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真・恋姫†無双~三人の御使い~  作者: 泣き虫
呉編
17/35

第四話「千尋の谷へ突き落としてこそ、子は成長する」

魏編第三話、訂正しました。

この時代、普通にガラスは存在してました。申し訳ございません。

雪蓮SIDE


雪蓮「明命に穏・・・今のところ残すのは、蓮華と思春ね」


冥林「案外早かったな。いや、南条の人柄ゆえか」


雪蓮「果たして蓮華と思春にその人柄が通用するかな? 見ものよね!」


冥林「雪蓮、あまり南条でからかうな。ああ見えて根に持つぞ、あいつは」


雪蓮「へ~。冥林もなんだかんだで薫のこと見てるのね」


冥林「ああ見てるとも。この前、お前が城の秘蔵の酒を盗み出したことを、こっそり教えてくれたからな」


雪蓮「ぇ・・・ナンノコト?」


冥林「私はただ世間話をするために、お前の部屋に尋ねてきたわけではない・・・分かるな、雪蓮?」


雪蓮「・・・はい。ごめんなさい」






祭「おい、南条! はよう酌をせんか!」


薫「ちょ、ちょっと祭さん、急に呼び出したかと思えば、これですか・・・」


読み書きの特訓で絵本を呼んでいる最中だったのに。

祭さんは酒瓶片手に僕の手を引いて、城近くで梅が点々と咲くところに連れてこられた。

どうやら、祭さんの隠れスポットらしい。


薫「祭さん、警邏の担当じゃありませんでしたか?


祭「そんなもん酒を飲んでいてもやれる」


薫「いや、明らかにやってませんよね! サボってますよね!」


祭「うるさいのう。細かいことを気になる男は、嫌われるぞ」


薫「細かいとかじゃなくて───はぁ、冥林さんに怒られても知りませんよ」


祭「ハッ! 儂はその冥林に手ほどきをしてやったことがある。その儂が冥林を恐れるわけあるまい」


本当かな・・・と思いつつ、祭さんが持つおちょこに酒を注ぐ。

匂いでわかる。これ、めちゃくちゃ強い酒だ。

それを飲み干して、二杯、三杯・・・と飲み続ける祭さんは、雪蓮さんにならぶ酒豪だということを再認識した。


祭「どうじゃ、南条。ここの生活にも慣れたか?」


薫「まだまだです。ただ、やっていける自信はついてきています」


祭「そうかそうか、それは何よりじゃ・・・もう誰か抱いたか?」


薫「ブッ!? きゅ、急に何を言うんですかっ!?」


祭「なんじゃ、まだなのか。穏とよく二人っきりになっていると聞いておったから、もうやったのかと」


薫「違います! 穏さんとは特訓してるんです!」


祭「特訓じゃと? あー、あれか。それなのにやっていないとは、それでもお主は男か?」


祭さんのお酒の進みが早くなり、僕はため息をつきながら注ぎ続ける。


祭「穏は少々癖があるが、良い女だと思うんじゃが。何か不満でもあるのか?」


薫「いや、不満とかじゃなくて・・・お互いの気持ちが大切というか」


祭「気の小さい男じゃの。まぁ、策殿は強引な行為に反対しておったし、お主の好きにせい」


だったら、最初から変なこと言わないでほしかった・・・。

いつの間にか酒も底をつき、祭さんは芝生の上に寝転がった。


祭「ふぅ」


薫「ふぅじゃないですよ! 警邏はどうするんですか、警邏は!?」


ふて寝を決め込もうとする祭さんの肩を揺する。

だが、寝返りを打って逃げようとする。僕は意地になって強めに肩を揺すったら、


祭「ええい、しつこい!」


薫「ぃっ!?」


ゲンコツを喰らった。

頭蓋骨が割れるぐらいの力だ・・・。


祭「せっかく心地よかったのに台無しじゃ」


薫「祭さんがサボろうとするからでしょう・・・いてて。どうしてそんなに警邏に出たくないんですか? 城下町に行けない理由が?」


祭「むぅ・・・」


薫「はぁ、分かりました。もう諦めます」


頑なに動こうとしない祭さんの横に、僕も寝転んで空を見上げる。

梅の花の隙間から見える空は、僕がいた世界と変わらない。


薫「祭さん」


祭「なんじゃ?」


薫「また戦いに行くんですよね」


祭「そうじゃ。呉の繁栄のためにな。まだ受け入れられんか」


薫「ええ、まぁ」


黄巾の乱の際、一緒に戦場へ行くかと誘われたが、僕は断った。

部屋から、ボロボロになって帰ってきた兵士の姿を直視できなかった僕が、本物の戦争を見たら正気を保てないと思ったからだ。

まだこの世界と向き合えていない。


祭「いずれお主は、策殿と並んで先頭に立たねばならん。今はその時ではないがな」


薫「・・・」


祭「はぁ、辛気臭い顔をするな」


黙ってしまった僕を見下ろすように、祭さんは上体を起こした。


祭「よし。儂が鍛えてやろう!」


薫「はい? 急にどうしたんですか?」


祭「策殿と並ぶためには南条は軟弱すぎる。来るべき時まで儂が面倒を見てやろうと言うのだ。ほら行くぞ!」


薫「え? い、今からですか!?」


祭「当たり前じゃ! 穏のこともあるだろうが、みっちり叩き込んでやるからな」


薫「ひ、引っ張らないでくださいっ! 自分で歩けますからぁ!」








蓮華SIDE


蓮華「祭が!?」


思春「はい。あの者を連れて、城から出ました。おそらく"あの森"に向かったのかと」


蓮華「この事を冥林は───知らないわよね。絶対止めているはずだもの」


思春「どうされますか? 祭様のことなのでヘマをすることはないかと思いますが」


蓮華「そうね・・・私、少し様子を見に行くわ」


思春「ならば、私も一緒に───


蓮華「様子を見に行くだけだから、私一人で大丈夫。それに思春はこのあと任務があるでしょ?」


思春「そうですが・・・」


蓮華「私だって"あの森"で母様に鍛えられたから。安心して」


思春「・・・分かりました。では、雪蓮様に報告があるので失礼します」


蓮華「ええ、ありがとう」


さて、急いで準備をしないと見失ってしまう。

祭のことだからどうせ───










薫「うわぁあああっ!?!?」


何も告げられずに外に連れてこられた僕は、たった今、祭さんに崖から落とされた。

下が茂みでなければ、確実に死んでいた・・・。


薫「な、何をするんですか!? 殺す気ですかぁ!」


祭「この程度で死んだら、この先乗り越えられんぞ! 日没前には迎えにくる」


薫「ちょっと待ってください! これから僕は何をすれば・・・行っちゃった」


儂が鍛えてやる、とか言ってたくせに。

まさか、ライオンの子離れみたいなことさせられるなんて。


[ぐぅぅ・・・]

薫「お腹すいた」


とりあえず、何か食べれそうなものと休める場所を探さないと。


[・・・]


薫「っ!?」


一歩踏み出したところで、鋭い視線に気付く。

おそるおそる後ろを振り向くと、そこには1頭のクマが・・・


薫(あっ、死んだかも・・・)

訂正がございましたので、早めの投稿となりました。

ストックの余裕があるので、明後日の月曜日には通常通り投稿しようと思っております。

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