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真・恋姫†無双~三人の御使い~  作者: 泣き虫
魏編
13/35

第七話「東 圭吾の観察」

華琳SIDE


桂花「───あの村周辺にあった賊の根城は全て排除しました。これで報告は以上になります」


桂花の報告を最後に、軍議はここで終了した。

春蘭、秋蘭、桂花だけが大広間に残り、"今日の本題"に入る。

桂花だけが長机に座り続け、春蘭と秋蘭は私の横についている。


華琳「それで、あの者について分かったことはあったかしら?」


私が言うと、桂花はあからさまに嫌そうな顔をする。

筋金入りの男嫌いだけど、私には関係ないわ。


桂花「特に変わった行動は・・・」


華琳「報告によると、あなたの防衛網を突破して脱獄したらしいけど、その事について何かある?」


桂花「あれは兵の男共が無能で───


華琳「言い訳無用。素直に感じたことを述べろと、私は聞いているの」


桂花「も、申し訳ありません」


桂花は脱獄された状況を事細かく教えてくれた。

確かに最後の方は桂花側の失態だが、あの者の行動力、瞬発力は評価できる。


華琳「んー・・・春蘭」


春蘭「は、はい!?」


横に控えていた春蘭は、まさか自分が呼ばれるとは思ってもなかったのだろう。

きょとんとしている様子は、昔から変わっていない。


華琳「あのアズマという人物は、この先"脅威"になると思うかしら?」


桂花「華琳様!? アレがそんな───」


華琳「私は春蘭に聞いているのよ」


桂花「ですが、その脳筋が華琳様の質問に答えられる能力はありません!」


春蘭「おい桂花! いくら私でも華琳様の質問には答えられるぞ! 私には親から授かった口も舌もあるんだからな!」


桂花の言葉の意味を正確に汲み取れないのが春蘭である。

桂花は馬鹿馬鹿しくなったのか、呆れて席に座った。


華琳「それで、どう思うかしら?」


春蘭「華琳様に無礼をはたらいた者など、驚異になどなりません」


華琳「その心は?」


春蘭「私が叩き斬るからです」


「「「・・・」」」


至極単純で明快な答えに、私達は黙った。

いや、予想は出来ていたから別に幻滅したわけではない。


華琳「そうね。春蘭の言う通りだわ・・・それじゃあ、秋蘭はどう思うかしら?」


秋蘭「・・・"武"に関しては、姉者の言う通り脅威にならないかと」


桂花「武に関してはってどういう意味よ。他の面だと、驚異になるっていうの? あの家畜以下が?」


華琳「桂花、あなたの男嫌いは理解しているけど、少し抑えててくれるかしら。落ち着きのない子は、嫌いよ」


桂花「っ!?!? も、申し訳ありません!」


必死に謝る姿・・・ぞくっと快感を得たが、今はそれに酔っている場合ではない。


華琳「秋蘭、説明をお願いできるかしら?」


秋蘭「私自身はその者と直接関わっていませんが、先ほど軍に引き入れた凪、真桜、沙和から、彼について詳しく聞きました。口の利き方が乱暴、多少の武術の心得、発想力、そして子供ために動く勇気・・・彼の評価はかなり高いものです。もしそれが狙ってやったのなら問題はないと思いますが・・・」


華琳「もし、それがあの者の本質だと、脅威になると?」


秋蘭「今は何とも・・・しかし、華琳様の覇道の妨げになるかもしれません。彼には人を惹き付ける何かがあるかと」


華林「そう・・・なら、試してみましょうか。桂花は下がっていいわ」


桂花「ハ、ハッ」


桂花を下がらせる。

ここに彼女がいたら、話が進みそうにないからだ。


華林「春蘭、季衣と流琉をつれてきてちょうだい」


春蘭「御意」


華林「秋蘭は、あの者をここに。せっかくだし、自分の目で彼を観察してきなさい」


秋蘭「御意」


誰もいなくなった大広間で、私は組んでいた足を解いて背もたれに寄りかかった。

私の手にある紙には、劉備のもとにいた北郷という人物が着ていた服が描かれている。


華林(桂花の報告通りなら、この服を彼は知っている。となれば・・・)


