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ハグレ収集



断崖絶壁に囲まれたエリアをゾンビランドと名付けてまずは1セット1000体を転送した。


科学班のデータ収集によると魔素がじわじわと拡散しているそうだ。

おとなしかったモンスターたちもゾンビランドに近いエリアに生息している個体から徐々に活性化してるようだ。

やはりモンスターには魔素が必要なことは確定。


「あんまりゾンビを集めすぎると相手の思う壺ってことだ」

「新天地なら問題ないだろ」

「検証できたからワンセットだけでいいんじゃないか?」

「ちょろいとはいえ、モンスターをわざわざ強くする必要もないですよね」


こっちの現実世界で魔素を増やすのは確かに愚策だが、新天地で増やしておくのは……迷うところだな。

慌てる必要はないからゾンビランドはあと数カ所だけ離れたところに作ることにして、それ以上ゾンビは増やさないことにした。


ここから先、侵略者たちがどんな作戦に出るかだ。

魔素が拡散できない以上、こっちに来てもモンスターも異世界人もフルパワーでは動けないってことだもんな。

内包している魔素を使い切ったら終わり。

自力再生はかなり効率が悪いらしいから一発デカいのを撃たれてもそこで詰みだ。


こっちの状況を知る手立てがあるかないかでも考え方は全然違ってくる。


ギルに聞いてみたが「そんな方法ないと思うけどな。でも歪みを人為的に起こしてる時点で普通じゃないからな。なんか方法を持ってんのかもしれないぜ」とのこと。 


作戦が失敗し続けていることを知っているならなにか違う手を打ってるし、知らないなら「そろそろ頃合い」と思ってノコノコやってきて愕然とする感じか。


後者が有難いがさてどうなるかだな。


―――――――


その後、2回の歪みを抑えて新天地には新たにトロール、ミノタウロス、サイクロプスが入居した。

かなり有名な個体だがすべて会話が成立せず暴れまくるだけだった。


そしてついにはワイバーンという飛竜が来た。

とりあえず視界に入るものは転送できるから新天地に送るのは相変わらずチョロかった。


「おおお! ワイバーンですよ! 飼い慣らして騎竜とするのがファンタジーの定番です!」

「飼い慣らすって言われてもなあ。どうやるんだよ」

「エサだろエサ」

「なに食うんだこいつら」

「あ、飛んで行っちゃったよ」

「えーい戻れ!」


飛んでは戻すを繰り返したがエサには見向きもせず相変わらず全力で逃げ出していく。


面倒になったのでクリエイトで足枷を作って取り付けた。

そしたらもう暴れること暴れること。


「これ餌付けなんてできんのか?」

「まあまあやってみようじゃねえか。こいつらなかなか根性があって気に入ったぜ」


アキラが鶏の丸焼きを手に近づいてみるとそんなものには目もくれずアキラをガンガン突っつきまくった。


「てめえこのふざけんな!」


スキル「威圧」を持つアキラに一喝されたワイバーンたちは一瞬で降伏。

お腹を見せて服従の姿勢を取ったのだった。



「かわいいもんだぜ」


ワイバーンたちに囲まれてスリスリされながらご満悦のアキラ。

そのうちに私たちにも慣れたようで数日もすれば手からエサを食べるようになってやがて足枷も要らなくなった。

私たちがワイバーンのエリアを訪れるとすぐに空から飛んできて遊んでくれとせがむようになったのだ。


「うーむ。これは確かにかわいいな」

「こんなに大きいのにかわいいとは手強いね」

「なんだそれ」 

「そろそろ乗せてくれるんじゃね?」

「その前にアキラ、名付けしてみろよ」

「絆だな! だとしたらそうだな、一番オレに歯向かって最後まで懐かなかったコイツだな」

「どんな基準だよ。普通逆だろ」

「よし、お前! お前の名前はトラ吉だ!」


その瞬間、アキラとワイバーンを白い光が包み込んだ。


「よし、ちゃんと絆が結べたぜ!」

「変な名前でもいいんだな」

「どこが変なんだよ!」

「龍と虎ってライバルだろ。めちゃくちゃ仲悪いんじゃなかったか? 竜虎相打つとかいうじゃん」

「げ!……オレたちはライバルでありそれを超えた仲だということだ」

「いま『げっ』って言ってたぞ」

「龍虎には確かにそんないい言葉もあったね。龍吟ずれば雲起こり、虎嘯けば風生ず、だよ」

「そうだよ、それが狙いだよ」

「お前絶対知らないだろ」

「ウミは知ってんのかよ」

「初めて聞いた」


その後、みんなもお気に入りのワイバーンに名前をつけてみんな絆を結ぶことができた。


アキラ&トラ吉

ウミ&空太郎

ユキナ&ウミミ

ミズホ&ウミミーノ

サチ&ウミン

ふるっち&ハチロク

三花&ヒリュウ

親父&トマト

伊東&サカズキ

掛川&ミズポン


「ウミシリーズがややこしいな」

「そうだよ、なんだよその名前。恥ずかしいだろ」

「それを言ったらかけっちのミズポンもだよ」 

「ディーバと迷ったんですけどねえ」

「親父のトマトもどうかと思うぞ」

「トマト好きなんだよ」

「おじいちゃんもだよ。やっぱりヤクザじゃん」

「違うぞ」


まあ好き勝手つけたもんだ。

でも絆が結べてるんだからいいのかな。


「言っとくけどウミさんがいちばん安易だからね」

「ぐっ」


その日からはみんな新天地では飛竜に乗って移動をするようになった。

もちろん移動には転移が楽だけどさ。

相棒と空中散歩なんて格別じゃん!



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