第44回配信「研究都市」
「ラジオの前の皆様、こんにちは
さちです。」
「……ノワよ。」
「お待たせいたしました、ウィッカラジオ本日の放送を始めて行きますよ。」
「最後まで、聴いてくれると、嬉しい……。」
「なお、本日の放送は研究都市ペリミットよりお届けしております。」
「詳細は、この後、現地紹介にて。」
「それにしても、嬉しいのやら悲しいのやら分かりませんが
結局私に面白トークをしてくれってお便りは来ませんでしたね。」
「残念……さちに面白い事をやらせる、大義名分に、なったのに。」
「えぇ、来なくてよかったです……。」
「まぁ、来なくても、結果的には、面白い事を、してもらうのだけど……。」
「ちょっとそれどう言う事ですかー!?」
「さて、それじゃあ、今日の放送も、始めるよ。」
「何か釈然としませんが
ウィッカラジオ、スタートですっ。」
「改めましてこんにちは
ウィッカラジオ、本日は研究都市ペリミットよりお届けしております。」
「まずは……現地紹介から。」
「と、その前にこの街に辿り着くまでの行程ですが
薄々予想してましたが大変でしたね。」
「そう? 特別、大変な道だとは、思わなかったけれど……。」
「やっぱり街道と比べると歩きにくいですし、強くはないとは言え魔物にもしっかり襲われましたし。」
「川沿いに進めばいいから、道に迷わないし、背の高い草や、道まで伸びた木の枝に、道を阻まれることもないし
言うほど、大変だったとは、思わないけど……。」
「まぁ、たしかに一部の本格的な山道とかと比べると遥かに楽ではありましたけど。」
「整備された街道より大変。って言うのは、分からなくもない。」
「とりあえずは次の街に辿り着けただけでもよしとしましょうか。」
「そうね……こうやって、ちゃんと放送できてるだけでも、良い事よ。」
「では、そろそろ現地紹介に移りましょう。」
「研究都市ペリミット、小さな村一つ分ぐらいはありそうな、巨大な施設が大半を占める街。」
「大きな施設ですよね、一体何の施設なのでしょうか?」
「魔動器の研究・開発所。」
「魔道器の研究するのにあんなに大きな施設がいるんですね……。」
「個人用の物ならともかく、工場などで使われるような、大型の魔道器も、あそこで研究されているらしいから。」
「なるほど、大きなものになると作るのも試すのも場所がいりそうですからね。」
「その結果が、このほとんどの面積を、研究施設に使った、この街。」
「ちなみに施設以外のスペースは?」
「施設で働く人や、その家族の、住居等が、メイン。」
「本当にそれに特化してるんですねぇ。」
「まぁ、そのおかげで、私達にとっては、見るもののない、ただの街。」
「あれだけ目立つ施設があるのに見学お断りでしたからね。」
「色々と、参考になるかと思ったのに……残念。」
「参考と言えばノワさんってこのラジオの放送機材以外にも色々魔道器を持ってるんですよね?」
「そうね……とは言え、大量には、持ち歩けないから、ある程度は、処分したけど。」
「せっかくだからどんなのがあるかこの機に紹介して下さいよ。」
「そんなに、面白い物は、ないとは思うけど……。」
「こう言うのが話のネタになったりするんですから、とりあえずやるだけやりましょう。」
「分かった、それじゃあ……深淵の棺とか。」
「名前だけじゃ全く用途が想像付きませんが、どう言う道具なのでしょう?」
「周囲数十メートルに、魔力の力場を展開、内部にいる、魔力への抵抗が少ない生物の、生命力を徐々に削る。」
「……それ、何に使うんでしょう?」
「とりあえず、適当に仕掛けて、テロ的な事も出来れば
建物の中にいる相手などを、外から一方的に、蹂躙する事も、出来る。」
「そんな事する必要性が出てくるシーンが思い浮かばないんですが!?