東 圭吾は″天の国″の住人だ。

階級があるとすれば、下位にあたる人間であることは間違いない。


華林「でも、脱獄といい、村での評判といい・・・案外、ハズレじゃないかもしれないわね」


秋蘭「華林様、お連れしました。ん? 何をボサッとしているんだ? 早く入れ」


圭吾「・・・へいへい」


会った時から変わらない生意気な返事。

だが、牢生活が長いはずなのに、その目から力が衰えてないのは、私としては喜ばしいことだった。

その図太さは高評価だわ。


華林「久々ね。ご機嫌いかが?」


圭吾「良いわけねぇだろ」


秋蘭「おい、華林様にその言い方───


華林「秋蘭、別に構わないわ。それぐらいの馬鹿でなければ、ここで首を刎ねるつもりだったから」


圭吾「ったく、ぶっ飛んだ考え方してるな。お前、友達とかいないだろ」


華林「必要ないもの。私には、可愛い部下がいれば充分。あなただって、とても友好的には見えないけど」


圭吾「うっせぇ・・・んで、俺をここに呼んだわけは? 縄も外してもらえたから、このまま牢生活から卒業したいんだが」


華林「そういう訳にもいかない。あなたの寝床は変わらず牢屋よ」


圭吾「ちっ・・・確かに俺が悪かったけどよ」


華林「あら? 自覚があったのね・・・じゃあ、その清算のために働いてもらおうかしら」


圭吾「あ?」


秋蘭「華林様?」


華林「東 圭吾。あなたは、囚人から警備隊に昇格よ」


圭吾「っざけんなよ。牢生活が変わらないのに、そのうえ働けだぁ!?」


華林「別に断ってもいいわよ。その代り、朝昼晩と私の可愛い部下からエサをもらい続けることになるけど」


圭吾「てめぇ・・・それが面白いから、俺をずっと牢に入れてんな?」


華林「さぁ?」


圭吾「・・・それを受ければ、少なくても飯はまともになんのか?」


華林「(桂花の嫌がらせが一番堪えてるみたいね・・・)ええ。しかも、うちの料理人の腕は一級品よ。悪くない条件でしょ?」


圭吾「ああ、分かった」


もっと渋ると思ってたけど、案外簡単に引き受けてくれた。


華林「ちなみに言っておくけど、あなたの役職は警備隊隊長よ。他にも頼みたい仕事が山ほど───


圭吾「待て待て待て! 隊長だと? 良いのか、それで?」


華林「ええ、私が決めたことだもの」


即座に答えると、彼は押し黙ってしまった。

まぁ拒否権はないし、彼の行動力と天の知識を評価してやってもらいたいこともある・・・それは追々言うとしよう。


華林「それじゃあ、よろしくね、アズマ」


圭吾「へいへい、大将さんよ」


目を合わせないで答えたアズマからは、警戒がひしひしと伝わってくる。

それでいい。私もアズマを信用していないから。


春蘭「華林様! 季衣と流琉を連れてまいりました!」


華林「丁度いいわね。しばらく、あなたの補佐する二人で、名は───」


流琉「あっ!」


季衣「あの時の兄ちゃん!?」


季衣と流琉はアズマに駆け寄っていく。


圭吾「お! ちゃんと仲直りしたか、お前ら?」


季衣「流琉とはいつでも仲良しだよ!」


流琉「この前はありがとうございました!」


突然、和やかな空気になって私達は固まってしまった。

生意気なアズマしか見覚えがないため、柔らかい笑顔を浮かべているアズマは薄気味悪い。


春蘭「季衣、流琉! その男から離れろっ!」


季衣「? 春蘭様?」


流琉「どうしてですか?」


春蘭「その男は───


華琳「春蘭!」


私は咄嗟に彼が囚人という事実を、二人に伝えてはいけないと思った。

一応、彼が天の御使いだということも。


春蘭「か、華琳様・・・?」


どうして一喝されたのか分からない春蘭を、秋蘭に目配せで指示して下がらせる。

秋蘭がちゃんと私の意図を説明してくれるだろう。


流琉「それで華琳様、どうしてこの方がここに?」


季衣「確か、悪い雇い主さんから逃げてきたって」


華琳「悪い雇い主、ねぇ・・・」


圭吾「言っとくがおめぇじゃねぇぞ。あのアマの事だからな」


華琳「はいはい・・・季衣、流琉、彼の名はアズマ。今日から警備隊隊長に就任したわ。それでしばらくの間、彼を補佐してちょうだい」


流琉「補佐・・・ですか?」


華琳「季衣もよろしくね」


季衣「わかりました! なら、最初は・・・何がいい、兄ちゃん?」


圭吾「何って言われてもなぁ。じゃあ城ん中、案内してくれるか? よく分からんからさ」


季衣「分かった! ついて来て!」


流琉「ちょっと季衣! そ、それでは失礼します、華琳様!」


季衣がアズマの手を引いて、流琉がそれを追っていく。

まるで父親と娘ね・・・。


華琳「さて、秋蘭の言う通り、彼に惹きつける力があるなら見せてみなさい」


東 圭吾の観察はまだ終わらない。

これで魏章終了となり、次回は呉章となります。

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