LAST MAIL 運命の赤い糸
――あれから二年が経つ。
高校を無事卒業し、僕は今ホテルの厨房で働いている。料理の腕を生かすための職業に就いたのだ。一年も働いていたので大分慣れてきたが、始めの内は物凄く叱られた。
健介は結局甲子園に行けなかった。けど、スポーツ推薦で大学へと進んだ。今では大学で野球をやっている。
和彦は実力で大学に受かったが、また彼女との距離は遠ざかり色々と大変らしい。
それから、安奈とは……。
「ちょっと! 遅刻だよ!」
「ご…ごめん……」
「最近、私がマサに待たされっぱなしだよ」
そう。僕と安奈は今付き合っている。今と言うより、二年前のあの日からだ。あの日、僕の告白に対して、安奈はこう答えた。
『やっと聞けた……。私も好きだよ……』
今、思い返すと色々と恥ずかしい。
あの日の事を考えていると、安奈が僕の顔を覗きこみ言う。
「ちょっと、聞いてる?」
「うん。聞いてるよ」
「もう。今度は遅刻しないでよ」
「わかった。気をつけるよ」
僕がそう言うと、安奈は優しく微笑んだ。僕もそれに微笑み返す。
「さぁ、今日は何処行こうか?」
「そうだな。先週は映画に行ったから……」
考える僕に対し、安奈が笑いながら言う。
「ここで、悩んでもしょうがないから、喫茶店でもいきましょう。マサがジャンボパフェ食べた喫茶店に」
「まだ、覚えてたんだ……」
笑いながら僕はそう答える。
僕と安奈の恋は、結構結ばれるまで長かったけど、他の人と何も変わらない普通の恋だった。違うのは僕と安奈の出会いが、『間違いメール』だったと言う事だ。僕の送った間違いメールは偶然安奈に届いたが、僕と安奈は偶然なんて思っていない。あのメールは、きっと僕と安奈を結ぶ運命の赤い糸だったのかもしれない。
END
今回で間違いメールは最終話と言う事になりました。長い間ご愛読してくれた皆様、どうもありがとうございます。
初の恋愛小説でこんなにも愛読してくださる人がいてくれて、僕としてはとても嬉しく思っております。
これまで、評価・感想・アドバイスなども沢山いただきました。とても感謝しております。
それでは、寂しくなりますが、これまで応援ありがとうございました。
機会があれば、番外編でも書いてみようと思っています。