第13回配信「玄関の港」
「ラジオの前の皆様、こんにちは
さちです。」
「・・・・・・ノワよ。」
「これより、ウィッカラジオの放送を始めたいと思います
今回も最後までお付き合いのほどよろしくお願いします。」
「今回は・・・・・・玄関の港エラントスから、放送中。」
「無事に大陸まで戻って来ましたね。」
「島の方まで、回った収穫は、あった。」
「そうですね。回ったのは3箇所ですが
どこも特徴的でしたし船旅も楽しかったです。」
「そのわりに、最後の方は、船酔いだった。」
「仕方ないじゃないですか、あんなに揺れたら誰だって酔いますよ。」
「気持ちは分からなくもない・・・・・・私も、陸に上がった直後は、ふらふらしてた。」
「まぁ、それも含めて貴重な経験だったとしましょう。」
「何事も経験・・・・・・と言うのは、一理ある。」
「ではでは、ちょっとふらふらな私たちですが
本日もウィッカラジオ、張り切ってスタートですっ。」
「あらためましてこんにちは
本日は玄関の港エラントスから放送しております。」
「通例の、現地紹介から・・・・・・。」
「はい。この港町は大陸にいくつかある港町の中でも
最も大陸中央部に近く、各地域への交通の便もいい街です。」
「以前寄った、水運都市も、大概交通の便は良かったけど。」
「あそこはかなり大陸の北寄りになりますので
南部へ出るには不便でしたが
ここは中央ですから北部へも南部へもどちらへも出やすくなっております。」
「なるほど、かなり立地がいいのね。」
「さらに言いますと、私たちが通って来たような小島の国や
別の大陸からも船で来やすい立地となっております。」
「それで、この大陸の最初に訪れる人が多いから、玄関なのね。」
「そうですね
陸路で好きな方面に向かうもよし、海路で北部や南部の港を目指すもよし
まさにこの大陸の足がかりとしていい街となっています。」
「それだけの立地だから、他の港町の例に漏れず、交易が盛ん。」
「とは言えここからさらに別の街や大陸へ持って行かれるものが多いので
この街での消費量自体はそこまで多くないようです。」
「それでも、露天が結構多かったように思えたけど・・・・・・。」
「商人さんたちは荷物の積み替えが主になりますが
立地の良さから私たちみたいな冒険者になりますと
拠点として使う人も多いようですね。」
「職業が変われば用途も変わる・・・・・・当然の事だったね。」
「ですから冒険者向けの荷物や装備品などを売ってる商人さんは
交易とは関係なくこの街に沢山いるようです。」
「それに、自分たちで手に入れた素材や道具を売る、冒険者が集まれば
必然的に露店は多くなるわね。」
「私たちもこれからの旅に必要そうな荷物を手に入れないとですね。」
「最低限は既に持っているから、消耗品の補充ぐらいよ。」
「せっかく色々売ってるから見てると欲しくなるじゃないですか。」
「じゃあ・・・・・・見なかったらいい。」
「立ち寄った街の観光は楽しみなんですから取らないで下さい。」
「他に、観光名所とかは、ないの?」
「そうですね、通称異国通りと呼ばれる
別の大陸から渡って来た人たちの住む区画が有名ですね。」
「居住区? 観光には向かなさそう・・・・・・。」
「別の大陸の様式で建てられた建物が沢山あって
ついでに向こうの郷土料理や民芸品なんかのお店も多くて
そこだけ別の街みたいだとか。」
「それはたしかに、面白そう。」
「後は街のすぐ側の丘に、港を一望できる絶景の公園があるとか。」
「この季節だと、海風が寒いし、そもそも潮でべたつきそう。」
「どうせノワさんはそう言うの魔法で防げるからいいじゃないですか。」
「客観的な、感想・・・・・・たしかに防ぐから、意味は無いけど。」
「と言うか丘に登らなくても結構潮風が吹くので
既に服とか髪がなんとなくべたついてる感じがするんですよね。」
「さちは、髪も長いし、その服の袖丈も長いから、大変そうね。」
「放送終わったらお風呂と洗濯と念入りにやっておきます。」
「そもそも、その無駄にひらひらした袖、邪魔じゃないの?」
「えぇ、可愛いからいいんです。」
「・・・・・・。」
「何ですかその目は?
