表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放されたタンク、実は最強でした ~命を削って守っていたが見捨てられました~  作者: 海老朝日


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/33

最終話.絆

 レオポルドは、酔っぱらっているのか足元が覚束(おぼつか)ない。


「ちょうどいい時に会ったな! エリク、お前が頭を下げるなら俺たちのチームに戻してやってもいいぞ?」


 にやにやと笑いながら俺を指さすレオポルド。


 かつての俺なら迷っていたかもしれない。だが今は違う。

 本当の仲間が何なのか分かったからだ。


「すまないが、断らせてもらう。俺はもう新しいパーティで頑張っているんだ」


 レオポルドがリゼットとノアを見て鼻で笑った。


「ふん、こんな貧弱な装備の奴らと? どうせ大したランクでもないんだろ? 戻ってこいよエリク。これからはちゃんと報酬も山分けにしてやる」


 仲間を馬鹿にされ、顔が熱くなる。


 ――落ち着け。

 ここで感情的になるな。


「申し訳ないが灼熱の誓いに戻るつもりはない。そもそも新しいタンクを仲間に入れたと聞いたぞ?」


 レオポルドの目つきが変わった。

 俺を見つめながら眉をひそめた。


「アルベルトなら、さっきうちのパーティを抜けたわ……」


 イザベラが悲しそうに目を伏せた。


「どいつもこいつも……」


 レオポルドの肩が震えている。


「この俺が戻ってこいと言っているんだぞ! それを断るなんてあり得ない! なぜだ!? そいつらより俺の方がはるかに強いだろ!?」


 レオポルドが俺に詰め寄り、憎しみのこもった目で俺を睨みつけた。


「まだ分からないんですか?」


 リゼットが力強い口調でレオポルドの問いに答えた。


「先生は、あなたのその自己中心的な態度に嫌気がさしたんですよ。私たちは確かに弱いかもしれません。でも、私は先生のことを本気で尊敬しています。あなたには先生に対する敬意が微塵も感じられません。そもそも、お願いする立場なのに、どうしてそんなに偉そうなんですか?」


 リゼットは一気にそう言い切った。


 その瞬間、レオポルドの顔つきが変わる。

 ゴブリンのように醜く顔を歪めると、レオポルドは剣に手を伸ばした。


「レオポルド!」


 反射的に、俺も剣の(つか)に手をかける。


「もういいわ。行きましょう?」


 イザベラがレオポルドの肩に手を置く。


「クソッ! 必ず後悔することになるぞ!」


 捨て台詞を残し、セオドアと共に去っていくレオポルド。


 イザベラが俺に近づき、頭を下げた。


「エリク、今までのことは謝るわ。あなたがいたから私たちはAランクになることができた。レオポルドはまだ認められないみたいだけど、いつかきっと――」


 イザベラはレオポルドの背を見つめながら、悲しそうに呟いた。


「もし気が変わったら、私たちはいつでも歓迎するから――」


「都合がよすぎるぞ。自分たちから追い出しておいて、上手くいかなくなったから戻ってくださいだなんて」


 ノアがイザベラの言葉を遮った。

 冷めた目でイザベラを見つめている。


「そうね……あなたの言う通りだわ。今の言葉は忘れて頂戴」


 イザベラは寂しそうな目で俺を一瞬見て、再び小さく頭を下げた。


「イザベラ! 何をしている!」


 遠くでレオポルドが怒鳴った。


「じゃあ、またね」


 イザベラはぎこちなく俺に笑いかけるとレオポルドの方へと走っていった。


 こんな形で再会するとは思っていなかった。

 だが、これでよかったのかもしれない。


 もう灼熱の誓いに未練などなかった。


「先生、私たちのことを選んでくれてすごく嬉しかったです」


 リゼットが俺に体を寄せてきた。

 柔らかい胸が肩に当たり、ドキリとさせられる。


「師匠、今夜はもうちょっと一緒にいたいな……」


 珍しくノアも俺の腕に抱きついてきた。

 リゼットに比べると、その感触は少し硬かった。


「そうだな。じゃあ飲み直すか!」


「はい!」

「おお!」


 リゼットが満面の笑みで返事をして、ノアが拳を天に突き上げた。


 胸に温かいものが流れ込んできた。

 その正体は分からない。


 仲間、友情、庇護欲……

 どれも当たっているが、いまいちピンとこない。


 絆。

 俺はこの感情をそう名付けることにした。


 これからもこのパーティでやっていく。

 リゼットとノアが俺を引っ張った。


「先生、早く早く」

「師匠、ボクは猪肉のステーキが食べたい!」


 二人の笑顔を見て、俺は頬が緩むのを抑えきれなかった。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

評価やブクマしてくださった方もありがとうございます。とても励みになっていました。

無事に完結まで走り抜くことができて、よかったです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