第三十五回 オチが「トルネで地デジをとるね」という駄洒落
「そういえばキミ最近、テレビ見てないね。飽きたの?」
「いや、やめてはないんだけどさ。仕事の部署が変わって、帰宅時間が不規則になったからね。好きな番組を毎週見る、ってわけにもいかなくなっちゃったんだ」
「録画して後で見れば良いじゃない? レコーダー、かなり昔から持ってたでしょ」
「持っているには、持っているんだけど。実はかなり旧式で、地デジ非対応だったんだ」
「うわ、またレアな」
「僕自身は子供の頃から、かなりのテレビっ子だったからねー。よく、ほら、テレビをみながら宿題とかの、ながら族ってヤツ。だからレコーダーにも、すぐ飛びついちゃったんだよ」
「じゃあレコーダーも新しいのを買えば良いのに」
「地上デジタルで仕方なく、テレビは新しいのを買いはしたんだけどさあ。レコーダーまで買うお金が、そん時尽きちゃったのよ。で、何となく買いぞびれて、気が付いたらテレビからも離れちゃった。今じゃ、ゲームをやるくらいかなあ」
「良かった。だったら、テレビを見なくなったわけじゃないんだね?」
「もちろん」
「じゃじゃーん。キミに誕生日プレゼントの、トルネでーす」
「うおお、マジで!? 本当に嬉しいよ」
「さっそくテレビに繋ごうか」
「お願いする。ついでに、操作も軽く教えてよ」
「ならば地上デジタルになってから、あまり活躍してなかったこのテレビ君を使い……トルネで地デジを録るね!」
「……いや、そこでドヤ顔は要らない」