普段から使うものだから実用性重視じゃなくてもいいじゃないですか。」
「むしろ、普段使うものこそ、実用性が重要な気が・・・・・・。」
「私は効率バツ、趣味に走ってこその環境で生きて来ましたから。」
「まぁ、本人が気にしないなら、それでいいけど・・・・・・。」
「気にしないので次に行きましょう、次です。」
「それじゃあ、現地紹介は、一旦終わるね。」
「さて、今日は放送時間がまだまだありますし、前回のリベンジですか?」
「いや、前の話から引き継いで・・・・・・。」
「何かありましたっけ?」
「さちの、容姿とかに、触れてみたい。」
「えぇ、最初に自己紹介の時にラジオだと伝わりにくいとか言ってましたよね?」
「そうだけど、話に出たついでに、リスナーにもイメージを掴んでもらいやすいように、と。」
「とは言え、どう説明したらいいのでしょう?」
「まず背格好・・・・・・これは、比較対象が無いから、説明できないわね。」
「ノワさんよりは背が高いですけど、そもそもノワさんがかなり小柄ですからね。」
「ちなみに、横幅は、同じぐらい。」
「インドア派ですから一般の冒険者さんとかからするとかなり細い部類だと思います。」
「服装は、何度か話題に出てたけど、大体和装に分類されるもの。」
「えぇ、和服の上衣に、下は袴か以前買った鳥籠スカートを合わせる感じですね。」
「ちなみに上衣は、さっきも出た通り、謎の袖丈。」
「と言うか和服ってそう言うものじゃないんですか?
替えの服も何着かありますけど、どれも袖がひらひらしてますし。」
「服の種類については、詳しくないから、分からない。」
「じゃあ、もうこれが和服の基本設計って事で。」
「ちなみに、全体のイメージカラーは、白や青がメイン。」
「元々青白い人魂みたいなのだったから
自分の色ってなるとやっぱりそっち系になりますね。」
「髪の毛も、その名残か、青白いね。」
「えぇ、ついでに肌も普通の人間より色白ですよ。」
「その青白い髪は、腰ぐらいまで伸ばしてある。」
「顔の横に小さく三つ編みを作るのがチャームポイントです。」
「じーっ・・・・・・。」
「はい? そんなに覗き込んで、何でしょうか?」
「金色の目・・・・・・しかも釣り目気味。」
「そんなところまで・・・・・・。」
「装飾品の類は、あまり付けないのね。」
「三つ編み部分が解けないように結んでるリボンぐらいですかね
まぁ、そっちまで手が出ないって事情もありますけど。」
「まぁ、それぐらいかしら、リスナーも少しはさちの事、分かったかな?」
「実際ラジオじゃ容姿なんて気にしないでしょうからね
伝わって無くても問題なしです。」
「それじゃあ、このコーナーは、ここまで。」
「では、そろそろ次の旅の計画を話しましょうか?」
「そうね・・・・・・当面は当初の予定通りに、南部へ向かうわ。」
「南の方ですか、どんな場所なんでしょうね?」
「・・・・・・まだ、情報はあまり手に入れてないから、詳しいことは分からないけど
暖かい気候が続く土地柄のようね。」
「冬の間はそっちで寒さを乗り切りたいところですね。」
「そのつもりで、向かったわけだし、しばらくは南部を回る事になるわ。」
「一口に南部と言っても広いようですから
一体どんな場所が待っているのか楽しみですね。」
「とりあえず、街道沿いに一番近いのは
赤樫の村クエルカね。」
「どんな場所なのでしょうか?」
「森に囲まれた、静かな村・・・・・・らしい。」
「しばらく海ばっかりでしたしいいですね、森も。」
「まぁ、長雨の島はほとんどが、森だったけど・・・・・・。」
「何にせよ陸路での旅は久しぶりです
頑張って歩きましょう。」
「特に、道中危険な魔物や盗賊などの情報はないから、道程も・・・・・・問題ない。」
「では、次回の放送は赤樫の村クエルカに辿り着いたら行いますね。」
「それまでに・・・・・・感想や、要望、企画などを、待ってる。」
「よろしければ皆様それらも送って下さい
皆様からの感想がとても励みになりますので。」
「それじゃあ、今日はこの辺りで
・・・・・・ここまで聞いてくれて、ありがとう。」
「ノワさんも、聞いて下さった皆様もお疲れ様でした。」
「次回も、聞いてくれたら、嬉しい。」
「それではまたお会いいたしましょう
お相手はさちと。」
「・・・・・・ノワでした。」
「それでは次回もお楽しみに。」
「・・・・・・またね。」




