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放浪屍鬼の世界 デーモンオーガディストピア  作者: 七夜月 文
2章 --天翔艦クラールブルーメ--
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天からの攻撃 1

 

 そう言ってユウセイが笑っているとジークルーンが尋ねる。


「とりあえず、勝ったってことでいいんですよね? レイショウさんをここに戻してください」

「わかってる、今戻すからせかさないでいいよ」


 タブレットの映像が切られ、ジークルーンの正面に座っているユウセイは天井を仰ぐ。

 ジークルーンたちの背後の床に穴が開きレイショウが穴の中から現れると、まっさきにハジメが駆け寄り抱き着く。


「おかえり、痛くない?」

「ただいまハジメ。ああ、あちこち殴られたけどもう痛みはない。傷もすぐ治ったみたいだ、ほんと不思議な力だよ」


 戻ってきたレイショウの無事を確かめ大きく息を吐くジークルーン。


「下のユウセイは連れてこないんですか?」

「怪我人に無茶をさせるね、生きてはいるけど並みの人間なら大怪我レベルだよ。安静にさせておいてくれ。それと私がたくさんいても意味はないだろう、どれも意識を共有ているし、答えるのはジークルーンたちだし誰か一人で十分だ」


 ジークルーンたちのもとへとやってきたレイショウは、手にしていたぐにゃりと曲がった剣を見せる。


「おかえりなさいレイショウさん。助けに行きたかったのですが、ユウセイの方が上手でナノマシンの制御を奪えませんでした」

「それは別に良かったんだけど、ところでこの剣元の鉈に戻せないか? あいつを思いっきり吹っ飛ばしたら、折れちまったんだが」


 ジークルーンは剣に触れると余分なナノマシンは砂となって崩れ落ち、レイショウの持つ剣は元の鉈へと戻っていく。


「ああ、すみません。身体能力を上げた状態で刃物を振ればユウセイが危ないと思ったので、武器のリーチを伸ばしつつ鉄や鋼ではない柔らかい軽金属に変えさせてもらいました」

「この剣、鉄じゃなかったのか」


 鉈をしまいレイショウはユウセイを見る。


「ええ、形だけで刃もありませんでした。すみませんレイショウさんは怪我をする恐れもあったのに」

「向こうはまともに戦う気はなかったみたいだけどな、どこまでもからかってきて腹立つ。俺も最初から殺す気はなかった、ただみんなの分を含めてぶん殴ってやりたかっただけだよ、こいつを」


 別のこいつを思いっきりぶっ飛ばしたけどと続けるレイショウ。

 話を遮るようにユウセイが口を開く。


「私が口づけをした途端のジークルーンの反応ときたら、妹ちゃんと一緒になって顔を真っ赤にして初心な。それとも相手を取られて怒ったのか? あの瞬間、ナノマシンの活性率が最高潮だったな、危うくナノマシンの負荷に耐えられず使用者の体を引き千切るところだった」

「ユウセイは黙っていてください。自分はああいうのに慣れていないんです、突然見せられて動揺して何が悪いんですか!」


「キレるところもかわいい」

「五月蠅いです。後完全に狙ってやっていましたね」


「良い画角だっただろう、見間違いや思わせぶりではなく疑いようのないキスだ」

「怒りますよ?」


 三度目の揺れ。

 建物が大きく揺れタブレットをいじっていたユウセイが椅子のバランスを崩してひっくり返る。

 頭をぶつけ呻きながら地面を転がるユウセイをしり目に話を続けた。


「さて、それじゃあ空に上がる話でもしようか。まだ地上には上がれないみたいだし」

「この空からの攻撃は、いつまで続くと思いますか?」


「それは私が聞きたいくらいだ。戦いが終わって100年たった。ここにきてどうしてこんな手を使い始めたのか。私は乗り気ではなかったけど、我々が正しく管理するだけの人口へと、鬼を使って人類を減らすという大戦後に話し合って決めた話とまるで話が違うからね」

「人の管理……チュウジョウも、スイセイも似たようなことを言っていましたね……ユウセイはしていないんですよね?」


「ああ、御覧の通り生きた人間は取り扱っていない」

「生きた人間とは? 生きていない人間を扱っていると?」


「死体など保存してどうなる、医学に興味はないし死体愛好家でもないよ私は」

「……クローン?」


「確かに欠陥だらけの彼らも魅力だが。私たちの製造方法を教えただろう。ここでは冷凍した精子と卵子を補完し人々が滅んだのち環境と整えてから受精させ、私らアルケミストの世界を作る。私らはお互いに争わない、そういう制限のかけられた存在だ。我々だけの国が出来ればあのような過ちには起こさせない、そうだろう?」

「自分たちは星に住む人を守るために戦って……」


「わかってるわかってるよ、ジークルーン。いちいち繰り返さなくていいよ、セキセイインコじゃあるまいし。私たちは人を守る兵器、だからそれぞれの方法で、上げ足を取って、解釈の受け取り方次第で、いろいろと理由をつけて、人という種を守っているんじゃないか。人の数を制限したり、人に重い枷を付けたり、どれも人のためを思ってのことだろう」

「でもそれは、人を守っているというより飼っているようなものじゃないですか。それに保護されていない人々、レイショウさんのような人が何人いても気にしないというのですか」


 ユウセイは大きなため息をつくと気怠そうな視線をレイショウに向ける。

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