他にもうちょっと何か良さそうな魔道器はなかったりしないんですか?」
「他……審判の矢、巨大な魔力の矢を撃ち込む、対建造物用の、兵器。」
「だからそう言う使いどころに困るチョイスはいいですから、他には?」
「魔女の聖杯……一人乗りの、戦術兵器。」
「また兵器とか付いちゃってます
嫌な予感はしますが効能の方はどう言った物で?」
「魔力防壁による搭乗者の保護と、魔力の増幅
具体的には……私が乗ると、肉体の脆弱性を無視して、高レベルの冒険者数名に、集中攻撃されても、十数分は耐えれる
それと同時に、殲滅力も、飛躍的に、向上。」
「全部物騒な物ばっかりじゃないですかー
もっと日常で使えるような便利グッズとかないんですか!?」
「日常生活で使う道具の、イメージが沸かなかったから、この放送機材以外で、そう言うのを、意識した事は、ない。」
「この機材も日常で使う物かどうかと聞かれると悩みますし
つまりろくな物が無いって事で結論付けていいですよね?」
「さちが、何を期待していたのかは、知らないけど……たぶん、言ってるような物は、出て来ない。」
「そうでした、ノワさんはこう言う時に若干ずれてるんでした。」
「……まぁ、まだ分からない事が多いのは、否めない。」
「やはりここはノワさんの女子力アップ大作戦を決行しないといけません。」
「ちょっと待った……どうして、そうなった?」
「そりゃ、女子力こそが一般的な女の子の日常生活能力なんですから。」
「つまり、女子力が高いほど、一般的な、女性である。」
「うーん、若干違う気もしますが、とにかく上げておいて損はない能力です。」
「で、肝心の、さちは、どれぐらいあるの?」
「えっ、私ですか? 最低限家事とかは出来ますけど
最近の流行とかには疎いですし、精神的にもまだまだなところが多いですし……。」
「家事、精神面……話が散らかりすぎて、何を言いたいのかが、よく分からない。」
「とにかく、そう言うのを全部ひっくるめての総合能力が女子力なんです。」
「……多岐に渡りすぎて、概念が曖昧過ぎる
これで高低を問われても、客観的に見て、判断出来ないと思う。」
「えぇ、その辺りは感覚とか勢いです
とりあえず高ければ何となくキラキラして見えるものなんです。」
「つまり、キラキラしているようには、到底見えない、さちは、低いと……。」
「あんまり高くないのは自覚してますが……。」
「よし、それなら、さちが、とりあえず実践してみる……
それで、上昇が、目に見えて分かるようなら、私も、考える。」
「せめてそこは一緒に鍛えてくとかにしましょうよ。」
「実態の分からないものに、使うよりも……用途のある、知識や、技術を、付けた方が、無駄が少ない。」
「最近の流行や女の子らしい立ち居振る舞いを知るのも知識の一環です、一緒です。」
「それが知識の一環である事は、否定しない
……ただ、有用かどうかに、疑問が残る。」
「物事は有用性だけで判断するものじゃないです
無駄知識とかだって偶には役に立ちます。」
「効率だけじゃなく、遊びを持てとは、教わった
……ただ、純然と、興味のないものに、労力を割く、理由はない。」
「えぇ、何かばっさりいかれたー。」
「さて……横道に、それ過ぎたし、そろそろ、この話も、おしまい。」
「私は諦めませんからねー、ノワさんの女子力アップ大作戦へのお便りが来たら
何と言おうと実行しますからね。」
「大丈夫、ただでさえ少ない、お便りの中に、そんなものが、入って来る確率は、ほぼないと思ってる。」
「と言うわけで視聴者の皆様、どうか力を貸して下さい
と、言うところで現地紹介は締めましょうか。」
「何か、半分以上、現地と関係なかった、気がする。」
「さて、そんなこんな喋ってる間にお時間が来てしまいました。」
「じゃあ、今後の予定を、決めようか?」
「はい。向かう先は決まってるんでしょうか?」
「ここからは、次の街道を通って、学書都市リブリアへ、向かう。」
「おぉ、何か期待できる名前の街ですね。」
「技術研究の最先端、様々な、知識が、集う街
得るものは、多そうね。」
「そうですね。これは今からでもわくわくが止まりませんし
場合によっては数日滞在してもいいかもしれないぐらいですね。」
「それは、状況と、得られるもの次第ね。」
「何にせよ、次はその学書都市からのお届けとなりますので、現地について気になる事とかあったらどんどん送って下さい。」
「ついでに、それ以外の、お便りも、随時募集。」
「現在募集強化中のお題は
今年になって自分のここを変えたい場所
冒険の疲れを取るための視聴者さんお勧めの方法
ノワさんの女子力をどうやって上げたら良いか
の、3つとなっております。」
「それ以外の、感想や、番組への要望も、送ってくれると、嬉しい。」
「楽しみに待ってますねー。」
「さて、今日も、お疲れ様。」
「ノワさんもお疲れ様です
そしてここまで聴いて下さった視聴者の皆様もありがとうございます。」
「今日は、よく分からない、話で、終わってしまったけど
また、聴いてくれると、嬉しい。」
「かなり脱線してしまいましたからね……。」
「それじゃあ、また、次回、お楽しみに。」
「はい、次回の放送で会いましょう
お相手はさちと。」
「……ノワでした。」
「さぁ、次の街に向けてどんどん歩きますよー。」
「……またね。」




