタっと陸遜さんの身体が震えた。

ガクッブルブルッと只ことではない様子で、僕は耐え切れず声をかける。


薫「あ、あの・・・大丈夫ですか?」


穏[ピクッ]

 「はぁ、え? あ、南条、さん・・・お待ち、しておりましたぁ。はぁ、はぁ」


薫「え、ええ。えっと、本当に大丈夫ですか? 体調が悪いんじゃ」


穏「だいじょうぶですぅ。いつもどおりですからぁ」


呂律が回ってない。お酒が入ってるわけではないよね。

「では始めましょう~」と、隣の席に座れとジェスチャーされた。


穏「じゃあ、まずは歴史からお教えしますわねぇ」


薫「あ、あの、近いです」


穏「え~、近づかないとお互い見れないですよ~」


いや僕、字が読めないんですけど、と言おうと思った手前、ふぅっと耳に息が吹きかけられた。


薫「ひゃっ!?」


穏「ふふふっ、可愛い反応ですねぇ~。もっと虐めたくなっちゃいますぅ」


顎を撫でられ、片脚が僕の膝に乗ってきた。

密着度が増して、甘い匂いと柔らかい感触が意識を朦朧とさせる。

危機を感じた僕は、「ごめんなさい!」と陸遜さんを押しのけて、席から立ち上がった。


穏「やんっ!」


薫(こ、この人危険だ・・・逃げないと)


穏「えへへ~、待ってくださいよぉ」


薫「こ、来ないでください!」


にじり寄ってくる陸遜さんに背を向けて、出口に走り出す。

だが、出口は固く閉ざされている。


薫「雪蓮さん! いるなら開けてください! 雪蓮さん! 雪蓮さんっ!?」


体当たりをして開けようと思っても、まったく開く気配がない。

その間にも、陸遜さんが頬を高揚させて迫ってくる。


穏「なんじょうさ~ん」


薫「ひっ!」


後ろを向けば、すでに陸遜さんは僕の目の前にいた。

薄暗い室内も相まって、陸遜さんがまるで狂人に見える。


穏「わたしぃ、なんじょうさんがくるってことで、た~くさん よしゅうしたんですよぉ」


ガシッと両手を取られ、陸遜さんの胸元まで持っていかれる。


薫「あ、ありがとう、ございます」


穏「? どうしたんですかぁ? ふるえていますよぉ」


あなたのせいですよっ!


穏「小動物みたいでかわいいですねぇ・・・ぺろっ」


薫「っ!?!?」


ほっぺを舐められた。

脳裏に戦慄が走った・・・やばい食われる!


薫「っ───」


穏「にがしませんよぉ!」


もう一回、陸遜さんから離れるために手を振り払おうとしたが、今度は逃げられなかった。

体勢を崩して床に倒れ込み、僕は陸遜さんの下敷きになる。


穏「あはっ! もうにがしませんよぉ」


薫「ぁ・・・た、」


怖い・・・この人怖いよ・・・!

誰でもいいから───


薫「助けてくださいっ!!」


雪蓮「はーい、そこまで」

  [ドンッ]


穏「ひぅっ───」


雪蓮さんの救いの声が聞こえたと思ったら、陸遜さんの身体から力が抜けて、気絶した。

気付けば、僕たちの横に雪蓮さんがしゃがみこんでいた。


雪蓮「助けに来たわよ、薫」


薫「・・・」


陸遜さんを丁寧にどけて、上体を起こした。

そして雪蓮さんを見据えて、涙ながらに言い放った。


薫「全部、あなたのせいでしょうが!」










 [ブルッ]

薫「思い出すと、まだ震えが・・・そういえば、穏さん遅い───


穏[ブクブクブクブクッ]


薫「わあああ!? 穏さん!?」


川に顔を突っ込んだまま、興奮しすぎて気絶した穏さんを引きずり出す。

今日も、平和な一日です。

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